2026年4月19日に実施された第24回市川市長選挙は、現職の田中甲氏が圧倒的な得票差で勝利した。
市川市選挙管理委員会が公表した選挙結果資料と、千葉テレビ放送の選挙報道によると、候補者3人の得票は次のとおりだ。
2026年市川市長選挙の候補者別得票数- 得票数:90,576票
- 得票率:約71.4%
- 所属:無所属
- 年齢:69歳(投票日時点)
- 現職市長
2位の保戸田悠菜氏は33,430票、3位の山崎けんすけ氏は2,892票だった。田中氏と2位候補の票差は57,146票に達している。投票率は31.97%で、3候補による選挙戦の結果、田中氏の続投が決まった。
選挙日程と基本データ| 項目 | 2026年の実績 |
|---|---|
| 選挙名 | 第24回市川市長選挙 |
| 告示日 | 2026年4月12日 |
| 投票日 | 2026年4月19日 |
| 有権者数 | 403,621人 |
| 候補者数 | 3人 |
| 投票者数 | 129,044人 |
| 投票率 | 31.97% |
| 前回投票率 | 38.75% |
| 当選者 | 田中甲氏 |
選挙管理委員会の公式サイトでは、2026年4月19日執行の市長選挙が令和8年の選挙結果として掲載されている。選挙結果調の更新日は2026年10月5日だ。
田中甲氏の再選はどれほど強かったのか今回の選挙で注目したいのは、単に現職が勝利したという事実だけではない。
田中氏の得票率は約71.4%。有効投票の7割以上を獲得した計算になる。
一方、保戸田氏と山崎氏の得票を合わせると36,322票。現職の政策に対する異なる選択肢を求める票も、一定数存在していた。
加えて、有権者全体403,621人に対する田中氏の得票は約22.4%となる。
つまり、投票した人の中では大きな支持を得た一方、有権者全体で見れば、投票に参加しなかった人も多い。
得票率の高さと市民全体の政治参加率は、分けて考える必要がある。
この違いは、再選後の市政運営を評価するうえでも重要な視点になる。
【3候補を徹底比較】田中甲・保戸田悠菜・山崎けんすけの政策と人物像

今回の市川市長選挙は、現職1人と新人2人による争いだった。
3候補はいずれも無所属だったが、選挙で訴えた政策には明確な違いがあった。
田中甲氏:1期目の継続と中核市への移行田中甲氏は1957年生まれの市川市出身。市川市公式の市長プロフィールによると、1987年に市川市議会議員に初当選し、その後、千葉県議会議員を2期、衆議院議員を3期務めた経歴を持つ。
2022年4月22日に市川市長へ就任し、2026年の選挙で2期目の当選を果たした。
1期目の実績について、田中氏は教育分野の人事見直しや高齢者支援などを挙げ、公約達成率を96.9%と自己評価していた。
2期目に向けて掲げた主な政策は次のとおり。
- 市川市立高等学校の創設
- 第1子の保育料無償化
- 市川こども手当の創設
- 特別支援学校の増設
- 環境先進都市の実現
- 中核市への移行検討
- スポーツ施設やスタジアム整備の検討
特に注目されるのが、中核市への移行だ。人口規模に見合った行政サービスを提供し、市が主体的に保健・福祉分野などを担う方向性を示している。
保戸田悠菜氏:家計負担の軽減と子育て支援保戸田悠菜氏は39歳の新人候補。元市川市議会議員で、学習塾や福祉事業などの経営経験を持つ。
選挙では、子育てや福祉の現場に関わってきた経験を生かし、暮らしに直結する政策を重視した。
主な政策は以下のとおり。
- 市民税・固定資産税の負担軽減
- 保育料の無償化
- 18歳までの医療費無償化
- 北部地域への子育て施設の新設
- 教育環境や教員待遇の改善
- 水道料金の負担軽減策
田中氏の市立高校新設構想に対しては、少子化や定員割れの問題を踏まえ、まず既存の教育環境を充実させるべきだと主張していた。
これは、公共施設を新設する政策と、現在の生活負担を軽減する政策の優先順位をめぐる違いでもある。
山崎けんすけ氏:市役所の人事改革と行政の見直し山崎けんすけ氏は51歳の新人候補で、不動産経営に携わる人物だ。
現職市長の高齢化などを問題意識として出馬し、市役所の組織や人事制度に焦点を当てた政策を掲げた。
主な主張は次のとおり。
- 市役所の採用制度改革
- 職員の人事制度の見直し
- 学校への補助金制度の見直し
- 行政運営の改善
また、青年海外協力隊の一員としてグアテマラの林野庁で活動した経験も、候補者紹介で取り上げられていた。
3候補の政策・得票比較表候補者の年齢は投票日時点。氏名は候補者情報の表記に準拠。
この比較から見えるのは、3候補が同じ市政課題に対して異なる解決方法を提示していたことだ。
田中氏は行政サービスの拡充と都市の発展、保戸田氏は家計と子育て、山崎氏は行政組織の改革をそれぞれ前面に出していた。
市長選挙は候補者の知名度だけでなく、税金を何に使い、どの政策を優先するかを選ぶ機会でもある。
【投票率31.97%】前回38.75%から6.78ポイント低下した理由
2026年の市川市長選挙で、最も注目すべき数字の一つが投票率だ。
今回の投票率は31.97%。前回2022年の38.75%と比べると、6.78ポイント低下した。
有権者数は増えているにもかかわらず、実際に投票した人数は大きく減少している。
2022年と2026年の投票率比較| 比較項目 | 2022年 | 2026年 |
|---|---|---|
| 投票日 | 3月27日 | 4月19日 |
| 候補者数 | 6人 | 3人 |
| 有権者数 | 400,508人 | 403,621人 |
| 投票者数 | 155,197人 | 129,044人 |
| 投票率 | 38.75% | 31.97% |
この比較で分かることは3つある。
1つ目は、有権者数が3,113人増加したこと。
市川市の有権者数は40万人を超え、前回より増えている。人口規模の変化だけでは投票率の低下を説明できない。
2つ目は、投票者数が26,153人減ったこと。
2022年は155,197人が投票したのに対し、2026年は129,044人だった。単純な投票人数の比較でも、参加者の減少が確認できる。
3つ目は、候補者数が6人から3人になったこと。
前回は現職と新人を含む6人が立候補し、2026年は3人による選挙戦だった。
ただし、候補者数の減少だけで投票率低下を説明することはできない。
投票率低下の背景として考えるべきポイント2022年の市長選挙では、市議会議員補欠選挙も同日に実施されていた。一方、2026年は市長選挙単独の日程だった。
同時に複数の選挙が実施される場合、投票機会や選挙への関心が広がる可能性はある。そのため、両年の投票率を比較する際には、選挙環境の違いも考慮したい。
また、投票率は候補者の政策、選挙戦への関心、地域ごとの政治参加、期日前投票の利用状況など、複数の要素に左右される。
今回の集計結果だけでは、特定の理由を投票率低下の原因と断定できない。
2026年の投票率は過去と比べても低いのか市川市の過去の市長選挙を振り返ると、次のような推移が見られる。
- 2018年:33.97%
- 2022年:38.75%
- 2026年:31.97%
2026年は2018年の水準も下回った。
ただし、2013年の市長選挙では21.71%という投票率が記録されているため、2026年が過去最低というわけではない。
ここで重要なのは、2022年に上昇した投票率が2026年に再び低下したことだ。
市政への関心を継続的に高めるためには、選挙期間中だけでなく、日常的に政策や行政の取り組みを市民に伝える仕組みが求められる。
【市川市長の歴代と田中甲氏】2022年の初当選から2期目へ
市川市長選挙を理解するには、現在の市長だけでなく、これまでの市政の流れを知ることも大切だ。
市川市の歴代市長と近年の交代近年の市長の変遷を整理すると、次のようになる。
- 千葉光行氏:1997年から2009年まで在任
- 大久保博氏:2009年12月25日から2017年12月24日まで在任
- 村越祐民氏:2018年4月22日から2022年4月21日まで在任
- 田中甲氏:2022年4月22日に就任し、2026年に再選
大久保氏については、市川市が2025年1月に公表した訃報で、第25代・第26代市長として2期務めたことを確認できる。村越氏と田中氏についても、市の公的記録や市長プロフィールに在任・就任の記録が残されている。
田中甲氏の政治経歴田中氏の経歴で特徴的なのは、市議会、県議会、国会、そして市長という複数の政治経験を持つことだ。
市川市公式プロフィールによると、1987年の市議初当選から地方政治に携わり、千葉県議会議員を2期、衆議院議員を3期務めた。
2022年の市長選挙では65,567票を獲得して初当選。2026年には90,576票を得て再選された。
今回の再選によって、田中市政は1期目の継続性を保ちながら、新しい政策を実行する段階に入った。
ただし、再選されたこと自体が、掲げた政策のすべてに対する無条件の賛成を意味するわけではない。
新人候補2人にも合計36,322票が投じられた事実は、市民の間に異なる政策選択への需要が存在することを示している。
【2026年11月現在の市政動向】中核市移行と市立高校構想の行方
選挙結果を受けて、今後の市川市政で注目されるのが、中核市への移行と大型の教育・スポーツ政策だ。
2026年7月4日号の「広報いちかわ」では、田中市長の2期目に向けた所信表明の内容が紹介されている。
中核市への移行は何が変わるのか中核市は、一定の人口規模などの要件を満たした市が、都道府県から保健衛生や福祉などの事務権限の一部を移譲される制度だ。
市川市が移行を目指す場合、期待されるのは行政サービスの迅速化や、市が主体的に地域課題に対応できる体制の整備である。
田中市長は2026年の所信表明で、人口50万都市にふさわしい行政サービスを提供するため、中核市への移行に向けた検討を進める考えを示した。
保健所や児童相談所、動物愛護センターなど、市民生活に関係の深い分野で市の役割を拡大する構想が含まれている。
ただし、権限が増えることは、行政の責任や経費が増えることにもつながる。
実際、2026年6月の市議会では、中核市移行に伴う財政負担や、移行後の市民サービスの具体的なメリットについて質問が出ていた。
市議会だよりでは、行政能力の向上や専門的な知識を持つ職員の育成についても議論されている。
したがって、中核市移行は単なる行政区分の変更ではない。財政、人材、サービスの質を総合的に検討する必要がある政策だ。
市立高校の新設は実現するのか田中氏が掲げるもう一つの注目政策が、市川市立高等学校の創設だ。
市長側は、特色ある教育環境の整備を目指し、国際バカロレア認定校や民間からの校長登用、優秀な指導者の招へいなどを検討項目に挙げている。
一方、保戸田氏は選挙で市立高校の新設に反対する立場を示した。
その理由として挙げたのが、少子化や高校の定員割れへの懸念だ。新しい学校を建設するより、既存の教育環境や教員待遇を改善することを優先すべきだと訴えた。
この政策には、教育の選択肢を増やすというメリットがある一方、建設費や運営費、将来の生徒数といった課題もある。
今後は、学校を新設する必要性と、既存施設を改善する場合の費用対効果を比較することが重要になる。
子育て支援と環境政策も継続的な焦点2期目の所信表明では、子育て世帯への支援も重視されている。
具体的には、第1子の保育料無償化や市川こども手当の創設が掲げられた。
環境政策では、脱炭素先行地域としての取り組み、ごみの分別収集、再資源化や減量化の推進などが示されている。
加えて、スポーツ施設については、Jリーグ参画基準を満たすスタジアムが求められた場合に整備を検討する方針も紹介された。
これらは、子育て世帯から高齢者、スポーツや環境に関心のある市民まで、幅広い生活分野に影響する政策だ。
今後は、発表された構想が実際の予算や事業計画にどう反映されるかが、市政評価の重要な基準になる。
【プロの結論】市川市長選挙2026から読み取るべき3つのポイント
今回の選挙を政治・行政の観点から整理すると、重要なのは次の3点だ。
1.田中氏の再選は継続路線への支持を示した田中氏は90,576票を獲得し、約71.4%の得票率で再選を果たした。
市長としての1期目の実績や、今後の都市政策を継続する方向性が、投票した有権者の中で大きな支持を得たことは明らかだ。
ただし、投票率31.97%という数字も同時に見る必要がある。
2.新人候補の主張にも市政の課題が表れている保戸田氏が掲げた減税や子育て支援、山崎氏が訴えた行政改革は、それぞれ市民生活や行政運営に関係する政策だった。
当選者だけでなく、落選した候補者が示した政策にも、市政を改善するための論点が含まれている。
特に市立高校の新設や大型施設の整備については、必要性と財政負担を丁寧に検証することが欠かせない。
3.2期目は公約の実行力が問われる選挙で掲げた政策は、当選しただけで実現するわけではない。
予算の確保、市議会との調整、職員の配置、市民への説明など、実現までには複数の段階がある。
中核市移行についても、行政権限の拡大によるメリットと財政・人材面の負担を比較する必要がある。
今後の市川市政を評価するなら、政策の発表回数ではなく、予算化、実施状況、利用者への効果まで追うことが重要だ。
【市川市長選挙2026】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年の市川市長選挙で当選したのは誰ですか?
A1:現職の田中甲氏です。2026年4月19日の投開票で90,576票を獲得し、保戸田悠菜氏と山崎けんすけ氏を破って再選しました。
Q2:市川市長選挙2026の投票率は何%でしたか?
A2:31.97%です。前回2022年の38.75%と比較すると、6.78ポイント低下しました。
Q3:市川市長選挙の告示日と投票日はいつでしたか?
A3:告示日は2026年4月12日、投票日は2026年4月19日でした。
Q4:2026年の市川市長選挙の有権者数は何人でしたか?
A4:403,621人です。前回より3,113人増加しました。
Q5:保戸田悠菜氏はどのような政策を掲げていましたか?
A5:市民税・固定資産税の負担軽減、保育料無償化、18歳までの医療費無償化、子育て施設の新設など、家計と子育てを重視した政策を掲げていました。
Q6:山崎けんすけ氏の主な政策は何でしたか?
A6:市役所の採用・人事制度の改革や、学校への補助金制度の見直しなど、行政組織と教育分野の改善を訴えていました。
Q7:田中甲氏の2期目で注目される政策は何ですか?
A7:中核市への移行、市川市立高等学校の創設、第1子の保育料無償化、市川こども手当、環境政策、スポーツ施設の整備などです。
Q8:市川市長選挙の公式結果はどこで確認できますか?
A8:市川市公式Webサイトの「選挙結果調」および「各種選挙結果」で確認できます。選挙管理委員会が掲載する開票結果や過去の選挙資料が、最も基本的な確認先です。
2026年4月19日に行われた第24回市川市長選挙では、現職の田中甲氏が90,576票を獲得し、再選を果たした。
一方、投票率は31.97%となり、前回の38.75%から6.78ポイント低下。市川市の有権者数が403,621人に増えたにもかかわらず、投票者数は約2万6,000人減少した。
今回の選挙は、田中市政の継続が決まった選挙であると同時に、市民の政治参加や行政サービスの将来を考える機会でもあった。
2期目の焦点は、中核市への移行、市立高校の新設、子育て支援、環境政策など、選挙で掲げた構想をどこまで具体化できるかにある。
特に注目したいのは、政策の実現可能性と財政負担のバランスだ。
市民にとって本当に暮らしやすい市川市になるのか。田中市長の2期目は、選挙で示された支持を具体的な成果に変えられるかどうかが問われる4年間となる。