白砂糖は体に悪いのでしょうか。毎日の料理やコーヒー、菓子類に使われる白砂糖には、「肥満の原因になる」「糖尿病になりやすい」「漂白剤で白くしている」といった不安や疑問がつきまといます。一方、三温糖や黒糖、きび砂糖なら健康に良いというイメージを持つ人も少なくありません。
2026年11月現在、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」や健康日本21の情報、農林水産省の砂糖に関する解説、世界保健機関(WHO)のガイドラインを確認すると、見えてくるのは少し違った実態です。白砂糖そのものが特別な毒性を持つわけではありませんが、砂糖を含む食品や飲料の過剰摂取には、肥満や虫歯などの健康リスクがあります。
【結論】白砂糖は体に悪い?厚生労働省・農林水産省の情報から真相を検証
最初に結論を整理すると、白砂糖は適量であれば通常の食生活で利用できる食品です。白砂糖を食べたという理由だけで健康を損なうわけではなく、問題になるのは摂取量や食生活全体のバランスです。
白砂糖の主成分はショ糖(スクロース)です。ショ糖はブドウ糖と果糖が結合した二糖類で、体内で消化・吸収され、エネルギー源として利用されます。糖質は1g当たり約4kcalのエネルギーを生み出します。
一方、白砂糖は精製によって糖以外の成分が取り除かれているため、ビタミンやミネラル、食物繊維などはほとんど含みません。エネルギーは得られますが、栄養素を幅広く補給できる食品ではないという特徴があります。
厚生労働省が問題視しているのは砂糖の過剰摂取厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、糖類の過剰摂取とエネルギーの過剰摂取、肥満、う蝕(虫歯)などの関連が整理されています。
特に、遊離糖類や加糖飲料の摂取量が多いことと体重増加との関連について、複数の研究をまとめた分析が紹介されています。加糖飲料の摂取量と2型糖尿病の発症にも関連が認められており、砂糖を含む飲料を日常的に大量に飲む習慣には注意が必要です。
ただし、2025年版の食事摂取基準では、日本人の遊離糖類や添加糖類の摂取実態を正確に把握することが難しいことなどから、糖類の具体的な目標量の設定は見送られています。
これは砂糖を好きなだけ食べてもよいという意味ではありません。糖類の健康影響を踏まえながら、摂取量を把握し、食生活を改善する必要があるということです。
農林水産省が説明する白砂糖の安全性農林水産省は、白砂糖が漂白剤によって白くなっているという説を否定しています。
白砂糖の結晶は本来無色透明です。製造過程で色素などの不純物を取り除き、結晶が光を乱反射することで白く見えます。雪や氷が白く見えるのと同じ原理です。
したがって、「白砂糖は漂白剤で白くしているから体に悪い」という説明は正確ではありません。健康面で注意すべきなのは、白い色や精製工程そのものよりも、糖類をどのくらい摂取しているかです。
【健康への影響】白砂糖が体に悪いといわれる3つの理由
白砂糖の摂りすぎが問題になる理由は、大きく分けて肥満、血糖値への影響、虫歯の3つです。それぞれの仕組みを理解すると、単純に白砂糖を避けるだけでは不十分なことがわかります。
1.肥満リスク:砂糖の摂りすぎはエネルギー過剰につながる白砂糖は少量でもエネルギーを持っています。1g当たり約4kcalであるため、料理や飲み物、お菓子などから継続的に摂取すれば、1日の総エネルギー摂取量が増加します。
食事や運動によるエネルギー消費を上回る状態が続くと、余ったエネルギーが体脂肪として蓄積され、体重増加につながります。
特に注意したいのが、甘い飲料です。ジュースや加糖コーヒー、清涼飲料水などは、短時間で糖類を摂取しやすく、食事の一部として満足感を得にくい場合があります。
厚生労働省の2025年版食事摂取基準でも、遊離糖類や加糖飲料の摂取と体重増加の関連が取り上げられています。砂糖の摂取量を減らす場合、まず飲み物に含まれる糖類を見直すことは合理的な方法です。
2.血糖値への影響:白砂糖を摂ると血糖値はどうなる?白砂糖の主成分であるショ糖は、消化されるとブドウ糖と果糖に分解されます。このうちブドウ糖は血液中に取り込まれ、血糖値を上昇させます。
健康な人の場合、食後に血糖値が上昇すると、膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンの働きによってブドウ糖が細胞に取り込まれ、血糖値は徐々に元の状態へ戻ります。
しかし、砂糖を多く含む飲料や菓子類を大量に摂取すると、食後の血糖値が急激に上がりやすくなります。特に、清涼飲料水や甘い菓子類は吸収されやすい糖質を多く含むため、食べ方や量に注意が必要です。
なお、血糖値が一時的に上昇することと、糖尿病を発症することは同じではありません。健康な人でも食後には血糖値が上がります。問題になるのは、血糖値が慢性的に高い状態が続くことです。
3.虫歯との関係:砂糖の量だけでなく摂取回数も重要砂糖は虫歯の原因に関わる代表的な食品成分です。口腔内の細菌が糖を利用して酸をつくり、その酸によって歯の表面からミネラルが溶け出すことで、虫歯が進行する可能性があります。
ここで見落とされやすいのが、砂糖を摂取する回数です。
厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」では、砂糖の総摂取量を減らすことに加えて、摂取回数を減らすことも虫歯予防に効果的と説明しています。
同サイトでは、スウェーデンで1940年代後半から1950年代前半に実施された436人を対象とする調査も紹介されています。砂糖を含む歯に付着しやすい菓子を食事時だけに摂取した場合と、食事時・間食時に分けて摂取した場合を比較すると、摂取回数を増やした時期に虫歯が増加しました。
この結果からも、少量の甘い飲み物を一日中飲み続けたり、何度もお菓子をつまんだりする習慣は見直す価値があります。
【1日の摂取量】WHOの10%未満・5%未満は何グラム?
白砂糖の摂取量を考えるうえで参考になるのが、世界保健機関(WHO)が2015年に公表した「糖類摂取に関するガイドライン」です。
WHOは成人と子どもの双方について、遊離糖類の摂取量を1日の総エネルギー摂取量の10%未満にすることを強く推奨しています。加えて、5%未満に抑えることも追加的な健康上の利益につながるとして提案しています。
2000kcalの食生活なら50g未満、できれば25g未満WHOの基準を1日2000kcalの食生活に当てはめると、次のようになります。
- 10%未満:遊離糖類50g未満
- 5%未満:遊離糖類25g未満
この数字は白砂糖だけの摂取上限ではありません。飲料や菓子、加工食品、調理で加える砂糖、はちみつ、シロップ、果汁などに含まれる遊離糖類を合計した目安です。
つまり、料理に白砂糖を使わなくても、甘い飲料や市販のお菓子を多く摂取していれば、WHOの目安を超える可能性があります。
遊離糖類と天然の糖類は同じではないWHOのいう遊離糖類とは、食品メーカーや調理者、消費者が食品や飲料に加える単糖類・二糖類のほか、はちみつ、シロップ、果汁、濃縮果汁などに自然に含まれる糖類を指します。
一方、丸ごとの果物に含まれる糖類や、牛乳に自然に含まれる乳糖は、WHOの遊離糖類の定義には含まれません。
この違いは非常に重要です。果物を食べることと、果汁飲料を飲むことは、糖類の摂取という観点でも同じ扱いにはなりません。果物には食物繊維なども含まれるため、甘いものを減らす際に果物まで一律に避ける必要はありません。
日本では砂糖の1日摂取上限が正式に決められている?2026年11月現在、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」には、糖類について具体的な目標量が設定されていません。
その理由は、日本では食品中の添加糖類や遊離糖類の量を正確に把握することが難しく、国民全体の摂取実態を十分に評価できないためです。
ここで注意したいのは、日本の基準に数値がないことと、摂取制限が必要ないことは別だという点です。
実際、厚生労働省の2025年版資料では、糖類の過剰摂取と肥満や虫歯との関連が整理され、WHOの10%未満・5%未満という基準も紹介されています。
日常生活では、WHOの基準を参考にしながら、まずは甘い飲料や間食から摂取量を見直すとよいでしょう。
【種類別比較】白砂糖・三温糖・黒糖・きび砂糖は何が違う?
白砂糖よりも茶色い砂糖の方が健康に良いという話を耳にすることがあります。しかし、砂糖の色と健康への影響は必ずしも比例しません。
農林水産省は、砂糖を製造方法によって大きく「分蜜糖」と「含蜜糖」に分類しています。違いを理解するには、まずこの2つの仕組みを知る必要があります。
白砂糖の精製方法と白くなる仕組み砂糖の主な原料は、さとうきびとてん菜です。原料から糖分を含む汁を取り出し、不純物を除去して濃縮し、結晶化させることで砂糖がつくられます。
分蜜糖は、結晶と糖蜜を分離して結晶部分を取り出した砂糖です。上白糖やグラニュー糖などが代表例です。
白砂糖の製造工程では、原料に含まれる色素などの不純物を、ろ過や吸着などの方法で取り除きます。こうして純度の高い結晶を取り出すため、白く見えるようになります。
漂白剤によって白くしているという説明は誤りです。農林水産省も、白砂糖は漂白しているのではなく、無色透明の結晶が光を乱反射することで白く見えると説明しています。
4種類の砂糖を比較| 砂糖の種類 | 製造方法・特徴 | 栄養面の特徴 | 選ぶ際のポイント |
|---|---|---|---|
| 白砂糖(上白糖) | 糖蜜を分離して結晶を取り出した精製糖。しっとりした質感。 | 主成分はショ糖。ビタミンやミネラルはほとんど含まない。 | 料理やお菓子など幅広い用途に使いやすい。 |
| 三温糖 | 白砂糖などを取り出した後の糖液を再び煮詰めてつくる精製糖。 | 白砂糖より灰分などが多いが、ミネラル補給源としては限定的。 | 独特の風味やコクを生かした煮物に向いている。 |
| 黒糖(黒砂糖) | さとうきびの搾り汁を煮詰め、糖蜜を分離せずにつくる含蜜糖。 | カリウムやカルシウムなどのミネラルを含む。 | 濃厚な風味が特徴。ただし糖類の摂りすぎには注意。 |
| きび砂糖 | さとうきび由来の茶色い砂糖。製品によって製法や糖蜜の残り方が異なる。 | 成分やミネラル量は商品によって異なる。 | 原材料表示や栄養成分表示を確認して選ぶ。 |
三温糖は茶色いため、白砂糖よりも栄養価が高いというイメージがあります。しかし、農林水産省によると、三温糖は白砂糖と同じ精製糖です。
白い砂糖を取り出した後に残った糖液を再び煮詰め、結晶を取り出す工程を繰り返すことで、加熱による色がつきます。
農林水産省が示す成分値では、グラニュー糖の灰分が約0.01%であるのに対し、三温糖は約0.25%です。確かに差はありますが、砂糖から必要なミネラルを補給しようとするより、野菜や豆類、海藻などを食べる方が効率的です。
したがって、三温糖を白砂糖の健康的な代替品として大量に使うことはおすすめできません。
黒糖やきび砂糖なら安心という考え方にも注意黒糖は、さとうきびの搾り汁を煮詰め、糖蜜を含んだ状態で固めた砂糖です。白砂糖よりミネラルが残りやすく、独特の風味があります。
ただし、ミネラルを含むからといって、糖類の過剰摂取によるリスクがなくなるわけではありません。黒糖も糖分を多く含む食品であり、食べる量には注意が必要です。
また、きび砂糖という名称で販売される商品は、製造方法や原材料の構成が一律ではありません。黒糖と同じ含蜜糖だと決めつけず、商品ごとの表示を確認することが大切です。
健康を意識して砂糖を選ぶなら、色の濃さだけで判断するのではなく、使用量や食生活全体を見直す方が合理的です。
【実践編】白砂糖を減らす方法と、やめたら体に起こる変化
白砂糖を完全にやめなければ健康になれないというわけではありません。大切なのは、無意識に摂取している糖類を把握し、続けられる範囲で減らすことです。
最初に見直したいのは甘い飲み物毎日のコーヒーや紅茶に砂糖を加える習慣、ジュースや加糖飲料を飲む習慣がある場合は、まず飲み物から見直してみましょう。
- ジュースを水や無糖のお茶に置き換える。
- コーヒーや紅茶に加える砂糖の量を少しずつ減らす。
- 加糖のカフェラテや乳飲料を無糖タイプに変更する。
- スポーツドリンクや清涼飲料水を習慣的に飲まない。
飲み物は食事のように満腹感を得にくい場合があり、糖類を摂りすぎるきっかけになりやすいものです。毎日の飲み物を変えるだけでも、遊離糖類の摂取量を見直すきっかけになります。
お菓子は食べる回数と量を意識する甘いものを完全に禁止すると、食生活を長く続けるうえで負担になる場合があります。まずは毎日何度も食べる習慣を見直し、間食の時間や量を決めることから始めましょう。
虫歯予防の観点でも、砂糖を含む食品を頻繁に口にする習慣は避けたいところです。間食を何度も繰り返すより、食べる時間を決め、食後には歯磨きを行う方が管理しやすくなります。
フッ化物配合歯磨剤を使用することも、虫歯予防の基本です。砂糖を減らすことだけでなく、毎日の口腔ケアを組み合わせることが大切です。
白砂糖をやめたらどうなる?期待できる変化と誤解白砂糖を減らした場合、食生活によっては次のような変化が期待できます。
- エネルギー摂取量の減少:甘い飲料や菓子類を減らせば、1日の総摂取カロリーを抑えやすくなる。
- 体重管理の改善:余分なエネルギー摂取が減れば、体重増加を防ぎやすくなる。
- 虫歯リスクへの対策:砂糖の摂取量や摂取回数を減らすことで、虫歯のリスク低減につながる。
- 食生活の改善:甘い飲料や菓子類に偏った食事から、栄養バランスを意識した食事に切り替えやすくなる。
一方で、白砂糖をやめるだけで必ず痩せる、肌がきれいになる、疲れにくくなるといった効果が保証されるわけではありません。
白砂糖を黒糖やはちみつに置き換えただけで、遊離糖類の摂取量が大幅に減るわけでもありません。代替する食品の種類だけでなく、実際に食べたり飲んだりする量を考える必要があります。
炭水化物まで極端に制限する必要はない砂糖を減らすことと、米やパンなどの炭水化物をすべて減らすことは別の問題です。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、炭水化物の目標量は1日の総エネルギー摂取量の50〜65%とされています。炭水化物には糖質だけでなく食物繊維も関係しており、身体にとって重要なエネルギー源です。
白砂糖や甘い飲料の過剰摂取を避けることと、主食や野菜、果物などを含むバランスの取れた食事を維持することは両立できます。
すでに糖尿病と診断されている人は、一般的な摂取目安だけで自己判断せず、医師や管理栄養士の指導に沿って食事を管理してください。
【よくある疑問】白砂糖は体に悪いのかに関するFAQ
Q1:白砂糖は毎日食べても大丈夫ですか?
A1:適量であれば、通常の食生活で毎日使用しても問題ありません。ただし、料理や飲料、お菓子などから摂取する遊離糖類の合計量に注意しましょう。WHOは総エネルギー摂取量の10%未満、できれば5%未満を推奨しています。
Q2:白砂糖と三温糖なら、どちらが体に良いですか?
A2:健康面で大きな優劣があるとはいえません。三温糖は白砂糖と同じ精製糖で、色は糖液を加熱する過程でつきます。ミネラル含有量には差がありますが、どちらも摂取量を意識が必要です。
Q3:白砂糖をやめると糖尿病を予防できますか?
A3:白砂糖をやめるだけで糖尿病を完全に予防できるわけではありません。ただし、砂糖入り飲料や甘い食品の過剰摂取を減らし、適正な体重を維持することは予防に役立ちます。運動や食事全体のバランスも重要です。
白砂糖が体に悪いといわれる背景には、肥満、血糖値への影響、虫歯などの健康リスクがあります。しかし、農林水産省や厚生労働省の情報を確認すると、白砂糖だけが特別に危険な食品というわけではないことがわかります。
白砂糖の白さは漂白剤によるものではなく、精製によって不純物を取り除いた結晶が光を反射するためです。また、三温糖も白砂糖と同じ精製糖であり、黒糖やきび砂糖に変更すれば糖類の過剰摂取を防げるというわけではありません。
【プロの結論】健康を守るために優先したいのは、砂糖の色や商品名ではなく、遊離糖類の総摂取量を把握することです。
WHOの基準である総エネルギーの10%未満、できれば5%未満を参考にしながら、甘い飲み物を減らす、間食の回数を決める、食後の歯磨きを徹底するといった具体的な行動を積み重ねていきましょう。
白砂糖を完全に禁止する必要はありません。好きな甘さを楽しみながら、摂取量を適切に管理すること。それが、無理なく長く続けられる健康的な砂糖との付き合い方です。
主な根拠資料: 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、健康日本21「e-ヘルスネット」、農林水産省「砂糖の種類・製造方法」、WHO「Sugars intake for adults and children」。