社員旅行に行きたくないと感じても、「上司にどう思われるだろう」「自分だけ欠席すると職場で浮いてしまうのでは」と悩み、参加を断れずにいる人は少なくありません。仕事仲間との旅行には、普段の業務とは違う人間関係への気遣いや、休日の拘束、宿泊費などの負担が伴います。楽しみにしている人がいる一方で、プライベートの時間を大切にしたい人にとっては、大きなストレスになることもあります。
2026年現在、社員旅行への参加意識を調べた民間調査では、参加したくないと回答した人が一定数いることも明らかになっています。ただし、社員旅行は必ず参加しなければならないものなのでしょうか。欠席すると人事評価や職場の人間関係に影響するのでしょうか。この記事では、社員旅行に行きたくない理由や参加意向に関する調査、法律上の考え方、上司への断り方、欠席による影響、費用負担などを整理し、後悔しない判断方法を解説します。
【社員旅行に行きたくない理由】参加をためらう人の本音と実態
社員旅行に行きたくない理由は、単に旅行が嫌いだからとは限りません。普段は仕事上の付き合いとして適度な距離を保てている同僚や上司と、休日まで長時間一緒に過ごすことに負担を感じる人もいます。
特に、宿泊を伴う社員旅行では、移動、食事、宴会、入浴、就寝まで職場の人と行動を共にする場面が増えます。仕事中なら気にならない人間関係も、プライベートの時間になると大きなストレスに変わることがあります。
1. 上司や先輩に気を遣い続けるのが疲れる社員旅行では、職場の上下関係がそのまま持ち込まれることがあります。宴会で上司の近くに座る、先輩の飲み物に気を配る、会話が途切れないように話題を探すなど、普段の業務とは異なる気遣いを求められるケースです。
自由時間のはずなのに、上司や同僚の反応を気にしてしまう人にとって、社員旅行は休息ではなく、もう一つの仕事のように感じられます。
2025年8月に株式会社日本デザインが公表したZ世代の社員旅行に関する調査では、社員旅行で「しんどい」と感じる点として、56.8%が「上司や先輩への配慮が求められるから」と回答しました。人間関係への気遣いが、参加意欲を左右する大きな要素になっています。
2. 貴重な休日を会社の行事に使いたくない土日や祝日に社員旅行が設定されると、本来なら自由に使える休日が減ってしまいます。家族や友人との予定、趣味、資格取得、休養など、仕事以外に時間を使いたい人にとっては見過ごせない問題です。
特に、平日は仕事で忙しく、週末にようやく自分の時間を確保できる人ほど、休日の社員旅行に抵抗を感じやすくなります。
会社側が旅行を福利厚生として企画していても、参加者全員が同じようにリフレッシュできるとは限りません。休日にまで職場の人と過ごすことを負担に感じるのは、自然な感覚です。
3. 宿泊や宴会、団体行動が苦手社員旅行には、複数人での移動、決められたスケジュール、団体での食事などが伴います。自分のペースで行動したい人や、大人数の集まりが苦手な人にとっては、旅行中ずっと周囲に合わせることがストレスになります。
相部屋を避けたい、寝る時間を自由に決めたい、宴会でお酒を勧められたくない、温泉や大浴場を同僚と利用したくないといった事情もあります。
前述の2025年調査でも、同室での宿泊を負担に感じる人は19.8%、飲酒を伴う宴会への参加を負担に感じる人は18.0%でした。旅行の目的そのものより、過ごし方に抵抗があるケースも目立ちます。
4. 自己負担の費用が高く、参加するメリットを感じない会社が旅行費用を全額負担してくれるとは限りません。交通費や宿泊費の一部、食事代、宴会費、現地での自由行動にかかる費用などを社員が負担する場合もあります。
旅行先や内容に興味がなければ、自己負担してまで参加する価値を感じられないこともあるでしょう。
また、参加費以外にも、旅行中の飲食代やお土産代などが必要になる場合があります。生活費や貯蓄を優先したい人にとって、会社の行事に追加の出費をすることは簡単ではありません。
5. 仕事とプライベートを明確に分けたい職場の人とは、勤務時間内で良好な関係を築ければ十分だと考える人もいます。仕事と私生活を分けることを重視している場合、社員旅行への参加は自分の価値観に合わないと感じることがあります。
家族との時間を優先したい人、休日は一人で過ごしてリフレッシュしたい人、職場の人にプライベートを知られたくない人など、事情はさまざまです。
社員旅行に行きたくないという気持ちは、必ずしも会社や同僚を嫌っていることを意味しません。仕事上の人間関係と私生活の付き合いを別に考えているだけの場合もあります。
【社員旅行に参加したくない人はどれくらい?】2024~2025年の調査から実態を検証
社員旅行に行きたくないと感じているのは、自分だけなのでしょうか。公開されている民間調査を見ると、社員旅行への参加意欲には個人差があり、長時間拘束される社内イベントに否定的な人も一定数存在しています。
2025年のZ世代調査では約3人に1人が参加したくないと回答株式会社日本デザインが2025年7月29日から30日に実施した調査では、社員旅行のある企業で働く22~29歳の正社員111人が回答しました。
社員旅行の印象について尋ねたところ、「まったく参加したくない」が6.3%、「あまり参加したくない」が26.1%となり、合計32.4%が参加に消極的でした。
一方、「やや参加してみたい」は34.3%、「ぜひ参加したい」は32.4%です。つまり、社員旅行を歓迎する人もいる一方、参加したくない人も約3人に1人いるという結果でした。
注目したいのは、同調査で参加したくない理由として、上司や先輩への気遣い、興味のない企画への参加、人間関係への気遣いが上位に挙がった点です。社員旅行への抵抗感は、旅行そのものよりも、職場特有の人間関係や拘束のされ方に関係していることがうかがえます。
2024年の調査では会社の約3割が社員旅行を実施株式会社サーバーワークスが2024年5月15日から22日に全国の20歳以上の会社員550人を対象に実施した調査では、勤務先で社員旅行があると答えた人は28.4%でした。
社員旅行がある会社に勤める人のうち、92.3%が任意参加と回答した一方、そのうち37.2%は「任意参加だが実質強制参加」と感じていました。
制度上は自由参加でも、上司から参加を勧められたり、欠席すると気まずい雰囲気になったりする職場があることを示す結果です。
社員旅行を含む社内イベントに反対する人も約半数2025年1月にWeb担当者Forumが紹介した株式会社セルバの調査では、20~50代の社会人300人のうち、社内イベントへの反対派は47%でした。
特に、社員旅行や運動会など、拘束時間が長くなりやすいイベントは、飲み会やランチ会などと比べて参加意欲が低い傾向が報告されています。
ただし、これらの数字は調査対象や質問内容が異なります。32.4%という数字はZ世代の参加意向であり、全国の会社員全体における実際の欠席率ではありません。社員旅行に参加しない人の割合を一つの数字で断定することはできませんが、参加に消極的な人が一定数いることは複数の調査から読み取れます。
【社員旅行は強制参加なのか?】法律・労働時間・休日出勤の境界を解説
社員旅行を断る前に確認したいのが、参加が本当に任意なのかという点です。会社が主催する旅行だからといって、すべての社員に無条件で参加義務が生じるわけではありません。
福利厚生として行われる慰安旅行と、会社の業務命令に基づく研修・出張では、法律上の扱いが異なる可能性があります。
社員旅行は基本的に任意参加の福利厚生行事と業務命令を区別する一般的な慰安目的の社員旅行は、福利厚生や社員同士の交流を目的とした行事です。任意参加であれば、参加しないことを理由に当然に欠勤や懲戒の対象になるわけではありません。
一方、会社が業務上必要な研修や活動として旅行を位置づけ、参加を具体的に指示している場合は事情が異なります。
参加しないと欠勤扱いになるのか、業務上の指示として出席を求められているのか、欠席者に通常業務が用意されているのかなど、実態を確認する必要があります。
社員旅行が労働時間になるかどうかは指揮命令の実態で判断厚生労働省の労働時間に関する説明では、労働時間は使用者の指揮命令下に置かれている時間とされています。実際に作業をしている時間だけでなく、会社の指示に従って待機している時間なども、状況によって労働時間に該当します。
そのため、社員旅行という名称だけで労働時間かどうかが決まるわけではありません。
例えば、自由参加の慰安旅行で、参加しなくても不利益がなく、旅行中も自由に行動できる場合と、業務命令で参加を求められ、行動や時間が会社の管理下に置かれている場合では、判断が異なります。
社員旅行と休日出勤の違い社員旅行が土日や祝日に実施される場合、休日出勤に該当するかどうかも気になるところです。
重要なのは、旅行が休日に行われたという事実だけではありません。参加が強制されているか、会社の指揮命令下にあるか、業務との関連性があるかなどを総合的に確認する必要があります。
| 旅行・行事の状況 | 参加の扱い | 労働時間の考え方 | 確認するポイント |
|---|---|---|---|
| 任意参加の慰安旅行 | 原則として自由参加 | 通常は参加しただけで労働時間とはならない | 欠席による不利益の有無 |
| 休日に実施される強制的な社内行事 | 会社の指示や実態を確認 | 指揮命令下にある場合は労働時間となり得る | 休日労働の扱い、割増賃金 |
| 業務に直接必要な研修旅行 | 業務命令として参加を求められる場合がある | 研修や業務に従事する時間は労働時間となり得る | 勤務時間、出張規程 |
| 平日の任意参加イベント | 任意参加が前提 | 通常勤務との関係を個別に確認 | 欠席時の勤務場所、休暇処理 |
休日に行われる旅行が業務として扱われ、法定休日労働に該当する場合には、労働基準法上の休日労働に関する割増賃金のルールが関係します。会社独自の休日と法定休日は同じではないため、勤務カレンダーも確認してください。
欠席したら有給休暇を使わなければならない?任意参加の休日イベントを欠席する場合、通常はそれだけで有給休暇を取得する必要はありません。
ただし、社員旅行が通常の勤務日に設定されている場合は、当日の勤務扱いを確認する必要があります。旅行に参加しない社員が通常勤務をするのか、会社が休業扱いにするのか、有給休暇の申請が必要なのかは、会社の指示や制度によって異なります。
欠席を決める前に、「不参加の場合、当日は通常勤務でしょうか。それとも休暇の申請が必要でしょうか」と人事担当者に確認しておくと安心です。
【社員旅行の断り方】上司への伝え方とそのまま使える例文
社員旅行に行きたくないとき、最も悩みやすいのが上司への伝え方です。特に、普段から上司との関係を大切にしている人ほど、断ることに罪悪感を抱きやすいものです。
しかし、任意参加であれば、欠席するために長い説明をしたり、必要以上に謝罪したりする必要はありません。基本は、早めに意思を伝え、企画への感謝を示し、簡潔に欠席を申し出ることです。
断るときに押さえたい3つのポイント1. 出欠の回答期限より前に伝える
旅行の予約や宿泊施設の手配には人数の確定が必要です。欠席する場合は、できるだけ早く連絡しましょう。直前のキャンセルは、会社側の手続きや費用負担にも影響する可能性があります。
2. 理由を必要以上に詳しく説明しない
家庭の事情やプライベートな予定など、詳細を職場に知られたくない場合は、「私用のため」「個人的な都合により」と伝える方法があります。欠席理由を無理に作る必要はありません。
3. 感謝と欠席の意思をセットで伝える
企画してくれた担当者への配慮として、最初に声をかけてもらったことへの感謝を伝えると、必要以上に角が立つのを防げます。ただし、参加するかどうかを曖昧にする表現は避けましょう。
例文1:特別な事情を詳しく伝えずに断りたい場合「お誘いいただきありがとうございます。申し訳ありませんが、今回は都合により参加を見送らせていただきたいと思います。皆さんで楽しんできてください。よろしくお願いいたします。」
私生活について詳しく説明したくない場合に使いやすい表現です。任意参加であることを確認したうえで、簡潔に伝えましょう。
例文2:家族や個人的な予定がある場合「社員旅行のご案内ありがとうございます。あいにく、その日は以前から予定している私用があるため、今回は欠席させていただきます。企画していただいたところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。」
予定が重なっていることを伝えれば、詳しい事情まで説明する必要はありません。
例文3:休日を自分のために使いたい場合「お声がけありがとうございます。今回は休日の予定や休養の時間を確保したいため、参加を見送らせていただきたいと思います。皆さんで楽しい時間を過ごしてください。」
休日を大切にしたいという考えを、相手を否定しない形で伝える例です。職場の雰囲気に合わせて「私用のため」と簡潔にしても構いません。
例文4:費用負担が理由の場合「ご案内ありがとうございます。今回の旅行について、個人的な費用負担も考慮し、参加を見送らせていただきたいと思います。お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。」
参加費が高く、経済的な負担が大きい場合に使える表現です。費用負担の仕組みが不明確なら、欠席を決める前に会社負担と自己負担の内訳を確認してもよいでしょう。
上司にメールやチャットで伝える場合口頭で断りにくい場合は、メールや社内チャットを利用する方法もあります。出欠の記録が残るため、連絡内容を後から確認しやすいという利点もあります。
件名:社員旅行の出欠について
〇〇部長
お疲れ様です。
社員旅行についてご案内いただき、ありがとうございます。
大変恐縮ですが、今回は都合により参加を見送らせていただきたく、ご連絡いたしました。
企画・準備を進めていただいているところ申し訳ありませんが、何卒よろしくお願いいたします。
〇〇
参加を強く求められた場合の伝え方上司から「全員参加だから」「みんな行くのだから」と言われた場合は、感情的に反論するよりも、まず参加の位置づけを確認することが大切です。
「参加について確認させてください。今回の社員旅行は任意参加でしょうか。それとも業務命令としての参加でしょうか。欠席する場合の勤務上の扱いについても教えていただけますでしょうか。」
このように尋ねれば、会社側のルールや当日の勤務扱いを具体的に確認できます。任意参加と説明されているにもかかわらず、欠席を理由に不利益な扱いを示唆された場合は、やり取りを記録しておきましょう。
【社員旅行を欠席するとどうなる?】職場への影響とデメリットを検証
社員旅行を欠席する際に気になるのが、同僚や上司との関係です。実際、旅行を断ったことで周囲との距離ができたり、後日話題についていけなかったりする可能性はあります。
ただし、欠席したからといって、必ず職場で孤立するわけではありません。旅行の位置づけや職場の文化によって影響は大きく異なります。
欠席することで考えられるデメリット1. 同僚との交流機会が減る
旅行中は、普段の業務では話す機会が少ない社員とも交流できます。欠席すると、こうした非公式なコミュニケーションの機会を逃す可能性があります。
2. 旅行後の話題に入りにくくなる
参加者同士で旅行の思い出を話すことがあります。その際、欠席者は話題についていけないと感じる場合があります。ただし、仕事上のコミュニケーションまで失われるわけではありません。
3. 職場によっては参加しないことを気にされる
社員旅行への参加を重視する企業文化では、欠席について理由を聞かれたり、周囲から参加を勧められたりすることがあります。特に、実質的な強制参加の雰囲気がある職場では、心理的な負担が生じることも考えられます。
欠席したら人事評価や昇進に影響する?任意参加の慰安旅行を欠席したという事実だけで、昇給や昇進に必ず影響が出るという一般的なルールはありません。
人事評価は、通常、業務上の成果や能力、勤務態度などの評価基準に基づいて行われます。旅行への参加を仕事上の貢献と同一視することには慎重さが必要です。
一方、会社が業務命令として参加を求めている場合は、任意参加の慰安旅行とは異なる問題になります。欠席による扱いが不明確な場合は、人事担当者に確認することが大切です。
社員旅行に行かないと迷惑なのか欠席者が出ると、旅行会社への人数変更や部屋割り、食事の手配などに影響する場合があります。しかし、これは旅行を企画する側が調整する事務的な問題です。
任意参加であれば、参加しない人が必要以上に責任を感じる必要はありません。大切なのは、出欠の期限を守り、欠席が決まった段階で速やかに連絡することです。
一度参加すると回答した後にキャンセルする場合は、予約規約や社内規程に基づく取消料の扱いも確認してください。
欠席しても職場の人間関係を悪くしない方法社員旅行を欠席する場合でも、普段の仕事上の関係を丁寧に保つことはできます。
- 欠席の連絡はできるだけ早めに行う。
- 企画担当者や幹事には感謝の気持ちを伝える。
- 欠席理由を必要以上に周囲へ説明しない。
- 旅行後は、同僚の旅行の話を自然に聞く。
- 普段の仕事や業務上のコミュニケーションはこれまでどおり続ける。
社員旅行に参加するかどうかと、職場で協力的に働くかどうかは別の問題です。旅行を断っても、日頃の仕事を丁寧に行うことで、良好な関係を維持することは十分可能です。
【社員旅行の費用・自己負担と社内ルール】欠席前に確認したいポイント
社員旅行を断るかどうか判断する際は、参加費用や勤務上の扱いも確認しておきましょう。旅行代金が会社負担なのか、社員が一部を支払うのかによって、参加するメリットや負担感は変わります。
社員旅行の費用は会社負担が原則なのか社員旅行の費用について、すべての企業が全額負担しなければならないという一律のルールがあるわけではありません。
会社が全額を負担する場合もあれば、一定額の補助を行い、残りを社員が負担する場合もあります。旅行内容や社内規程、参加申込時の説明などを確認する必要があります。
特に確認しておきたいのは、次の項目です。
- 交通費と宿泊費は会社負担か。
- 食事代や宴会費は参加費に含まれているか。
- 自由行動中の費用は自己負担か。
- 相部屋と個室で料金に違いがあるか。
- 欠席者に費用負担が発生するか。
- 申込後にキャンセルした場合の取消料は誰が負担するか。
また、会社が旅行費用を給与から天引きする場合には注意が必要です。労働基準法第24条では賃金の全額払いが原則とされており、法令上認められる場合などを除き、賃金から一部を控除するには所定の要件を満たす労使協定が必要です。
会社負担の社員旅行には税金がかかる場合もある社員旅行の費用を会社が負担している場合でも、必ずしも参加者の給与として課税されるわけではありません。
国税庁の「従業員レクリエーション旅行や研修旅行」では、旅行の企画、目的、規模、日程、参加割合、会社と社員それぞれの負担額などを総合的に考慮して判断すると説明されています。
一般的なレクリエーション旅行については、社会通念上通常行われる旅行であり、従業員が受ける経済的利益が少額であるなどの条件を満たす場合、会社負担分を給与として課税しなくてもよい取り扱いがあります。
その際の目安として、旅行期間が4泊5日以内であること、参加人数が全体の50%以上であることなどが示されています。ただし、これらは税務上の判断に関する条件であり、社員旅行への参加を強制できるかどうかを決める基準ではありません。
また、旅行に参加しなかった社員へ現金を支給する場合には、税務上の取り扱いが変わることがあります。欠席者に旅行費用相当額を支給する制度を考える場合は、会社側で税務上の確認が必要です。
欠席する前に確認したい社内ルール5項目社員旅行への参加を断る前に、次の項目を確認しておくと、後からトラブルになるリスクを減らせます。
① 参加は任意か強制か
案内文や社内規程に、任意参加と記載されているかを確認します。口頭で参加を強く求められている場合は、会社としての正式な位置づけを人事に確認しましょう。
② 欠席時の勤務扱い
旅行が平日に実施される場合、欠席者が通常勤務するのか、休暇を取得する必要があるのかを確認します。
③ 参加費とキャンセル料
社員の自己負担額や、申込後に欠席した場合の取消料を確認します。説明されていない費用が後から請求されないように、事前に内訳を把握しておくことが大切です。
④ 欠席による不利益の有無
任意参加とされているのに、欠席によって評価や待遇に不利益が生じると説明された場合は、どのような根拠によるものかを確認します。
⑤ 旅行中の業務や役割の有無
単なる慰安旅行なのか、研修や業務上の役割が含まれているのかを確認しましょう。幹事や運営担当として仕事を命じられている場合は、一般参加者とは労働時間の扱いが異なる可能性があります。
どうしても参加を強制される場合の相談先任意参加と説明されているにもかかわらず、欠席すると欠勤扱いにすると言われたり、賃金や待遇への不利益を示唆されたりした場合は、会社の人事・労務担当者や社内相談窓口に確認しましょう。
社内で解決できない場合は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーで、労働条件や職場でのトラブルについて相談できます。労働時間や賃金の未払いなど、労働基準法に関係する問題については、労働基準監督署への相談も選択肢になります。
相談する際は、社員旅行の案内文、就業規則、上司とのメールやチャット、参加を強制された際の説明などを保存しておくと、状況を伝えやすくなります。
【社員旅行に行きたくないときの対処法】参加・欠席を判断する基準
社員旅行への参加を迷っている場合、無理に参加するか、すぐに欠席を決めるかの二択にする必要はありません。旅行の内容や職場の状況、自分が負担に感じているポイントを整理すると、現実的な選択肢が見えてきます。
参加するメリットがある人- 普段話す機会の少ない同僚や他部署の人と交流したい。
- 上司や先輩との関係を深めたい。
- 旅行先やイベント内容に興味がある。
- 会社が費用を負担し、休日やスケジュールにも配慮している。
- 自由時間が確保され、自分のペースで過ごせる。
こうした条件がそろっているなら、社員旅行が職場でのコミュニケーションを深める機会になる可能性があります。
無理に参加しないほうがよいケース- 休日の休養が必要で、参加すると体力的な負担が大きい。
- 自己負担額が生活費や貯蓄に影響する。
- 宿泊や宴会、団体行動に強いストレスを感じる。
- 家庭の事情や個人的な予定を優先する必要がある。
- 旅行に参加することで心身の負担が大きくなる。
特に、参加を考えるだけで強いストレスを感じる場合は、周囲に合わせることだけを優先する必要はありません。任意参加であれば、自分の生活や健康を優先する判断も大切です。
参加を断る以外に検討できる方法社員旅行のすべてが嫌なのではなく、特定の条件が負担になっている場合は、会社に相談して調整してもらう方法もあります。
- 宿泊ではなく日帰りで参加できないか相談する。
- 相部屋ではなく個室を利用できるか確認する。
- 宴会や二次会には参加せず、旅行の一部だけ参加できるか相談する。
- 現地集合・現地解散が可能か確認する。
- 自由行動の時間を確保してもらう。
2025年の株式会社日本デザインの調査では、社員旅行に参加したいと思える条件として、行き先やアクティビティを自分で選べることが50.5%、会社が費用を全額負担することが47.7%、自由時間を確保できることが28.8%でした。
この結果からも、社員旅行そのものを否定するというより、参加方法や費用、自由度を改善してほしいと考える人がいることがわかります。
会社側にとっても、全員に同じ過ごし方を求めるより、参加・不参加を選べる仕組みや柔軟な旅行内容を整えるほうが、社員の満足度につながる可能性があります。
【社員旅行に行きたくない人に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:社員旅行に行きたくないと思うのはわがままですか?
A1:わがままとは限りません。休日の拘束、人間関係への気遣い、費用負担、団体行動への抵抗など、参加したくない理由は人それぞれです。任意参加の旅行であれば、自分の生活や価値観を優先して欠席を選ぶこともできます。
Q2:社員旅行を断ると上司に嫌われたり、評価が下がったりしますか?
A2:必ずしもそうなるわけではありません。任意参加の旅行を欠席しただけで、人事評価に自動的に影響するという一般的なルールはありません。早めに丁寧な連絡を行い、日頃の仕事を誠実に続けることが大切です。
Q3:社員旅行は法律上、参加しなければならないものですか?
A3:社員旅行という名称だけで、全社員に参加義務が生じるわけではありません。福利厚生としての任意参加なのか、業務命令として実施される研修や出張なのかによって扱いが異なります。就業規則や会社からの指示を確認してください。
Q4:社員旅行を欠席すると迷惑になりますか?
A4:人数変更や宿泊先の調整など、幹事の事務作業が増える場合はあります。ただし、任意参加であれば欠席自体が迷惑行為になるわけではありません。回答期限を守り、早めに連絡すれば十分な配慮になります。
Q5:社員旅行を断るときに嘘の理由を伝えてもよいですか?
A5:無理に嘘の理由を作る必要はありません。「私用のため」「個人的な都合により」といった簡潔な伝え方で構いません。詳細な事情を説明する義務があるかどうかは、旅行の業務上の位置づけなどによって異なります。
Q6:社員旅行が土日開催の場合、休日出勤になりますか?
A6:土日に開催されたという理由だけで休日出勤になるわけではありません。任意参加の慰安旅行なのか、会社の指揮命令下で参加する業務なのかを確認する必要があります。業務として法定休日に働いた場合には、休日労働に関する割増賃金のルールが適用されます。
Q7:社員旅行に参加しない場合、会社から費用を請求されますか?
A7:欠席しただけで旅行費用を一律に請求できるとは限りません。ただし、参加申込後のキャンセル料や、事前に合意した費用負担については、社内規程や予約条件を確認する必要があります。
社員旅行に行きたくない理由には、人間関係への気疲れ、休日の拘束、宿泊や宴会への抵抗、費用負担など、さまざまな事情があります。2025年のZ世代調査では約3人に1人が参加に消極的な回答をしており、社員旅行への参加を負担に感じることは決して珍しいことではありません。
大切なのは、周囲が参加するからという理由だけで、自分まで無理に参加を決めないことです。まずは社員旅行が任意参加なのか、業務命令なのかを確認し、欠席した場合の勤務や人事評価、費用負担について整理しましょう。
任意参加であれば、上司には早めに、感謝の言葉を添えて簡潔に欠席を伝える方法があります。詳しいプライベート事情まで説明する必要はなく、丁寧な伝え方を心がければ十分です。
一方、参加を強制されたり、欠席を理由に不利益な扱いを受けたりする場合は、就業規則や労働条件を確認し、必要に応じて人事担当者や労働相談窓口に相談してください。
社員旅行は、社員同士の交流を深めるための機会であっても、全員が同じように楽しめるとは限りません。会社との関係を大切にしながら、自分の休日や生活、心身の負担も尊重することが、無理のない働き方につながります。
主な参照資料
- 厚生労働省「労働時間・休日」「労働条件・職場環境に関するルール」
- 国税庁「従業員レクリエーション旅行や研修旅行」
- 株式会社日本デザイン「Z世代の社員旅行に対する意識調査」(2025年8月)
- 株式会社サーバーワークス「社員旅行に関する調査」(2024年7月)
- Web担当者Forum「社内イベントに対する意識調査」(2025年1月)