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【エルニーニョ現象と地球温暖化】2026年の夏が高温になった背景

杉本 彩 杉本 彩 • 更新: • 公開: • 読了約 9 分
目次

2026年の夏を理解するうえで、もう一つ注目したいのがエルニーニョ現象です。太平洋の海面水温の変化は、上空の大気の流れを変え、日本の季節ごとの気温や降水量にも影響を及ぼします。

2026年春からエルニーニョ現象が発生

気象庁は2026年4月10日の発表で、夏頃にエルニーニョ現象が発生する可能性が高まっていると説明しました。その後、6月10日には、2026年春からエルニーニョ現象が発生しているとみられることを公表しています。

加えて、気象庁の9月1日の分析では、7月の太平洋赤道域東部における監視海域の海面水温偏差がプラス2.5℃となり、1997年と並んで7月として過去最大の値を記録したと報告されました。

今回のエルニーニョ現象は、海洋と大気の両面で顕著な特徴を示していたのです。

エルニーニョなのに、なぜ日本は猛暑になったのか?

ここには気象の興味深いポイントがあります。一般的にエルニーニョ現象が発生すると、日本の夏は西日本で低温になりやすく、北日本・東日本でも平年並みか低温になる傾向があります。

これは、エルニーニョ発生時には熱帯域の対流活動が変化し、上空の亜熱帯ジェット気流が南寄りに流れやすくなることなどが関係しています。気象庁のメカニズム解説でも、こうした傾向が紹介されています。

ところが、2026年は過去のエルニーニョ発生時に典型的だった大気の流れとは異なる特徴がありました。ユーラシア大陸の中緯度帯では偏西風が平年より北側を流れ、日本列島が上空の高気圧に覆われる時期もありました。

したがって、エルニーニョが発生すれば必ず日本の夏が涼しくなる、あるいは必ず暑くなるという単純な関係ではありません。海面水温だけでなく、偏西風の位置や高気圧の張り出しなどを総合的に見る必要があります。

地球温暖化は2026年の猛暑にどれほど影響した?

2026年の高温を考える際、エルニーニョ現象と並んで重要なのが地球温暖化です。

気象庁の長期統計では、日本の夏の平均気温は100年あたり1.41℃の割合で上昇しています。年ごとの変動はありますが、長期的に日本の夏が高温化していることは観測データから確認できます。

加えて、2026年9月1日に公表された異常気象分析検討会の資料では、文部科学省の気候変動予測先端研究プログラムと気象庁気象研究所の合同研究チームによるイベント・アトリビューション解析が紹介されました。

その解析では、2026年7月中旬から8月上旬にかけての西日本の高温について、地球温暖化がなかったと仮定した場合には、ほぼ発生し得なかったことが示されています。

これは、2026年の猛暑が単なる気圧配置の偶然だけでは説明できないことを示す重要な結果です。偏西風や高気圧という気象条件に、温暖化による大気全体の気温の底上げが加わったことで、極端な暑さが発生しやすくなっていました。

エルニーニョ現象は数年単位で変化する自然の気候変動ですが、地球温暖化は長期的な背景です。この二つを区別して考えることが、今後の夏の気温を理解するうえで欠かせません。

【よくある誤解】2026年の夏を涼しいと感じた理由とは?

今年の夏は涼しい

全国平均では高温だった2026年ですが、個人の体感と統計結果が一致しないことは珍しくありません。夏の暑さを判断する際に知っておきたいポイントを整理します。

気温が平年並みなら涼しい夏なのか?

必ずしもそうではありません。沖縄・奄美のように平均気温が平年並みでも、日によっては厳しい暑さになることがあります。平均値は期間全体の傾向を表すため、個々の日の暑さや蒸し暑さまでは表現できません。

雨が多ければ夏の気温は低くなるのか?

雨が降ると日射が弱まり、気温が下がることはあります。しかし、雨が多いことと夏の平均気温が低いことは同じではありません。

2026年の東日本太平洋側は降水量が平年比133%と多かった一方、平均気温は平年より0.8℃高くなりました。雨の多さだけで夏の涼しさを判断することはできません。

北海道なら2026年も涼しかったのか?

北海道の平均気温は平年差プラス1.4℃で、かなり高い結果でした。札幌や旭川などでは真夏日の日数も平年を上回っています。北海道であっても、暑さ対策が不要な夏ではありませんでした。

地域の体感を判断する際は、全国平均だけでなく、住んでいる地域の気温偏差、猛暑日の日数、夜間の最低気温、降水量などを併せて確認することが大切です。

【よくある質問】今年の夏は涼しいのかに関するFAQ

Q1:2026年の夏は本当に涼しかったのですか?

A1:いいえ。気象庁の観測では、2026年6~8月の全国平均気温偏差はプラス1.02℃で、1898年の統計開始以来5番目の高温でした。北日本と西日本ではかなり高く、全国的にも涼しい夏とはいえません。

Q2:2026年の夏は過去何番目に暑かったのですか?

A2:全国の夏の平均気温偏差では、2026年は歴代5位です。1位は2025年のプラス2.36℃、2024年と2023年が同率2位のプラス1.76℃、4位は2010年のプラス1.08℃でした。

Q3:2026年に40℃以上を記録した場所はありますか?

A3:あります。全国914観測地点のうち22地点で40℃以上を観測し、延べ36地点に達しました。最高気温は7月23日の静岡県浜松市天竜区・佐久間で記録した41.1℃です。

Q4:エルニーニョ現象が発生したのに、なぜ猛暑になったのですか?

A4:2026年は偏西風が平年より北側を流れやすく、チベット高気圧などに関連する高気圧に覆われたためです。エルニーニョによる典型的な日本の夏の気温傾向とは異なる大気の流れが生じました。地球温暖化による気温の底上げも影響しています。

Q5:2027年の夏も猛暑になるのでしょうか?

A5:2026年の観測結果だけから、2027年の夏の気温を断定することはできません。エルニーニョ現象の推移、偏西風の位置、太平洋高気圧の勢力、地球温暖化の影響などを踏まえ、気象庁の季節予報を確認する必要があります。

「今年の夏は涼しい」という見方は、2026年の全国的な観測結果とは一致しませんでした。

気象庁のデータでは、全国の夏の平均気温偏差はプラス1.02℃で、1898年の統計開始以来5番目の高温です。北日本と西日本ではかなり高く、東日本でも平年を上回りました。一方、沖縄・奄美は平年並みで、降水量や日照時間にも地域差がありました。

加えて、全国22地点で40℃以上を観測し、延べ36地点に達するなど、極端な高温も発生しています。西日本では夏の平均気温が統計開始以来3番目に高く、8月の九州北部では記録的な少雨も確認されました。

その背景には、偏西風の北偏と蛇行、チベット高気圧、太平洋高気圧に伴う暖気の流入、そして地球温暖化がありました。エルニーニョ現象も発生していましたが、過去の典型的な発生時とは異なる大気の流れが、2026年特有の高温をもたらしました。

【プロの結論】2026年の夏から読み取るべきなのは、単に「今年は暑かった」という事実だけではありません。全国平均が高くても、地域によって雨や日照、体感温度は異なります。そして、温暖化が進むなかでは、過去の経験や季節のイメージだけで暑さを予測することが難しくなっています。

今後の夏に備えるなら、全国平均気温だけでなく、居住地域の気温予報、熱帯夜の日数、猛暑日の発生状況、降水量も確認することが大切です。2026年の観測結果は、夏の暑さを判断する基準を、これまで以上に客観的なデータへ移す必要性を示しています。

「今年の夏は涼しい」という印象と、実際の気象統計は別物です。2026年の夏は、その違いを明確に示したシーズンでした。

主な参考資料
- 気象庁「日本の季節平均気温」
- 気象庁「2026年夏(6月~8月)の天候」
- 気象庁「令和8年夏を対象とした異常気象分析検討会の結果について」(2026年9月1日)
- 気象庁「2026年夏に酷暑日を観測した地点」
- 気象庁「日本の地域平均気候表」
- 気象庁「エルニーニョ監視速報」

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杉本 彩
コンテンツディレクター 杉本 彩
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