ピアスを前から通そうとしているのに、耳たぶの後ろ側に穴が見つからない。鏡で確認しても出口がわからず、ピアスを少し動かすと痛みが出る。このような経験は珍しくありません。ピアスホールの後ろ側が見つからない原因には、ホールの角度や向きのずれ、耳たぶの腫れ、長期間ピアスを外したことによる穴の縮小など、いくつかの可能性があります。
大切なのは、穴を探そうとしてピアスを何度も押し込まないことです。無理に通すと皮膚の内部を傷つけ、出血や炎症、感染につながるおそれがあります。2026年現在の医療機関や専門団体のアフターケア情報を踏まえ、鏡と照明を使った確認方法、安全な対処法、塞がりかけた場合の対応、医療機関を受診する目安まで詳しく解説します。
【原因を解説】ピアスの後ろの穴が見つからないのはなぜ?

ピアスホールの後ろ側が見つからないとき、最初に考えたいのが穴の向きと耳たぶの状態です。正面から見える穴が、そのまま耳たぶの真後ろに続いているとは限りません。
1. ピアスホールが斜めになっているピアスホールは、必ずしも耳たぶに対して水平・垂直に開いているわけではありません。開けたときの角度や耳たぶの形状によって、入口と出口の位置関係が斜めになっていることがあります。
この場合、正面からピアスをまっすぐ押し込んでも、後ろ側の出口に到達しません。ピアスの先端が皮膚の内部に当たっているように感じたり、耳たぶの別の場所を押しているような違和感が生じたりします。
特に、以前は問題なく装着できていたのに、最近になって通しにくくなった場合は、ホールの向きだけでなく、周囲の組織の腫れや刺激も考えられます。
2. 耳たぶが腫れて出口がわかりにくくなっているピアスを頻繁に動かしたり、長時間引っ張ったりすると、耳たぶに刺激が加わり、周囲が腫れることがあります。
腫れによって後ろ側の開口部が見えにくくなれば、以前と同じ角度でピアスを通そうとしても位置が合いません。小さな赤みや膨らみがある場合も、単純に穴の位置がずれたと判断するのは早計です。
また、ピアスの素材に対するアレルギー反応や、キャッチによる圧迫も、赤みや腫れの原因になります。
3. ピアスホールが塞がりかけているピアスを長期間外していた場合、ホールの内部が狭くなっている可能性があります。
米国の専門団体Association of Professional Piercers(APP)は、完成したピアスホールであっても、個人差によって短時間で縮小・閉鎖する場合があると説明しています。何年も安定していた穴でも、ピアスを外したままにすると再装着が難しくなることがあります。
正面の穴は残っているように見えても、後ろ側の出口が狭くなっている場合、ピアスが途中で止まることがあります。
4. ピアスの形状や装着時の姿勢が合っていないピアスのポストが耳たぶに対して斜めに向いていたり、装着時に耳たぶを強く引っ張っていたりすると、入口と出口の位置を合わせにくくなります。
特に、鏡を見ながら片手で耳たぶを引っ張り、もう片方の手でピアスを操作すると、手元の角度が安定しません。鏡に映った位置と実際のピアスの向きが異なって感じられることもあります。
このように、後ろ側の穴が見つからない原因は一つとは限りません。痛みや腫れの有無、ピアスを外していた期間などを合わせて判断することが大切です。
【実践方法】ピアスホールの後ろ側を鏡と照明で確認する方法
ピアスの後ろ側が見つからない場合は、ピアスを押し込んで探すのではなく、まずホールの位置関係を目で確認しましょう。
鏡を2枚使って後ろ側を確認する最も基本的な方法は、正面用と後方確認用の鏡を使うことです。
- 洗面台など、安定して座れる場所を選ぶ。
- 正面に鏡を置き、耳たぶの前側を確認する。
- もう1枚の鏡を使い、耳たぶの後ろ側を確認する。
- 前側の入口と後ろ側の出口の位置関係を目で把握する。
- 左右の耳でホールの位置や角度が異なっていないか確認する。
この段階では、ピアスを穴に差し込む必要はありません。後ろ側に開口部が確認できない場合は、無理に探し続けないようにしてください。
スマートフォンのカメラとライトを活用する後ろ側が鏡に映りにくい場合は、スマートフォンのカメラを補助的に使う方法もあります。
スマートフォンを耳の後方に向け、画面で耳たぶの状態を確認します。必要に応じてカメラのズーム機能を使うと、小さな開口部や周囲の赤みを確認しやすくなります。
照明は、耳たぶ全体が見える明るさを確保してください。強い光を至近距離から当てるよりも、周囲を明るくして影を減らすほうが確認しやすくなります。
確認するときに注意したいこと穴の位置がわからないからといって、爪やピアスの先端で皮膚を押したり、出口を探るように動かしたりするのは避けましょう。
特に、赤みや痛みがある場合は、触れる回数を減らしてください。新しく開けたばかりのピアスホールも、外見上は落ち着いていても内部の組織が完全に回復していない場合があります。
米国皮膚科学会(AAD)も、新しいピアスについて、適切な衛生管理とホールを刺激しないケアを推奨しています。
【症状別比較】ピアスの後ろ側が見つからないときの原因と対処法
同じようにピアスが通らない状態でも、原因によって対応は異なります。次の表を参考に、現在の耳たぶの状態を確認してください。
| 耳たぶ・ホールの状態 | 考えられる原因 | 適切な対応 |
|---|---|---|
| 前側の穴は見えるが後ろ側が見つからない | ホールの角度や位置のずれ | 鏡と照明で確認し、無理な挿入を避ける |
| ピアスが途中で止まる | ホールの縮小、角度の不一致 | 押し込最初に、専門のピアッサーに相談する |
| 耳たぶが赤く腫れている | 刺激、圧迫、アレルギー、感染など | 挿入を中止し、症状に応じて医療機関を受診する |
| ピアスを通すと痛い | 皮膚の損傷、炎症、ホールの縮小 | 装着を中止して状態を確認する |
| 長期間ピアスを外していた | ホールの縮小・閉鎖 | 自己判断で再開通させず専門家に相談する |
| 膿や熱感、強い腫れがある | 感染の可能性 | 速やかに医療機関を受診する |
注意したいのは、ピアスが通らないことだけで感染の有無を判断できない点です。痛みや腫れがある場合は、ホールの角度だけに原因を求めず、炎症や感染の可能性も考える必要があります。
米国のCleveland Clinicは、感染した耳のピアスに見られる症状として、赤み、腫れ、熱感、圧痛、膿や血液の排出などを挙げています。耳の後ろに小さな膨らみがあるからといって、必ずしも感染とは限りませんが、ほかの症状も含めて判断することが大切です。
【安全対策】ピアスを後ろまで通すときに避けたい危険な行動
ピアスホールの位置がわからないときに、最も避けたいのが無理な再挿入です。穴を探そうとして何度も押し込むと、かえって状態を悪化させる可能性があります。
無理に押し込むと皮膚を傷つけるピアスのポストは、閉じかけたホールを再び開通させるための器具ではありません。
出口が塞がっている状態で押し込むと、元の通路から外れて皮膚内部を傷つけるおそれがあります。出血や組織の損傷が起こり、細菌が入り込めば感染につながる可能性もあります。
APPの「Jewelry for Healed Piercings」では、自宅でピアスを装着する場合でも、ジュエリーを無理に押し込まないよう注意を促しています。簡単に入らない場合は、専門のピアッサーに相談することが推奨されています。
針や安全ピンで穴を探さない裁縫針、安全ピン、つまようじなどを使ってホールを探す行為も避けてください。
これらはピアスホールの再開通を目的とした医療器具ではありません。先端で皮膚を傷つけたり、清潔でない器具から細菌が侵入したりする危険があります。
また、何度も違う角度から試すこともおすすめできません。穴が見つからないという問題を解決しようとして、実際には新しい傷を作ってしまう可能性があるためです。
痛みがある状態で装着を続けないピアスを通すときに強い痛みがある場合は、そこで中止してください。
少し引っかかる程度だからと力を加えたり、耳たぶを強く引っ張ったりすることも避けましょう。痛みは、ホールが狭くなっている、皮膚が刺激されている、炎症が起きているなど、何らかの問題を知らせるサインになり得ます。
なお、感染が疑われる場合、自己判断でピアスを外すことにも注意が必要です。英国NHSは、感染が疑われるピアスについて、医師から指示がない限りジュエリーを外さないよう案内しています。装着を続けるか外すかも含め、医療機関で判断を受けてください。
【再開通と受診の目安】ピアスホールが塞がりかけている場合はどうする?
ピアスを長期間外していた場合や、後ろ側の穴が見つからない状態が続いている場合は、ホールが縮小している可能性があります。
この場合、無理に自宅で再開通させようとするのではなく、現在のホールの状態を確認してもらうことが大切です。
ホールが完全に塞がっていない場合ホールが狭くなっていても、内部の通路が完全に閉じていないケースがあります。
ただし、外側の入口が見えているからといって、内部まで通路が確保されているとは限りません。自分では判断しにくい場合、経験のある専門のピアッサーに相談すると、ホールの状態や再装着の可能性について確認してもらえます。
再装着の際に専用器具が必要になることもありますが、炎症や感染がある場合は、先に医療機関で診察を受けることが優先です。
ホールが完全に塞がっている場合完全に閉じている場合、以前の穴にそのままピアスを通すことはできません。
新しい位置に開け直す必要があるかどうかは、皮膚の状態や過去の傷跡などによって異なります。自分で針を使って開け直すのではなく、適切な施術環境を備えた専門店などで相談してください。
傷跡やしこりがある場合、または以前のホールに痛みや腫れが残っている場合は、先に皮膚科などで診察を受けるのが適切です。
医療機関を受診したほうがよい症状次のような症状がある場合は、単なる穴の位置の問題として扱わないでください。
- 耳たぶが強く赤くなっている。
- 触ると熱を持っている。
- 腫れや痛みが続いている、または悪化している。
- 黄色や緑色、白色の膿が出ている。
- 出血が続いている。
- 発熱や悪寒、全身の不調がある。
- ピアスやキャッチが皮膚に埋まり、動かせなくなっている。
英国NHSは、腫れや痛み、熱感、膿、発熱などを感染の兆候として挙げ、感染が疑われる場合には速やかな医療相談を推奨しています。
特に、耳たぶではなく耳の上部にある軟骨のピアスは注意が必要です。軟骨部分の感染は重症化する場合があるため、痛みや腫れ、強い赤みがある場合は早めに医療機関を受診してください。
また、ピアスやキャッチが耳たぶに埋まり込んでいる場合、自分で引き抜こうとしないことが大切です。医療機関で安全に取り外してもらいましょう。
医療機関とピアス専門店の相談先の違い相談先を選ぶときは、痛みや炎症があるかどうかを基準にすると判断しやすくなります。
- 痛み・腫れ・膿・熱感がある:皮膚科などの医療機関。
- ピアスが埋まっている:医療機関。
- 感染症状はないがホールが狭くなった:経験と衛生管理に配慮したピアス専門店。
- ホールの向きがわからず装着できない:無理に試さず、専門家に位置と通路の状態を確認してもらう。
医療機関は感染や皮膚損傷の診断・治療を行う場所であり、ピアス専門店は健康なホールの状態確認やジュエリー装着の相談先です。症状に応じて使い分けることが、安全な対応につながります。
【プロの結論】ピアスの後ろ側が見つからないときに覚えておきたい判断基準
ピアスの後ろ側が見つからないとき、焦って何度も装着を試す必要はありません。まずは、ホールの位置がわからないだけなのか、穴自体が狭くなっているのか、耳たぶに炎症が起きているのかを分けて考えましょう。
判断の要点は次の3つです。
- 痛みや腫れがない:鏡と照明で入口と出口の位置関係を確認し、難しければ専門家に相談する。
- ピアスが途中で止まる:ホールの縮小や角度の不一致を疑い、押し込まずに装着を中止する。
- 赤み・熱感・膿・強い痛みがある:感染や炎症の可能性を考え、医療機関を受診する。
また、新しいピアスホールの場合は、見た目だけで完成したと判断しないことも重要です。米国皮膚科学会は、新しく開けた耳のピアスについて、少なくとも6週間は初期のジュエリーを外さないよう案内しています。実際の治癒期間には個人差があるため、施術時の説明や状態に合わせてケアしてください。
ピアスホールは、単なる穴ではなく、皮膚の組織が形成する通路です。入口と出口の位置が合わなかったり、内部が狭くなったりすれば、見た目では問題がなさそうでも装着できないことがあります。
無理に通すよりも、状態を確認して適切な相談先を選ぶことが、ホールを守るための現実的な方法です。
【ピアスの後ろの穴が見つからない】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ピアスの前側の穴は見えるのに、後ろ側だけ見つからないのはなぜ?
A1:ピアスホールが斜めに開いていたり、耳たぶの形状によって入口と出口の位置がずれていたりする可能性があります。また、腫れやホールの縮小によって後ろ側の開口部が見つけにくくなることもあります。鏡と照明で位置関係を確認し、無理にピアスを通さないようにしてください。
Q2:ピアスが後ろから通らないとき、少し力を入れても大丈夫?
A2:おすすめできません。無理に押し込むと皮膚内部を傷つけ、出血や感染の原因になる可能性があります。抵抗を感じたら装着を中止し、ホールが狭くなっている場合は専門のピアッサーに相談してください。痛みや腫れがある場合は医療機関を受診しましょう。
Q3:ピアスホールが塞がりかけている場合、自分で再開通できる?
A3:自分で無理に再開通させることは避けてください。外側に穴が残っていても、内部が閉じている可能性があります。健康な状態であれば経験のある専門のピアッサーに確認してもらい、炎症や感染が疑われる場合は先に医療機関を受診してください。
Q4:ピアスを通そうとすると耳たぶが痛いのはなぜ?
A4:ホールの縮小、角度の不一致、皮膚の損傷、炎症などが考えられます。痛みがある状態で何度も挿入を試すと、さらに傷つける可能性があります。いったん装着を中止し、赤みや腫れ、熱感、膿などがないか確認してください。
Q5:ピアスホールが何年も前に開けたものでも塞がることはある?
A5:あります。長年安定していたホールでも、ピアスを外している期間や個人差によって狭くなったり閉じたりすることがあります。外していた期間だけで再装着できるかどうかを判断することはできません。抵抗がある場合は無理に通さないでください。
ピアスの後ろ側が見つからない原因には、ホールの角度、耳たぶの腫れ、入口と出口の位置のずれ、ホールの縮小などがあります。
まずは鏡と照明、スマートフォンのカメラを使って耳たぶの状態を確認しましょう。ただし、後ろ側の穴が見つからないからといって、ピアスや針で出口を探すのは危険です。
ピアスが途中で止まる、痛みがある、腫れているといった場合は、無理に装着を続けず、症状に応じて医療機関や専門のピアッサーに相談してください。
ピアスホールを長く大切にするためには、無理に通すことよりも、現在の状態を正しく見極めることが大切です。焦らず安全を優先し、自分の耳たぶに合った対処を選びましょう。
主な医学・専門情報の参考資料
- 英国NHS「Infected piercings」
- 米国皮膚科学会「Caring for new piercings」
- Association of Professional Piercers「Aftercare」「Jewelry for Healed Piercings」
- Cleveland Clinic「Infected Ear Piercing」
- Mayo Clinic「How to treat a piercing infection」(2025年2月26日更新)