大相撲の優勝賞金は、幕内から序ノ口までの6段階に分かれています。2026年11月場所まで適用される金額を整理すると、次のとおりです。
幕内最高優勝1,000万円
2026年11月場所まで
十両
200万円
幕下
50万円
三段目
30万円
序二段
20万円
序ノ口
10万円
ここで押さえておきたいのは、幕内だけでなく、十両や幕下以下にも独立した優勝制度と賞金があることです。幕下以下の力士は関取のような月給を受け取る立場ではありませんが、各段の優勝は実績として評価され、賞金も支給されます。
幕内優勝賞金1,000万円はいつから?幕内優勝賞金は、1994年の改定で500万円から1,000万円に引き上げられました。その後、2026年まで基本額は維持されています。
つまり、約33年間にわたり幕内優勝の賞金は1,000万円でした。物価や力士を取り巻く経済環境が変化するなか、今回の増額は長年据え置かれていた報酬水準を見直す動きでもあります。
十両優勝賞金は200万円十両優勝の賞金は200万円です。幕内の1,000万円と比較すると5分の1ですが、十両は関取として月給が支給される番付であり、幕下以下とは待遇が異なります。
十両への昇進は、力士にとって収入面でも大きな転換点です。優勝賞金だけでなく、月給や各種手当なども含めて考える必要があります。
幕下・三段目・序二段・序ノ口の賞金幕下以下の優勝賞金は、幕下50万円、三段目30万円、序二段20万円、序ノ口10万円です。
特に序ノ口は入門間もない力士も参加する番付です。ここから序二段、三段目、幕下、十両、幕内へと上がっていくため、各段の優勝は力士の成長過程を示す重要な実績になります。
【賞金の仕組み】優勝賞金・懸賞金・三賞・力士褒賞金は何が違う?
大相撲の報酬を理解するうえで、混同しやすいのが優勝賞金、懸賞金、三賞、力士褒賞金の4種類です。
テレビ中継で力士が分厚い懸賞袋を受け取る場面や、千秋楽の表彰式で賞金を授与される場面は、いずれも力士の収入に関係します。しかし、それぞれ支給される条件も計算方法も違います。
優勝賞金と三賞の関係優勝賞金は、各段の優勝者に対して支給される報酬です。一方、三賞は幕内で優れた活躍をした関脇以下の力士を対象に選ばれる賞です。
三賞には次の3種類があります。
- 殊勲賞: 横綱・大関を破るなど、優勝争いに大きな影響を与えた力士を評価する賞。
- 敢闘賞: 旺盛な敢闘精神を発揮し、場所を盛り上げた力士を評価する賞。
- 技能賞: 優れた技術や相撲内容を披露した力士を評価する賞。
三賞は必ず毎場所すべての賞が授与されるわけではありません。選考の結果、受賞者がいない賞が出ることもあります。1人の力士が複数の賞を受けることも可能です。
報酬の種類と仕組みを比較それぞれの報酬が何に対して支給されるのかを整理すると、次のようになります。
このように、優勝賞金だけを見ても、力士が本場所で得る報酬の全体像は分かりません。特に懸賞金と力士褒賞金は、仕組みを知ると観戦の見方が変わる部分です。
懸賞金は1本7万円!勝った力士はいくら受け取る?懸賞金は、企業や団体などが特定の取組に対して提供する賞金です。日本相撲協会の公式説明によると、懸賞1本の金額は7万円(税込)。協会の手数料1万円を差し引き、勝った力士が6万円を獲得します。
ただし、6万円すべてが土俵上で現金として手渡されるわけではありません。2025年5月場所から受け取り方法が変更され、次のようになりました。
- 土俵上で受け取る現金:1万円
- 銀行口座への振り込み:2万円
- 預り金・積立分:3万円
従来は土俵上で3万円を受け取っていましたが、大量の現金を持ち歩くことによる盗難リスクなどを考慮し、現金部分が1万円に変更されました。勝った力士の獲得額6万円自体は変わっていません。
例えば、ある取組に懸賞が10本かかっていた場合、勝った力士の獲得額は合計60万円です。そのうち土俵上で受け取る現金は10万円となります。
力士褒賞金と持ち給金とは?力士褒賞金は、過去の成績に応じて積み上がる報酬制度です。その基礎となる数字を「持ち給金」と呼びます。
持ち給金は、入門後の成績によって加算されます。基本的な加算条件は次のとおりです。
- 勝ち越し星1点につき50銭を加算。
- 平幕力士が横綱に勝つ金星は10円を加算。
- 幕内優勝で30円を加算。
- 幕内全勝優勝では50円を加算。
持ち給金は1円単位の数字ですが、実際の支給額はその4,000倍です。年6回の本場所ごとに支給されるため、持ち給金が1円増えると、1場所当たり4,000円、年間では2万4,000円の増加になります。
例えば、幕内優勝によって30円加算された場合、1場所当たり12万円、年間では72万円分の支給増につながる計算です。これは優勝賞金1,000万円とは別の仕組みです。
つまり、優勝賞金はその場所の成果に対する一時的な報酬であり、力士褒賞金は現役生活を通じて積み上げる実績連動型の報酬です。この違いを理解すると、大相撲の収入構造がより明確になります。
【2027年1月から大幅増額】幕内優勝賞金2,000万円への改定内容
2026年7月30日、日本相撲協会は理事会で優勝賞金や力士の給与・手当の改定を発表しました。適用開始は2027年1月の初場所です。
幕内優勝賞金は1,000万円から2,000万円へ倍増。十両以下もすべて増額され、三賞の賞金も各200万円から300万円へ引き上げられます。
2026年と2027年の優勝賞金を比較出典:2026年7月30日の日本相撲協会の理事会決定に関する日刊スポーツ、デイリースポーツの報道。金額は1人の受賞者に対する額。
特に注目されるのは幕内です。これまでの1,000万円から一気に1,000万円増え、優勝するだけで2,000万円を獲得できる制度になります。
また、幕下以下もすべて増額されます。序ノ口の優勝賞金は10万円から20万円へと倍増し、最下位の番付にも待遇改善の効果が及びます。
なぜ33年ぶりに賞金が改定されたのか?今回の改定には、大きく分けて3つの背景があります。
1つ目は、協会の収益状況です。日刊スポーツの2026年7月31日の報道によると、日本相撲協会は好調な入場券収入やグッズ販売などを背景に、前年度に約13億円の黒字を計上しました。その収益を力士の待遇改善に還元する形となりました。
2つ目は、物価高への対応です。1994年に幕内優勝賞金が1,000万円になって以降、長期間にわたり基本額は変わっていませんでした。生活費や競技活動に関わる費用が上昇するなか、従来の待遇を見直す必要性が高まっていました。
3つ目は、他競技との比較です。日本相撲協会の広報部長を務める藤島親方(元大関・武双山)は、他競技の賞金水準も比較したうえで、幕内優勝賞金2,000万円について相応の価値があるとの考えを示しました。
「他競技とも比べた。幕内優勝は2000万円で、そのくらいの値打ちはある」
藤島親方の説明。2026年7月30日の日刊スポーツ報道より。
さらに今回の改定では、優勝賞金だけでなく、関取の月給や幕下以下の場所手当、勝星金、勝越金も引き上げられます。優勝者だけを優遇するのではなく、力士全体の待遇を改善する方向性が特徴です。
【2026年の注目力士】安青錦の名古屋場所優勝と賞金の価値
安治川部屋・関脇として出場
2026年7月26日、12勝3敗で3度目の幕内優勝を達成。
2026年の大相撲を語るうえで注目したいのが、7月の名古屋場所で優勝した安青錦です。
安青錦は2026年名古屋場所の千秋楽で、関脇として優勝争いに臨みました。本割では関脇・熱海富士に敗れたものの、大関・霧島を含む3人による優勝決定ともえ戦に進出。熱海富士と霧島を連破して、3場所ぶり3度目の幕内優勝を決めました。
加えて、この場所は大関復帰を決めた場所でもありました。夏場所を全休して関脇に陥落した安青錦は、名古屋場所で10勝を挙げ、1場所での大関復帰を決めています。大関復帰と幕内優勝を同時に達成したことは、大きな話題になりました。
優勝賞金以外にも豪華な副賞がある幕内優勝力士に贈られるものは、1,000万円の賞金だけではありません。
代表的なものが、天皇賜盃(てんのうしはい)、優勝旗、内閣総理大臣杯です。
日本相撲協会の公式クイズでは、それぞれの重さについて、天皇賜盃が約29kg、優勝旗が約5.5kg、内閣総理大臣杯が約40kgと紹介されています。賞金だけでなく、こうした象徴的な表彰品も幕内最高優勝の大きな名誉です。
名古屋場所では名古屋コーチン100kgなどの副賞も2026年の名古屋場所では、愛知県が幕内優勝力士に知事賞を贈呈しました。
愛知県の公式発表によると、副賞は次の内容でした。
- 名古屋コーチンの肉100kg
- 名古屋コーチンの卵1,000個
- 愛知県産の花200本
愛知県は1958年から名古屋場所の幕内優勝力士に知事賞を贈呈しており、1985年からは県の特産品も副賞として提供しています。地域の魅力を全国に発信する役割も担っています。
このように、優勝力士が得るものは現金だけではありません。各地の自治体や企業、海外の団体などから贈られる賞もあり、千秋楽の表彰式が華やかになる理由の一つです。
【歴代推移と税金】相撲の優勝賞金は手取りでいくらになる?
幕内優勝賞金の歴代推移幕内優勝賞金の歴史を大きく整理すると、今回の改定がいかに大きな変更なのかが分かります。
幕内優勝賞金の変遷
1993年まで
500万円
改定前の賞金額
1994年~2026年
1,000万円
33年間にわたって基本額を維持
2027年1月から
2,000万円
33年ぶりの改定。従来の2倍
1994年の改定では500万円から1,000万円に、2027年の改定では1,000万円から2,000万円になります。いずれも倍増という共通点があります。
ただし、これは幕内優勝賞金の推移です。十両以下や三賞については、それぞれ別の金額設定と改定履歴があります。
優勝賞金に税金はかかる?気になるのが、優勝賞金1,000万円を獲得した場合、実際にいくら手元に残るのかという点です。
優勝賞金や三賞の賞金、懸賞金などは、税務上の収入として取り扱われます。ただし、賞金の所得区分は支給の目的や受け取る人の活動との関係によって異なります。
国税庁によると、懸賞や福引きの賞金品は、業務に関して受け取るものを除き、一時所得に該当します。一時所得の場合、総収入から直接必要だった支出と最高50万円の特別控除を差し引き、その金額の2分の1を他の所得と合算して課税所得を計算する仕組みです。
一方、プロとして活動する力士が競技成績に応じて受け取る賞金について、一律に一時所得の計算式を当てはめて手取り額を出すことはできません。実際の税務処理は所得の性質や個人の状況によって変わります。
したがって、幕内優勝賞金1,000万円なら手取りはいくら、2027年の2,000万円なら手取りはいくら、と単純に断定することはできません。
優勝賞金は額面で表示される金額であり、最終的な手取りは税金や個人の所得状況などを踏まえて判断する必要があります。
【知らないと損する】相撲の優勝賞金に関する誤解と注目ポイント
大相撲の賞金制度には、数字だけを見ると誤解しやすい部分があります。特に、懸賞金と優勝賞金の混同、幕下以下の待遇、2027年の改定時期には注意が必要です。
誤解1:懸賞金と優勝賞金は同じもの?両者はまったく別の報酬です。懸賞金は個々の取組に勝利した力士が獲得するもので、優勝賞金は本場所の最終成績で各段の優勝を決めた力士に支給されます。
懸賞が多数かかった取組で勝てば、優勝争いとは関係なく懸賞金を獲得できます。逆に、優勝した力士でも、懸賞の付いた取組で勝たなければ、その取組の懸賞金は受け取れません。
誤解2:幕下以下の力士にも月給がある?幕下・三段目・序二段・序ノ口の力士は、十両以上の関取とは待遇が異なります。原則として月給制ではなく、本場所ごとの場所手当や勝星金、勝越金などが支給されます。
この違いは、番付の重要性を示すものです。幕下と十両の間には、優勝賞金の差だけでなく、月給の有無という大きな待遇の違いがあります。
誤解3:2027年の賞金改定は2026年中に適用される?適用開始は2027年1月の初場所です。2026年11月場所までは、幕内1,000万円、十両200万円などの従来の金額が適用されます。
ニュースで2,000万円という数字を見ても、2026年の本場所ですでに新しい賞金が支給されているわけではありません。
2027年以降に注目すべきポイント今回の改定で注目したいのは、賞金の増額だけでなく、力士全体の待遇が同時に見直されている点です。
日刊スポーツの報道によると、2027年から関取の月額給与も改定され、横綱は300万円から330万円、大関は250万円から275万円、幕内は140万円から155万円、十両は110万円から120万円になります。幕下以下の場所手当なども引き上げられます。
つまり、優勝争いに加わる上位力士だけでなく、番付を上げようと努力する力士にも報酬改善が及ぶことになります。今後は、優勝賞金と月給、持ち給金を合わせた報酬制度全体の変化にも注目したいところです。
【相撲の優勝賞金】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:幕内優勝賞金は2026年現在いくらですか?
A1:2026年11月場所までは1,000万円です。2027年1月の初場所からは2,000万円に増額されます。
Q2:十両優勝賞金はいくらですか?
A2:2026年11月場所までは200万円です。2027年1月からは300万円になります。
Q3:幕下・三段目・序二段・序ノ口の優勝賞金はいくらですか?
A3:2026年11月場所までは、幕下50万円、三段目30万円、序二段20万円、序ノ口10万円です。2027年1月からは、それぞれ70万円、50万円、30万円、20万円に増額されます。
Q4:三賞を受賞すると賞金はいくらもらえますか?
A4:2026年11月場所までは、殊勲賞・敢闘賞・技能賞の各賞が200万円です。2027年1月からは各300万円になります。複数の賞を受賞した場合は、それぞれの賞金が対象になります。
Q5:懸賞金1本で力士はいくら受け取りますか?
A5:懸賞1本は7万円で、協会手数料1万円を差し引いた6万円が勝者の獲得額です。2025年5月以降は、土俵上で1万円を受け取り、残り5万円は口座への振り込みなどで管理されます。
Q6:2026年名古屋場所の優勝力士は誰ですか?
A6:安治川部屋の安青錦です。2026年7月26日の千秋楽に、熱海富士と霧島との優勝決定ともえ戦を制し、3度目の幕内優勝を果たしました。
Q7:優勝賞金には税金がかかりますか?
A7:賞金は税務上の収入として扱われます。ただし、所得区分や実際の税額は受け取る報酬の性質や個人の所得状況によって異なるため、一律の手取り額は決められません。
2026年現在の大相撲の優勝賞金は、幕内1,000万円、十両200万円、幕下50万円、三段目30万円、序二段20万円、序ノ口10万円です。
2027年1月の初場所からは、幕内優勝賞金が2,000万円に倍増し、十両以下も20万円から300万円まで、それぞれの番付に応じて増額されます。三賞も各300万円となり、力士全体の待遇改善が進みます。
また、力士の報酬は優勝賞金だけではありません。懸賞金、三賞、力士褒賞金、持ち給金、副賞など、複数の制度によって構成されています。特に懸賞金は取組ごと、力士褒賞金は過去の実績に応じて支給される点が重要です。
今回の33年ぶりの改定は、単に幕内優勝者の賞金が増えるという話ではありません。十両以下の優勝賞金や給与・手当も含め、相撲界全体の報酬体系を見直す大きな節目です。
2027年以降は、優勝争いの行方とともに、待遇改善が力士の競技生活や大相撲のさらなる発展にどのような影響を与えるのかにも注目が集まります。
主な参照資料:日本相撲協会公式サイト、国税庁、愛知県公式発表、日刊スポーツ、デイリースポーツ、共同通信社。賞金額は2026年11月場所までの現行額と2027年1月からの改定予定額を区別して記載。