「小学校の給食が少なすぎる」「おかずがほとんどない」「昔よりまずくなった気がする」――。子どもからこうした話を聞き、学校給食の質や量に疑問を抱く保護者は少なくない。2026年は小学校給食費の抜本的な負担軽減が全国的に始まり、無償化と給食内容の関係にも関心が集まっている。
実際、横浜市には給食費の実質無償化後に量や味が変わったのではないかという市民の声が寄せられ、札幌市でも給食の写真をきっかけに「量が少なすぎる」と議論が広がった。一方、自治体側は栄養基準や献立の内容を維持していると説明している。問題は、栄養基準を満たしていることと、子どもが十分に食べたと感じられることが必ずしも同じではない点にある。
この記事では、2026年11月時点の文部科学省の最新調査、横浜市の学年別提供量、札幌市の1食382円という食材価格、給食費無償化の制度設計などを検証する。小学校給食が「ひどい」と言われる背景を整理し、本当に改善が必要な部分と、誤解されやすいポイントを明らかにする。
【小学校給食がひどいと言われる5つの理由】量・味・おかずへの不満の正体

小学校給食への不満は、単に「おいしくない」という感想だけではない。保護者や児童が問題にしているのは、食事の量、献立の構成、味付け、食材の質、そして食べる時間まで含めた給食全体の満足度だ。
特に多く見られる論点は次の5つである。
1. 成長期なのに量が少ないと感じる小学校では1年生と6年生で体格も食事量も大きく異なる。給食は学年や年齢に応じて調整されるが、同じ学年でも食欲や活動量には個人差がある。
例えば、運動量が多い児童や食欲旺盛な児童にとって、標準的な給食量では足りないことがある。
また、家庭で食べる夕食や休日の食事と比べると、給食の量が少なく感じられるケースもある。
ここで見落とせないのが、給食の提供量は全員の満腹感を保証する数字ではないという点だ。
栄養基準に沿った量であっても、個々の子どもの食欲や成長段階によって満足度は変わる。
2. おかずが少なく、献立が質素に見える「主食と牛乳、汁物に小さなおかずだけ」という献立は、写真だけを見ると物足りなく感じられることがある。
特に、主菜と副菜の種類が少ない日や、肉・魚などの主菜が控えめな日は、保護者から不満が出やすい。
ただし、おかずの品数だけで栄養価を判断することはできない。
例えば、具材を多く使った汁物や煮物は、見た目の品数が少なくても複数の食品群を摂取できる場合がある。
反対に、品数が多くても、必要なエネルギーや栄養素が十分とは限らない。
見るべきなのは、料理の数だけでなく、主食・主菜・副菜の構成と使用食材、実際の配食量だ。
3. 薄味でまずいと感じる学校給食の味付けに関しては、「味が薄い」「野菜が苦い」「魚料理が苦手」といった好みの問題もある。
文部科学省が示す学校給食摂取基準では、食塩相当量についても上限が設けられている。2021年改訂の基準では、小学校低学年は1食1.5g未満、中学年・高学年は2g未満が目安だ。
そのため、家庭で濃い味付けに慣れている子どもにとっては、給食が薄味に感じられる可能性がある。
一方、薄味であることと、調理がおいしくないことは同じではない。
出汁の取り方、食材の切り方、加熱時間、料理の温度などによっても味の印象は変わる。栄養基準を守りながら、おいしさをどう確保するかが調理現場の課題となっている。
4. 食材や料理の質が落ちたように感じる物価高の影響を受けると、給食現場では食材の組み合わせや調達方法を工夫する必要が出てくる。
例えば、価格が上昇した食材の使用頻度を見直したり、比較的価格が安定した食材を取り入れたりする方法だ。
こうした変更は必ずしも栄養価の低下を意味しない。しかし、以前はよく使われていた食材が減ったり、人気の献立が変更されたりすれば、子どもや保護者が質の低下を感じることはある。
5. 食べる時間が短く、十分に食べられない給食の満足度は、料理そのものだけでは決まらない。
配膳、片付け、食事指導などを含めた給食時間の中で、実際に食べられる時間が短ければ、量が適切でも食べきれないことがある。
また、苦手な料理が出た日に残してしまう児童もいる。
つまり、「給食が少ない」という声の中には、提供量そのものの問題と、食べる時間や食べやすさの問題が混在している。
この2つを分けて考えることが、原因を見極める第一歩になる。
【横浜市の公表回答で検証】給食は本当に少ない?450~750gの提供量と栄養基準
給食の量をめぐる議論で参考になるのが、横浜市が2026年に公表した市民からの意見と回答だ。
横浜市には2026年3月、「小学校給食の味と量を改善してください」という要望が寄せられた。
投稿の要旨は、子どもが毎日のように給食の量が少なく、おいしくないと話しているというものだった。
これに対し、市は文部科学省の学校給食摂取基準を踏まえ、成長期に必要な栄養価を満たすよう献立を作成していると説明した。
特に注目したいのが、学年別の提供量の目安である。
横浜市が示した学年別の給食提供量横浜市の2026年3月19日公表回答によると、1食分の提供量の目安は次のとおりだ。
- 低学年:450~550g
- 中学年:550~650g
- 高学年:650~750g
高学年では、低学年よりも多い量が設定されている。これは、成長に伴って必要な栄養量が増えることを反映したものだ。
2026年4月に寄せられた別の市民意見に対しても、横浜市は同じ提供量の目安を示し、国の交付金などを活用して給食の質・量・栄養価を維持していると回答している。
ただし、この数字は献立全体の目安であり、すべての児童に毎日同じ重量を配るという意味ではない。献立内容や学年に応じた調整もある。
文部科学省の学校給食摂取基準はどのくらい?量を考えるうえでは、重量だけでなくエネルギーや栄養素の基準も確認したい。
2021年2月に改訂された文部科学省の学校給食摂取基準では、小学生のエネルギー基準は次のように設定されている。
| 対象年齢 | 1食当たりのエネルギー基準 |
|---|---|
| 6~7歳 | 530kcal |
| 8~9歳 | 650kcal |
| 10~11歳 | 780kcal |
| 12~14歳 | 830kcal |
この基準は、給食だけで1日に必要なエネルギーをすべて摂取するものではない。基本的には1日の必要量の約3分の1を給食で確保する考え方だ。
一方、カルシウムや鉄など、家庭の食事だけでは不足しやすい栄養素については、給食で積極的に補う設計になっている。
文部科学省の説明資料では、カルシウムは1日の推奨量の約50%、鉄は約40%を給食で摂取する考え方が示されている。
つまり、給食は単純にお腹を満たすためだけの食事ではない。家庭の食事と合わせて、成長に必要な栄養を確保する役割を担っている。
栄養基準を満たしていれば問題ないのかここには大きな論点がある。
栄養基準は、献立の栄養面を評価するための指標だ。しかし、次のような問題まですべて解決するものではない。
- 子どもが実際に食べきれる量なのか
- 好き嫌いの多い児童でも食べやすい献立なのか
- 料理の温度や食感が適切なのか
- 食べる時間が十分に確保されているのか
- 運動量の多い児童にも満足できる量なのか
栄養基準を満たすことは最低限守るべき重要な条件だが、それだけで給食の満足度まで保証できるわけではない。
「栄養的に適切な給食」と「子どもが十分に食べたと感じる給食」は、別々に評価する必要がある。
【2026年最新調査】令和7年度学校給食実施状況等調査から見る全国の実態
2026年の学校給食を考えるうえで欠かせないのが、文部科学省が公表した「令和7年度学校給食実施状況等調査」だ。
同調査の結果概要は2026年7月に公表された。調査の基準日は2025年5月1日であり、2026年度の無償化後の献立を直接調べたものではない点には注意したい。
全国の小学校では完全給食がほぼ定着調査によると、2025年5月1日時点の公立小学校では、18,064校のうち17,979校が完全給食を実施していた。
割合にすると99.5%だ。
児童数で見ると、完全給食を実施している公立小学校の児童は5,695,148人で、対象児童の99.9%に達している。
学校給食は、ほぼ全国の公立小学校で日常的に提供される仕組みになっている。
ただし、給食の実施率が高いことと、各地域の給食の質や満足度が同じであることは別問題だ。
全国の給食費は上昇している同調査で特に注目したいのが、学校給食費の平均月額だ。
公立小学校の食材費相当額の全国平均は、月額5,196円。前年度に比べて11.6%上昇している。
この数字は年間の食材費相当額を11か月で割った平均値であり、自治体による補助後の保護者負担額とは異なる。
また、令和7年度調査から給食回数と平均月額の算出方法が見直されているため、過去の数字と単純に比較する場合には注意が必要だ。
地域によって給食費にも差がある文部科学省の調査では、都道府県ごとの公立小学校の給食費平均月額にも違いが見られる。
| 地域 | 令和7年度調査の平均月額 |
|---|---|
| 全国平均 | 5,196円 |
| 北海道 | 5,358円 |
| 東京都 | 5,643円 |
| 神奈川県 | 4,682円 |
| 新潟県 | 6,069円 |
ただし、給食費が高い地域ほど必ずおいしい、安い地域ほど質素という単純な関係ではない。
給食の内容や年間の実施回数、地域の食材価格などが異なるためだ。
給食をめぐる主要な事実と関係性2026年の議論を整理すると、次のようになる。
| 主体・制度 | 公表されている事実 | 給食問題との関係 |
|---|---|---|
| 文部科学省 | 令和7年度調査で小学校給食費平均月額5,196円 | 食材費の上昇を把握する基礎資料 |
| 文部科学省 | 学校給食摂取基準を設定 | エネルギーや栄養素の目安を規定 |
| 横浜市 | 低学年450~550g、高学年650~750g | 学年別の提供量を公開 |
| 札幌市 | 2026年度高学年の食材価格382円 | 無償化を支える財源の実例 |
| 国・自治体 | 2026年4月から負担軽減制度を実施 | 保護者負担と食材費の公費負担を分離 |
この関係から分かるのは、給食の問題が一つの原因だけで説明できないことだ。
栄養基準を決める国、食材を購入する自治体、献立を作る栄養教諭、実際に調理・配膳する現場、それぞれの役割が組み合わさって給食が提供されている。
【給食費無償化で質は落ちた?】札幌市の1食382円と横浜市の回答を検証
2026年4月から、公立小学校段階では給食費の抜本的な負担軽減が始まった。
この制度をきっかけに、「給食費が無償になったから、給食の量やおかずが減ったのではないか」という疑問も広がっている。
しかし、無償化と給食の質の低下は、必ずしも直接結び付くものではない。
2026年4月に始まった国の負担軽減制度2025年12月19日に公表された文部科学省・総務省・財務省の合意文書では、2026年4月から小学校段階の給食費負担を大幅に軽減する方針が示された。
国が設定した支援基準額は、完全給食の場合、児童1人当たり月額5,200円だ。
この金額は、2023年の実態調査における平均額に、その後の物価動向を加味して設定されたもの。
重要なのは、全国すべての給食が無条件で完全無料になるという制度ではないことだ。
自治体への予算補助という仕組みで実施され、基準額を超える部分については、引き続き保護者から給食費を徴収することも可能とされている。
つまり、自治体の財政状況や追加支援の有無によって、保護者負担や給食の提供条件に違いが生じる余地がある。
札幌市の小学校給食は1食382円2026年の給食問題で注目を集めたのが札幌市だ。
札幌市の2026年度の食材購入価格は、学年によって次のように設定されている。
- 1・2年生:371円
- 3・4年生:378円
- 5・6年生:382円
特に高学年の1食382円という数字が注目された。
ただし、この382円は保護者が実際に支払う金額ではない。食材を購入するための1食当たりの価格だ。
札幌市では2026年度、小学校の保護者負担を実質無償としている。
食材購入価格と支援額との差額については、国の給食費負担軽減交付金に加え、重点支援地方交付金などを活用して補っている。
つまり、382円の給食を提供するための食材費を、保護者以外の財源も使って確保している仕組みだ。
札幌市で「給食が少なすぎる」と議論になった背景2026年10月には、札幌市内の小学6年生に提供された給食の写真がSNSで話題になった。
写真に写っていたのは、パン、牛乳、スープ、ウインナー2本という献立だった。
これに対して「量が少なすぎる」という反応が広がり、給食費無償化による質の低下を疑う声も出た。
10月16日のABEMA NEWSの報道では、この問題について専門家や給食関係者が議論している。
一方、札幌市長は2026年10月7日の定例記者会見で、無償化の前後で給食の基準を変更していないと説明した。
給食費の無償化の前後で、基準が変わっているわけではありませんので、量や献立、栄養素について、内容は変わっておりません。
札幌市長記者会見記録より。
市長は加えて、物価上昇による影響を受けながらも、食材の組み合わせや価格の安定した材料を選ぶことで、必要な栄養素と量を確保していると説明している。
ただし、札幌市の説明は自治体としての見解であり、すべての児童が毎日の給食に満足していることを示す調査結果ではない。
無償化と質の問題は分けて考えるべきここで重要なのは、給食費無償化の開始時期と、食材価格の上昇が同時期に進んでいることだ。
無償化が始まったから給食が悪くなったと判断するのは早い。
むしろ、物価高によって以前から給食の予算が圧迫されていた可能性もある。
札幌市学校給食運営委員会の2025年11月27日の答申では、食材費の高止まり、とりわけ米飯価格の上昇が取り上げられた。
そのうえで、2026年度に必要な食材価格を371~382円と設定し、保護者負担の軽減を求めている。
この答申は、無償化以前から給食の食材費が大きな課題になっていたことを示している。
本当に検証すべきなのは、無償化の有無ではなく、必要な食材費が確保されているか、予算の変化が献立や配食量にどう反映されているかという点だ。
【物価高と給食センター方式】おかずが減る構造的な理由と地域差
小学校給食の内容を左右する大きな要素が、食材価格と調理方式だ。
同じ栄養基準を採用していても、地域によって給食の献立や使える食材は異なる。
物価高騰で給食の献立はどう変わる?学校給食では、食材費の予算内で必要な栄養素を確保しなければならない。
米、肉、魚、野菜、乳製品などの価格が上がれば、栄養士や調理現場は献立の組み立てを見直す必要がある。
2025年4月22日の文部科学大臣記者会見でも、物価高騰に伴う学校給食への影響が取り上げられた。
大臣は自治体への聞き取り結果として、米飯給食の回数や献立、食材の変更を行った自治体があったと説明している。
具体的には、次のような対応が報告されている。
- 米の年間使用量を契約して価格変動に備える
- 肉や野菜を比較的安価な食材に変更する
- 食材費の上昇分を自治体が公費で補填する
- 献立全体の栄養バランスを維持しながら材料を組み替える
これらは、給食の栄養価を維持しながら費用を調整するための工夫だ。
しかし、食材を変更することで、以前と比べて料理の見た目や味、食べ応えが変わることはあり得る。
給食センター方式と自校式の違い給食の調理方式にも注目したい。
大きく分けると、自校式と給食センター方式がある。
自校式は学校内に調理場を設置し、その学校の児童向けに給食を作る方式だ。
調理後すぐに提供でき、学校の実情に合わせて献立や調理方法を調整しやすいというメリットがある。
一方、学校ごとに設備や調理員を確保する必要があり、施設の維持管理費もかかる。
給食センター方式は、共同調理場で複数の学校の給食をまとめて作り、各学校に配送する方式だ。
大量購入や一括調理による効率化が期待できる一方、配送時間を考慮する必要があり、学校ごとの細かな事情に対応しにくい場合もある。
どちらが優れているかは、地域の条件によって異なる。
札幌市の給食問題を取り上げた2026年10月のABEMA NEWSでは、約40年間にわたり公立小学校の給食に関わった栄養教諭経験者が、自校式では地元農家の規格外野菜を使う工夫ができたと紹介している。
一方、大量調理を行うセンター方式では、食材の規格や配送時間などの制約が生じる場合があるという。
ただし、センター方式だから必ず給食の質が低いというわけではない。
衛生管理や調理の標準化、安定した食数の確保など、センター方式にも利点がある。
地域差はなぜ生まれるのか給食の地域差は、単純な予算額だけでは決まらない。
主な要因は次のとおりだ。
1. 地域の食材価格と調達先
2. 自治体独自の給食費補助
3. 自校式・センター方式などの調理方式
4. 地元農産物を活用できる環境
5. 栄養教諭や調理員の配置状況
6. 地域の食文化や献立方針
例えば、地元の農産物を安定して調達できる自治体では、旬の野菜や地域食材を献立に取り入れやすい。
一方、食材を遠方から運ぶ必要がある地域では、物流費や調達条件が献立に影響する可能性がある。
給食の地域差を評価するときは、食材費だけでなく、調理方式や地元産食材の活用状況まで見る必要がある。
【残食率と食品ロスから検証】給食の量が適切か見極める方法と保護者の改善策
給食の量が多すぎるのか、少なすぎるのかを判断する際に参考になるのが残食の状況だ。
残食とは、児童が食べきれずに残した給食のことを指す。
ただし、残食が多いから給食の量が多すぎる、残食が少ないから全員が満足している、と単純には判断できない。
文部科学省の食品ロス調査が示す現場の課題文部科学省が公表した「学校給食における食品ロス削減に関する調査研究」(令和5年3月)では、全国の教育委員会などを対象に給食の食品ロス削減への取り組みを調べている。
回答した866団体のうち、78.9%が調理場における食品ロス削減に取り組んでいた。
具体的な取り組みでは、65.3%が残食を減らす献立の工夫を実施していた。
報告書には、次のような改善例が掲載されている。
- 子どもが苦手な料理ばかりにならないよう献立を調整する
- 旬の食材や地場産物を取り入れる
- 児童がリクエストした料理を提供する
- 残食量を毎日計量して傾向を分析する
- 残食が多い料理について提供量や献立の組み合わせを見直す
- 栄養教諭、調理員、校長、保護者が献立を協議する
この調査は残食率の全国平均を示すものではないが、給食現場が食べ残しを減らすために献立や配膳を改善している実態を示している。
残食が多い給食は必ずしも量が多すぎるわけではない残食が発生する原因は複数ある。
例えば、魚料理や野菜料理が苦手な児童が多ければ、必要な量を提供していても食べ残しが増える可能性がある。
反対に、残食がほとんどない場合でも、最初から配膳量が少なければ、全員が十分に食べられているとは限らない。
そのため、残食率だけでなく、次のような情報を組み合わせて判断する必要がある。
- 料理ごとの残食量
- 学年別の配食量
- 児童の食べ残しの理由
- おかわりの希望や不足の訴え
- 献立ごとの人気や食べやすさ
- 給食後の空腹感に関する児童の意見
こうした情報があれば、量が多すぎるのか、味付けや献立が原因なのかを区別しやすくなる。
保護者が給食の改善を求めるときのポイント子どもから「給食が少ない」「おかずが少ない」と聞いたとき、最初から給食費や無償化だけを原因にする必要はない。
まずは具体的な状況を把握することが大切だ。
1. どの献立の日に量が足りないのか確認する
毎日なのか、特定の曜日や献立だけなのかを確認する。主菜が少ない日だけ不満が出る場合と、毎日空腹を訴える場合では、原因が異なる可能性がある。
2. 学校の献立表と提供量を確認する
献立表を見て、主食・主菜・副菜の組み合わせや食材を確認する。可能であれば、学年別の提供量や配食の方法についても学校に尋ねたい。
3. 担任や栄養教諭に相談する
子どもが食べきれない理由や、逆に食後も空腹を感じる理由を具体的に伝える。
必要に応じて、配膳量の調整やおかわりの運用など、学校で対応できる方法を相談する。
4. 学校や教育委員会に具体的な改善を求める
改善を求める場合は、単に「給食を増やしてほしい」と伝えるだけでなく、次のような点を質問するとよい。
- 学年別の標準提供量はどのくらいか
- 実際の配食量は基準に沿っているか
- 残食量をどのように調査しているか
- 食材費の高騰に対する公費支援はあるか
- 献立や味付けを改善する仕組みはあるか
横浜市のように市民からの意見と行政の回答を公開している自治体もある。こうした情報公開は、保護者が給食の実態を知るうえで役立つ。
【プロの結論】小学校給食の本当の問題は栄養基準と満足感のギャップ
ここまでの公的資料や自治体の回答を整理すると、小学校給食が「ひどい」と言われる背景には、複数の問題が重なっていることが分かる。
特に重要なのは、次の3点だ。
1. 栄養基準を守るだけでは満足できる給食にならない文部科学省の学校給食摂取基準は、成長期の子どもに必要な栄養を確保するためのものだ。
しかし、子どもが実際に食べて満足するかどうかは、味、量、食感、料理の組み合わせ、食べる時間にも左右される。
栄養基準を満たしているという説明だけで、保護者や児童の不満を解消することは難しい。
行政には、栄養面の基準だけでなく、実際の食べやすさや満足度についても検証する姿勢が求められる。
2. 無償化よりも食材費をどう確保するかが重要2026年から小学校給食費の負担軽減が始まったことは、子育て世帯にとって大きな支援だ。
しかし、給食を無償化しても、食材価格が下がるわけではない。
札幌市の1食382円という設定や、全国の公立小学校の給食費平均月額が5,196円に上昇したという文部科学省の調査は、給食の食材費が重要な政策課題になっていることを示している。
今後は物価の変動に合わせて給食予算を見直す仕組みや、国と自治体が継続的に費用を負担する仕組みが重要になる。
一時的な補助だけでは、長期的な給食の質を安定して維持できない可能性があるためだ。
3. 子どもの声を給食改善に反映させる仕組みが必要給食の満足度を最も身近に知っているのは、毎日食べている子どもたちだ。
食べ残しの調査や児童アンケート、献立への意見などを継続的に集めれば、どの料理に問題があるのか、量が足りないのか、味付けが合わないのかを把握しやすくなる。
また、保護者からの意見を受け付けるだけでなく、その後どのように改善したのかを公表することも大切だ。
給食の評価で見るべきなのは、食材費の安さでも、無償化という制度の有無でもない。子どもが必要な栄養を十分に摂取でき、おいしく、安心して食べられる環境が整っているかどうかである。
【小学校給食ひどい】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:小学校給食の量は本当に少なくなっている?
A1:全国の小学校給食が一律に減量されたという事実は確認できない。横浜市は2026年の公表回答で、低学年450~550g、中学年550~650g、高学年650~750gを提供量の目安としている。札幌市も2026年10月の市長記者会見で、無償化の前後で量や献立の基準を変更していないと説明している。ただし、実際の配食量や個々の満足度は学校や献立によって異なる。
Q2:給食費無償化で給食の質は落ちた?
A2:無償化そのものが給食の質を低下させる制度ではない。2026年度からの国の負担軽減制度では、食材費相当額を自治体への交付金で支援する仕組みが採用されている。ただし、物価高による食材費の上昇や自治体の追加負担の状況によって、献立の工夫が必要になる場合はある。
Q3:札幌市の小学校給食1食382円は保護者が払う金額?
A3:違う。382円は2026年度の小学5・6年生向けの食材購入価格である。札幌市では国の交付金や自治体の追加負担を活用し、小学校の保護者負担を実質無償としている。
Q4:学校給食の栄養基準は誰が決めている?
A4:文部科学省が学校給食摂取基準を定めている。年齢に応じてエネルギー、たんぱく質、脂質、カルシウム、鉄、食塩相当量などの基準が設けられ、栄養教諭や管理栄養士などが献立作成に活用している。
Q5:給食センター方式と自校式ではどちらがおいしい?
A5:一概には決められない。自校式は調理後すぐに提供でき、学校ごとの状況に合わせやすい。センター方式は大量調理や一括管理に利点がある。実際のおいしさは、調理技術、献立、食材、配送時間、提供温度などによって変わる。
Q6:子どもが給食の量が少ないと訴えた場合はどこに相談すればいい?
A6:まずは担任に具体的な状況を伝え、必要に応じて栄養教諭や学校長に相談する。学年別の提供量、配膳の状況、残食調査、献立の改善方法などを確認すると、問題の原因を整理しやすい。学校での対応が難しい場合は、自治体の教育委員会に相談する方法もある。
小学校給食が「ひどい」と言われる背景には、量や味への不満だけでなく、物価高騰、自治体の財政負担、調理方式の違い、栄養基準と満足感のギャップなど、複雑な問題がある。
2026年の横浜市では、学年別の提供量として450~750gの目安が公表された。札幌市では高学年の食材価格が1食382円に設定され、無償化後も栄養バランスや量を維持するための公費負担が行われている。
また、文部科学省の令和7年度学校給食実施状況等調査では、公立小学校の給食費平均月額が5,196円となり、食材費の上昇も明らかになった。
これらの事実から、給食費無償化だけで給食問題が解決するわけではないことが分かる。
今後必要なのは、物価に応じた安定的な予算確保、栄養基準に沿った献立の維持、調理現場の環境改善、残食調査、そして子どもや保護者の意見を反映する仕組みだ。
学校給食は、単に無料で提供されればよいものではない。成長期の子どもが、必要な栄養を摂り、満足して食べられること。その両方を実現できているかが、2026年以降の学校給食を評価する本当の基準になる。