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【IVY選抜とは?】アイビーリーグ8大学から集まる特別な合同チーム

各務 亮 各務 亮 • 更新: • 公開: • 読了約 19 分
目次

IVY選抜の正式な呼び方は「アイビーリーグ選抜(Ivy League Select)」です。米国北東部にある名門私立大学群、アイビーリーグに所属する大学のランナーを中心に構成されています。

ここで押さえておきたいのは、IVY選抜が特定の大学の陸上部ではないという点です。

ハーバード大学やプリンストン大学など、普段は異なる大学で競技している選手たちが、日本の駅伝大会に出場するために一つのチームを組みます。

アイビーリーグを構成する8大学

アイビーリーグは、もともと米国の大学スポーツにおけるリーグとして成立した8大学の集まりです。現在は学術研究や教育面でも世界的な知名度を持っています。

構成する大学は次の8校です。

1. ハーバード大学(Harvard University)
2. エール大学(Yale University)
3. プリンストン大学(Princeton University)
4. コロンビア大学(Columbia University)
5. ペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)
6. ブラウン大学(Brown University)
7. ダートマス大学(Dartmouth College)
8. コーネル大学(Cornell University)

ただし、8大学すべてから毎年必ず選手が選ばれるわけではありません。

2026年のIVY選抜も、ハーバード、プリンストン、コロンビア、コーネルの4大学からメンバーが集まりました。

つまり、アイビーリーグ8大学の代表者が必ず1人ずつ参加する仕組みではなく、出場可能な選手の実力や競技状況を踏まえて編成するチームなのです。

ハーバード大学の陸上競技はどれほど強い?

IVY選抜を理解するうえで欠かせないのが、ハーバード大学の陸上競技部です。

ハーバード大学はアイビーリーグの中でも長距離競技に強い選手を輩出しており、グラハム・ブランクスのように米国代表として国際大会に出場するランナーもいます。

ブランクスは2024年パリ五輪の男子5000mで9位に入り、2025年の東京世界陸上では男子10000mに出場して11位となりました。

5000mの自己ベストは12分47秒98、10000mは26分57秒30。日本のトップランナーと比較しても非常に高い水準の記録です。

IVY選抜は単に大学の知名度を背負って走るチームではありません。国際大会で実績を持つ選手が参加する、競技力の高い合同チームでもあります。

【なぜ出雲駅伝に招待される?】1998年の初出場と誕生の経緯

ivy選抜とは

IVY選抜が日本の駅伝に参加するようになった背景には、日米の陸上競技関係者による国際交流の構想がありました。

始まりは1980年代の招待構想

朝日新聞社の学生スポーツメディア「4years.」の取材によると、構想が生まれたのは1980年代です。

当時、日本陸上競技連盟の会長を務めていた河野洋平氏と、ブラウン大学卒業生のヴァーノン・オールデン氏との間で、アイビーリーグの学生に国際的な競技経験を積ませる構想が進みました。

その結果、IVY選抜は1990年から1997年まで全日本大学駅伝に参加しました。

しかし、全日本大学駅伝には20km近い長距離区間があり、当時のチームにとっては対応が難しい部分もありました。

そこで参加する大会を変更し、1998年から出雲駅伝に招待されるようになったのです。

なぜ出雲駅伝だったのか

理由の一つは、距離の違いです。

出雲駅伝は全日本大学駅伝や箱根駅伝と比較して総距離が短く、スピードを生かしたレース展開になりやすい大会です。

米国の大学長距離選手にとっても、比較的短い区間を複数の選手でつなぐ形式は、新しい競技経験を得る機会になりました。

もう一つの理由は国際交流です。

出雲駅伝は日本の大学駅伝文化を海外に伝える役割も担っています。選手が日本の学生ランナーと競い、たすきをつなぐ経験をすること自体に意味があります。

2025年の取材で日本学生陸上競技連合の国際委員長を務める益田岳志氏も、国際交流や日本文化を伝えるという観点から招待の意義を説明しています。

なお、IVY選抜の参加は毎年自動的に保証されたものではありません。招待には費用がかかり、競技成績や大会への貢献度を踏まえて継続の是非が議論されてきました。

1998年から現在までの主な転換点

歴代成績を振り返ると、IVY選抜が最初から強豪チームだったわけではないことが分かります。

出雲駅伝の公式過去記録では、初出場の1998年は15位。1999年は17位、2000年は14位でした。

2011年と2012年には選手確保の難しさから、主催者との協議を経てアイビーリーグ以外の米国選手も含めた編成を行い、2年連続で8位に入りました。しかし、チーム名と実際の所属大学の違いを指摘する声もあり、2013年から再びアイビーリーグ出身者を中心とする編成に戻っています。

その後、2015年に9位を記録。長い期間、上位進出には届きませんでしたが、2024年以降に成績が大きく変わります。

【2026年最新メンバー】IVY選抜8人の所属大学と注目選手

2026年のIVY選抜は、ハーバード大学、プリンストン大学、コーネル大学、コロンビア大学から計8人が登録されました。

チームの公式メンバー紹介と出雲駅伝の確定オーダーを照らし合わせると、実際に走った6人と補員の2人は次のとおりです。

2026年の登録メンバー一覧
選手名 所属大学 2026年の役割 主な自己ベスト ニック・ベンドツェン プリンストン 1区 5000m 13:35.15 マイルズ・ホーガン プリンストン 2区 5000m 13:20.36 グラハム・ブランクス ハーバード 3区 5000m 12:47.98 タイラー・バーグ コロンビア 4区 10000m 28:21.29 デレック・アミコン コーネル 5区 10000m 28:33.75 エイサー・アイバーソン ハーバード 6区 10000m 28:20.33 ダミアン・ハケット コーネル 補員 5000m 13:48.02 ジャクソン・ショートン プリンストン 補員 5000m 13:49.83

出典:2026年アイビーリーグ選抜公式メンバー紹介、出雲駅伝確定オーダー。自己ベストは各選手の公表記録。

注目選手① グラハム・ブランクス


2026年チームの看板選手です。5000m12分47秒98、10000m26分57秒30という自己ベストを持ち、パリ五輪や世界陸上にも出場しました。

世界レベルのスピードを駅伝の区間に持ち込める存在であり、IVY選抜の競技力を象徴するランナーです。

注目選手② エイサー・アイバーソン


ハーバード大学を卒業した長距離ランナーです。2026年は最終6区を担当し、チームを3位に押し上げました。

2024年、2025年の出雲駅伝にも参加しており、大会経験を持つ選手として重要な役割を果たしました。

注目選手③ デレック・アミコン


コーネル大学出身のランナーです。2026年は5区を担当し、区間2位の17分36秒を記録。区間新記録の力走で順位を大きく押し上げました。

後半の勝負どころで存在感を示した選手です。

2026年のチームは、単に有名選手を集めただけではありません。過去の出雲駅伝を経験した選手が複数残り、各区間の特徴を理解した状態で大会に臨めたことも強みでした。

【過去最高3位の快挙】IVY選抜の歴代成績と2026年のレース分析

2026年10月12日、第38回出雲全日本大学選抜駅伝競走が島根県で開催されました。

出雲大社正面鳥居前から出雲ドームまでの全6区間、45.1kmを走る大会です。

IVY選抜は2時間7分24秒で3位に入り、初の表彰台を実現しました。

IVY選抜の歴代成績の主な転換点
年 順位・出来事
1998年 出雲駅伝初出場・15位
1999年 17位
2011年 全米から選手を募る編成で8位
2012年 同方式で8位
2013年 アイビーリーグ出身者中心の編成に復帰
2015年 9位。それまでの出雲駅伝での最高順位
2020~2022年 コロナ禍で招待参加を見合わせ
2024年 5位。従来の最高順位を更新
2025年 4位。さらに順位を更新
2026年 3位。史上初の表彰台、過去最高順位

特に2024年以降の成績上昇は注目に値します。

長く中位から下位にとどまっていたチームが、わずか3大会で5位、4位、3位と順位を上げました。

2026年はどのように3位まで順位を上げたのか

2026年のレースを区間ごとに振り返ります。

- 1区・ニック・ベンドツェン:23分05秒、区間10位

先頭集団につきましたが、終盤に先頭から離れ、10位で中継しました。

- 2区・マイルズ・ホーガン:15分51秒、区間4位

粘り強い走りで3つ順位を上げ、7位まで浮上しました。

- 3区・グラハム・ブランクス:23分50秒、区間7位

注目の世界級ランナーが登場。大きく順位を落とさず、7位を維持しました。

- 4区・タイラー・バーグ:17分25秒、区間5位

一時的に順位を落としましたが、上位との差を大きく広げずに次へつなぎました。

- 5区・デレック・アミコン:17分36秒、区間2位

3人を抜く力走。区間新記録を樹立し、チームを5位まで押し上げました。

- 6区・エイサー・アイバーソン:29分37秒、区間5位

日本大学と中央大学を抜き、3位でゴール。歴史的な表彰台を決めました。

特筆すべきは、グラハム・ブランクスだけに頼らず、5区と6区で勝負を決めたことです。

日刊スポーツの区間別記録でも、アミコンの17分36秒は区間2位、アイバーソンの29分37秒は区間5位と確認できます。

2026年の上位3チームを比較
順位 チーム 総合タイム
1位 早稲田大学 2時間05分56秒
2位 國學院大學 2時間06分54秒
3位 IVY選抜 2時間07分24秒

4位の順天堂大学は2時間7分33秒でした。IVY選抜との差はわずか9秒です。

海外からの招待チームが、日本の大学駅伝の強豪と最後まで競り合える実力を示した大会でした。

【IVY選抜の選考方法】日本の大学駅伝とは何が違う?

IVY選抜の強さを理解するには、選手の集め方とチームの作り方にも注目する必要があります。

選考は単純な大学別代表選出ではない

選考を担当するジャック・フルツ監督は、長年にわたり候補選手の発掘とチーム編成に携わっています。

2025年の4years.の取材によれば、選手の確保にはNCAA(全米大学体育協会)の競技資格規定が関係します。

NCAAの公式戦出場資格が残っている学生は、NCAA公認ではない大会への参加に制約が生じるため、出雲駅伝に出場できる選手を探すこと自体が簡単ではありません。

そのため、主に次のような条件を踏まえて候補を探します。

- NCAAの競技資格上限に達した大学生。
- 主催者との取り決めに基づく年齢基準を満たす卒業生。
- 卒業後も競技を続けている長距離ランナー。
- 出雲駅伝に向けて遠征日程を調整できる選手。

選手探しでは、各大学の卒業生やOBネットワークも活用されています。

以前は監督が候補者を個別に探して連絡する方法が中心でしたが、近年は卒業生からの情報提供も選手発掘に役立っています。

つまり、単純に5000mや10000mのタイムだけで決まる公開トライアルではありません。競技力、参加資格、遠征への対応、チーム構成などが関係する選考です。

日本の大学駅伝との違い
比較項目 IVY選抜 日本の大学駅伝チーム
チーム構成 複数大学から選抜 原則として同一大学
選手の関係 大学時代はライバルの場合もある 同じ陸上部の仲間
練習環境 各自の拠点で練習 大学単位の共同練習が中心
チーム形成 大会に向けて合同チームを編成 日常的な練習で連携を構築
大会経験 出雲駅伝の経験者を再招集する場合もある 大学チームとして継続的に参加

日本の大学駅伝では、同じ大学に所属する選手が日常的に練習を重ね、駅伝シーズンに向けてチームを作ります。

一方、IVY選抜は異なる大学の選手が大会のために集まるチームです。

選手同士が普段から同じ環境で練習しているとは限らず、選考後も個別にトレーニングするケースがあります。

以前は出雲空港で初めて顔を合わせる選手もいたと報じられています。

この違いは、駅伝において決して小さくありません。

個人の走力が高くても、たすきを受け渡すタイミング、前の選手の走りを受け止める意識、後続へつなぐ責任感は、チームとして経験しなければ身につきにくいからです。

【プロの結論】IVY選抜が強くなった本当の理由と今後の可能性

IVY選抜の2026年3位は、単に有力選手が集まった結果だけでは説明できません。

大きな変化は、チームとして駅伝に向き合う姿勢が変わってきたことです。

強化の鍵はOBとのつながりと駅伝文化の理解

2024年以降、IVY選抜は選手の競技力だけでなく、チームの結束を高める取り組みに力を入れてきました。

出雲駅伝を経験したOBが、新しい選手にオンラインで大会経験を共有する取り組みも始まっています。

ジョーダン・マンコーチも、2017年から2019年まで出雲駅伝に3大会連続で出場した経験を持つ人物です。

自身が走った経験を生かし、選手たちに日本の駅伝文化やたすきをつなぐ意味を伝えてきました。

また、2026年は走った6人のうち4人が前年の出雲駅伝経験者でした。

こうした継続性が、短期間で集まる合同チームの弱点を補っています。

3位は偶然ではなく、チーム作りの成果

2026年のレースでは、ブランクスのような世界的実績を持つ選手が注目を集めました。

しかし、実際に順位を押し上げたのは、ホーガン、アミコン、アイバーソンらの走りでもありました。

5区で順位を3つ上げ、6区でさらに2チームを抜いた展開は、個人の記録だけでは測れない駅伝の面白さを示しています。

また、2026年の取材では、選手たちが前日のミーティングでたすきに込める思いを共有し、「つながり」をテーマにチームとしての意識を高めていたことも紹介されています。

アイビーリーグのライバル同士が、わずか1週間でもチームメートになる。その経験自体が、選手たちにとって大きな意味を持っています。

IVY選抜について知っておきたい3つの誤解

誤解1:IVY選抜はハーバード大学のチームである

違います。ハーバード大学の選手が目立つことはありますが、複数の大学から選ばれた合同チームです。

誤解2:アイビーリーグ8大学すべてが毎年代表を出す

これも正確ではありません。2026年の登録選手は4大学から構成されていました。

誤解3:2026年の3位は選手個人の記録だけで実現した

ブランクスのような世界級選手は大きな魅力ですが、実際の順位を決めたのは6人の総合力です。特に後半区間の追い上げが3位という結果につながりました。

今後のIVY選抜を見るときは、出場選手の5000mや10000mの自己ベストだけでなく、過去の出雲駅伝経験者が何人いるか、チームとしてどのような準備をしてきたかにも注目すると、レースをより深く楽しめます。

【IVY選抜とは?】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:IVY選抜はどこの国のチームですか?

A1:アメリカのチームです。アイビーリーグに所属する8大学のランナーを中心に編成され、日本の出雲駅伝に海外招待チームとして参加しています。

Q2:IVY選抜はなぜ出雲駅伝に出場しているのですか?

A2:1980年代に生まれた日米の陸上競技交流構想が始まりです。1990年から全日本大学駅伝に参加し、1998年から出雲駅伝に招待されるようになりました。日本の駅伝文化を海外に伝える意味もあります。

Q3:IVY選抜の2026年のメンバーは誰ですか?

A3:ニック・ベンドツェン、マイルズ・ホーガン、グラハム・ブランクス、タイラー・バーグ、デレック・アミコン、エイサー・アイバーソン、ダミアン・ハケット、ジャクソン・ショートンの8人です。実際に走ったのは前半6人で、後半の2人は補員でした。

Q4:IVY選抜の出雲駅伝での過去最高順位は何位ですか?

A4:2026年の第38回大会で記録した3位です。2024年の5位、2025年の4位に続いて順位を更新し、初めて表彰台に立ちました。

IVY選抜とは、米国の名門アイビーリーグ8大学のランナーを中心に編成される合同チームです。

1990年に日本の大学駅伝へ初参加し、1998年から出雲駅伝に招待されてきました。

長年にわたり上位進出に苦しんできましたが、2024年の5位、2025年の4位を経て、2026年には2時間7分24秒で過去最高の3位を記録しました。

グラハム・ブランクスやエイサー・アイバーソンといった実力者の存在に加え、OBとの連携、駅伝文化への理解、経験者を中心としたチーム作りが成長を支えています。

特に注目したいのは、IVY選抜が単なる海外の有力選手の寄せ集めから、駅伝の精神を理解した一つのチームへと変わりつつあることです。

2026年の表彰台は、その積み重ねが結果になった大会でした。

今後は、2026年の3位を超えて優勝争いに加われるかが大きな見どころです。日本の大学駅伝に新たな刺激を与える国際チームとして、次回以降の出雲駅伝でも存在感を示すことが期待されます。

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各務 亮

アニメ・漫画の制作発表を担当。制作会社・出版社の公式告知と原作者コメントを確認してから記事化します。

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