大相撲のお金を理解するうえで、混同しやすいのが「優勝賞金」「三賞」「懸賞金」の3種類です。
いずれも力士の活躍に対して支払われるお金ですが、受け取る条件や支給方法は異なります。
三賞は殊勲賞・敢闘賞・技能賞の3種類三賞とは、幕内で活躍した力士を表彰する制度です。
具体的には次の3つがあります。
- 殊勲賞: 横綱や大関を破るなど、場所の勝敗や優勝争いに大きな影響を与えた力士を評価する賞。
- 敢闘賞: 敢闘精神を発揮し、優れた成績を残した力士を評価する賞。
- 技能賞: 技術面で優れた相撲を見せた力士を評価する賞。
2026年11月場所までは、各賞の賞金が200万円です。
2027年初場所からは、各賞とも300万円に増額されます。
重要なのは、三賞は幕内優勝とは別の表彰だということです。
例えば、優勝争いを盛り上げた力士が優勝を逃しても、殊勲賞や敢闘賞などを受賞する可能性があります。
また、幕内優勝と三賞は別の評価基準であるため、優勝力士が三賞の対象にもなることがあります。
懸賞金は取組ごとにスポンサーから贈られるお金懸賞金は、優勝賞金とはまったく異なる仕組みです。
企業や団体が特定の取組に懸賞をかけ、その取組で勝った力士が受け取ります。
日本相撲協会の公式案内によると、懸賞は幕内の取組にかけることができ、スポンサー名は取組表や場内放送で紹介されます。
懸賞金の基本的な内訳は次のとおりです。
懸賞1本あたりの金額70,000円
6万円
勝ち力士の獲得分
1万円
協会の手数料
2025年5月場所以降の受け取り方法
- 1万円:勝ち名乗りの際に現金で受け取る
- 5万円:本人名義の口座に振り込まれる
2025年5月場所から、懸賞袋に入れる現金は従来の3万円から1万円に変更されました。大量の現金を持ち歩くことによる盗難リスクなどを考慮した措置です。
ただし、勝ち力士が獲得する合計6万円は変わっていません。
例えば、懸賞が10本かかった取組で勝てば、獲得額は合計60万円です。
懸賞金は勝利した取組ごとに発生するため、15日間の優勝を条件とする優勝賞金とは性格が異なります。
優勝賞金・三賞・懸賞金の違い3つの制度を整理すると、次のようになります。
- 優勝賞金:本場所で各段の頂点に立った力士への賞金。
- 三賞:幕内で特に優れた活躍をした力士への表彰。
- 懸賞金:スポンサーが指定した取組で勝った力士への賞金。
この違いを理解すると、優勝しなかった力士にも大きな収入が発生する理由が分かります。
【力士褒賞金・持ち給金】勝ち越しで増える仕組みとは?
大相撲の収入を考える際、もう一つ知っておきたいのが「力士褒賞金」です。
これは、過去の成績を積み重ねていく独特の報酬制度で、「持ち給金」とも呼ばれています。
優勝賞金のように一度きりの支払いではなく、過去の実績がその後の支給額に反映される点が特徴です。
持ち給金は勝ち越しによって積み上がる力士褒賞金は、基本となる標準額に成績に応じた加算を積み重ねていく仕組みです。
主な加算ルールは次のとおりです。
- 幕下以下の基準額:3円
- 勝ち越し1点につき:50銭加算
- 平幕力士が横綱に勝つ金星:10円加算
- 幕内優勝:30円加算
- 幕内全勝優勝:50円加算
ここで注意したいのは、これらの金額が実際に受け取る現金額ではないことです。
持ち給金の標準額に4,000倍を掛けた金額が、場所ごとの力士褒賞金になります。
具体的にいくら受け取れる?例えば、持ち給金が60円の幕内力士の場合、計算は次のとおりです。
60円 × 4,000倍 = 24万円
つまり、最低標準額が60円の幕内力士なら、1場所あたり24万円が基準となります。
さらに勝ち越し1点につき2,000円が加算されるため、8勝7敗であれば、1場所あたりの褒賞金が2,000円増える計算です。
この制度には、長く勝ち越しを重ねてきた力士ほど報酬面でも恩恵を受けられるという特徴があります。
東京地方裁判所の2013年3月25日判決でも、十両以上の力士に支給される力士褒賞金について、標準額の4,000倍を場所ごとに支給し、勝ち越しに応じて増額する仕組みが確認されています。
優勝賞金と持ち給金は別々に考える両者の違いは、支給のタイミングにあります。
優勝賞金は、その場所で優勝したときに受け取る一時的な賞金です。
一方、力士褒賞金は過去の成績を反映し、場所ごとに支給される報酬です。
特に幕内優勝による30円の加算は、4,000倍すると12万円に相当します。全勝優勝なら50円、つまり20万円分の加算です。
優勝した場所だけでなく、その後の場所の褒賞金にも影響する点が、この制度の興味深いところです。
【歴代推移・他競技との比較】幕内優勝賞金2,000万円は高い?
今回の賞金改定を理解するには、過去の改定時期と他競技の賞金水準を比較することも参考になります。
幕内優勝賞金の歴代推移今回の改定で注目されるのは、33年間にわたって幕内優勝賞金が据え置かれていたことです。
これまでの大きな転換点は次の2つです。
1994年:500万円から1,000万円へ
前回の改定は1994年1月場所。幕内優勝賞金は、それまでの500万円から1,000万円に倍増しました。
その後、2026年11月場所まで1,000万円が維持されます。
2027年:1,000万円から2,000万円へ
2026年7月30日の日本相撲協会の理事会で、2027年初場所からの倍増が決定しました。
1994年以来33年ぶりの改定であり、再び幕内優勝賞金が倍になります。
この推移を見ると、今回の変更が単なる小幅な増額ではなく、賞金制度の大きな節目であることが分かります。
他競技と比較すると2,000万円はどの水準?2027年からの幕内優勝賞金2,000万円を、ほかのスポーツと比べてみましょう。
参考になるのが、2026年に開催された男子プロゴルフの大会です。
例えば、ANAオープンゴルフトーナメント2026では、賞金総額が1億円、優勝賞金が2,000万円に設定されていました。
つまり、2027年からの大相撲の幕内優勝賞金は、国内男子プロゴルフの主要大会における優勝賞金と同水準です。
ただし、競技ごとに大会日数、出場人数、スポンサー収入、賞金総額の配分方法は異なります。
単純に金額だけで競技の価値を比較することはできません。
それでも、個人競技の優勝者に支払われる賞金として2,000万円という水準は、国内スポーツの中でも存在感のある金額です。
【プロの結論】優勝賞金だけでは分からない大相撲の報酬構造
大相撲の賞金制度を理解するうえで重要なのは、力士の収入を優勝賞金だけで判断しないことです。
実際には、番付や成績、取組ごとのスポンサー賞金など、複数の仕組みが組み合わさっています。
特に押さえたい要点は3つあります。
1. 優勝賞金は一場所の最高成績に対する報酬
幕内優勝賞金は2026年中が1,000万円、2027年初場所から2,000万円です。
しかし、優勝できなければ、この賞金は受け取れません。
2. 懸賞金は勝利を重ねることで獲得できる
スポンサーが懸賞をかけた取組に勝てば、優勝の有無に関係なく獲得できます。
人気力士や注目カードに懸賞が集まりやすいことも、大相撲ならではの特徴です。
3. 持ち給金は過去の実績が将来の報酬につながる
勝ち越しや金星、優勝などの実績が積み重なるため、長期的な成績も報酬に影響します。
こうした複数の制度を理解すれば、番付だけでは見えない力士の経済的な評価も分かってきます。
【大相撲の優勝賞金】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年11月場所の幕内優勝賞金はいくらですか?
2026年11月場所の幕内優勝賞金は1,000万円です。2,000万円への増額は2027年1月の初場所から適用されます。
Q2:2027年から十両や幕下の優勝賞金も増えますか?
増えます。十両は200万円から300万円、幕下は50万円から70万円、三段目は30万円から50万円、序二段は20万円から30万円、序ノ口は10万円から20万円になります。
Q3:三賞や懸賞金は優勝賞金と一緒にもらえますか?
それぞれ別の制度です。三賞は殊勲賞・敢闘賞・技能賞の受賞に対する賞金で、懸賞金は懸賞のかかった取組に勝つことで獲得できます。条件を満たせば、優勝賞金と三賞など複数の報酬を受け取ることもあります。
大相撲の優勝賞金は、2026年11月場所まで幕内1,000万円、十両200万円、幕下50万円、三段目30万円、序二段20万円、序ノ口10万円です。
2026年7月30日に日本相撲協会が発表した改定によって、2027年初場所から幕内は2,000万円に倍増。十両以下の各段も増額され、三賞も1賞あたり300万円になります。
今回の変更は1994年以来33年ぶり。力士の待遇改善を目的とした大きな制度変更です。
今後、大相撲を観戦するときは、優勝賞金だけでなく、三賞、懸賞金、力士褒賞金にも注目してみてください。それぞれの仕組みを知ることで、優勝争いだけでは見えない力士たちの努力や活躍を、より深く楽しめます。