2026年の成績回復には、単なる好不調だけでは説明できない変化があった。
注目したいのは、打撃フォーム、体づくり、打席での考え方という3つの要素だ。
2025年は開幕4番から2軍降格へ2025年、井上一樹監督は石川を開幕から4番・三塁で起用した。球団の将来を担う右の長距離打者として期待を寄せていたためだ。
しかし、開幕から13試合を終えた時点で打率.160、0本塁打、3打点。打撃だけでなく三塁守備でもミスが目立ち、4月12日に出場選手登録を抹消された。
5月31日に一軍へ戻ったものの、復帰後は18打数1安打。6月17日には再び登録を抹消された。
日刊スポーツの報道によると、井上監督は再降格について、再昇格後の結果が伴わなかったことを理由に挙げている。
最終的な2025年の成績は22試合、打率.139、1本塁打、5打点。開幕前に期待された4番打者としては、非常に厳しいシーズンだった。
打撃フォームの迷いを減らしたことが転機に2025年4月、デイリースポーツで打撃評論を行った内田順三氏は、石川の課題として速球への対応を挙げた。
特に指摘したのが、打撃動作に入るタイミングだ。
投手が投球動作に入ってからも打撃のトップの位置が定まらず、余分な動作が入ることで、内角の速球などに振り遅れるという分析だった。
こうした指摘は、当時の石川が抱えていた打撃上の問題を理解する手掛かりになる。
その後、2026年7月14日にCBCテレビが放送・配信したインタビューでは、打撃面に明確な変化が現れていた。
特に注目されたのがストレートへの対応だ。
| 比較対象 | ストレート打率 |
|---|---|
| 2020〜2025年通算 | .230 |
| 2026年シーズン途中 | .348 |
2026年の数値は69打数24安打という途中経過で、前年までの通算405打数93安打と比較したものだ。
石川自身も、以前はストレートを打てる状態と打てない状態の波が激しかったが、2026年は安定して対応できているという趣旨の説明をしている。
松中信彦コーチも、打撃フォームを自分で考えて確立し、一軍復帰後に余計な変更をせず継続したことを評価した。
加えて、初球から積極的にスイングできるようになった点も好調の要因として挙げている。
「常にストレートを打てている状態」 石川昂弥選手の2026年7月のインタビューより
以前はフォームの修正に迷いが生じていた石川が、自分の感覚を軸に打撃を組み立てるようになったことは大きい。
9キロ減量による体づくりの変化2026年の復調を考えるうえで、もう一つ重要なのがオフシーズンの肉体改造だ。
CBCテレビの2026年2月6日の春季キャンプ報道によると、石川はオフに約9キロの減量に成功した。
本人は体が軽く、動きやすくなったことを実感しており、打撃練習でも良い感触を得ていた。
単に体重を落としたという話ではない。打撃フォームの安定や身体の動かしやすさを意識した取り組みだった点に注目したい。
また、CBCテレビの7月のインタビューでは、石川がプロ入り後の意識の変化についても語っている。
これまで競争する立場を強く意識してこなかったが、前年の不振を経験し、2026年は生活面も含めて野球に集中する決意を固めたという。
この変化は、技術面だけではなく、レギュラー争いに向き合う姿勢にも表れている。
2026年の復調を支えた要素は次の3つだ。
- 打撃フォームを自分の感覚で整理し、迷いを減らした。
- 約9キロの減量で身体の動きやすさを改善した。
- 競争意識を持ち、初球から積極的に打ちにいく姿勢を身につけた。
この3つが組み合わさったことが、2025年からの成績改善につながったと考えられる。
【東邦高校からドラフト1位へ】石川昂弥の経歴と怪我・故障歴
石川昂弥のプロフィール
- 生年月日:2001年6月22日
- 出身:愛知県
- 投打:右投右打
- 身長・体重:186cm・100kg
- 所属:中日ドラゴンズ
- ポジション:内野手
- 背番号:25
- ドラフト:2019年1位
石川は愛知県の東邦高校出身。高校時代は投手と野手の両方で活躍し、2019年春の選抜高校野球大会ではチームの優勝に貢献した。
高校通算55本塁打を記録する長打力に加え、投手としても最速144キロを記録。U-18日本代表では4番を務めるなど、世代を代表する選手として注目された。
2019年10月17日のドラフト会議では、中日、オリックス、ソフトバンクの3球団が競合。中日が交渉権を獲得し、ドラフト1位で入団した。
球団が期待したのは、右の長距離打者として将来的にチームの中軸を担うことだった。
プロ入り後に経験した主な故障石川のキャリアを語るうえで、度重なる故障は避けて通れない。
特に左膝の大きな負傷は、プロ入り後の成長過程に影響した。
主な故障・離脱の経緯
- 2021年6月:左尺骨骨折
ウエスタン・リーグの阪神戦で死球を受け、左腕の尺骨を骨折。接合手術を受け、同年の一軍出場はなかった。
- 2022年5月:左膝前十字靱帯の負傷
オリックス戦で一塁へ走る際、接触を避けようとしたプレーで左膝を負傷。7月に前十字靱帯再建手術を受けた。
- 2023年4月:一軍復帰
手術とリハビリを経て一軍に復帰。121試合に出場し、13本塁打、45打点を記録した。
- 2023年8月:頭部への死球
ヤクルト戦で頭部に死球を受け、担架で運ばれた。精密検査のため救急車で病院に向かった。
- 2023年10月:左膝の違和感
フェニックス・リーグで左膝の違和感を訴えて離脱。病院での検査では異常なしと診断された。
- 2026年6月:指の負傷
三遊間の打球に飛び込んだ際、投球側の指を突き指。腫れがあったため、6月20日の試合を欠場した。
こうした故障歴を見ると、石川にとって年間を通したコンディション管理がどれほど重要かが分かる。
2023年には121試合に出場できた一方、2024年は82試合、2025年は22試合だった。
2026年は103試合まで出場を増やしており、故障による長期離脱を避けながら試合経験を積めたことも、成績回復を支える要素になった。
【三塁を軸にした起用法と現在の評価】中日の4番候補に戻れるか
石川の本職は内野手で、特に三塁手としての起用が注目されている。
2025年は開幕から4番・三塁で起用されたが、不振によってその構想は頓挫した。
一方、2026年は一軍復帰後に競争を勝ち抜き、三塁のレギュラー候補として存在感を取り戻した。
2026年の守備位置と監督の評価2026年の守備位置別データでは、三塁手として92試合、一塁手として16試合に出場している。
井上一樹監督は7月4日の試合後、三塁の起用について、対戦相手などを考慮しながらも、現状では石川を三塁で使いたいという意向を示した。
また、監督が評価したのは守備や打撃だけではない。
試合中の状況判断について話し合った際、石川が自分の考えを具体的に説明するようになったことも成長として挙げている。
現在の評価は「復調した主力候補」2026年の石川を評価する際、重要なのは次の3点だ。
1. 出場機会を取り戻した
2025年の22試合から2026年は103試合へ増加。チームの戦力として継続的に起用される段階に戻った。
2. 長打力が回復した
本塁打は1本から11本に増加。2023年の13本に近い打席あたりの本塁打ペースを記録した。
3. 三塁の起用候補として信頼を回復した
監督が三塁での起用に前向きな姿勢を示したことは、守備面を含めた評価材料になる。
ただし、2026年の11本塁打は、4番打者として期待される20本以上という水準には届いていない。
石川に対する評価は、完全復活を果たした大砲というより、再びレギュラーをつかみ、長打力を取り戻しつつある中軸候補という位置づけが適切だろう。
【プロの結論】石川昂弥の今後の展望と2027年への課題
2026年の石川昂弥は、2025年の不振から大きく立て直した。
しかし、次に求められるのは復調を一時的なものにせず、年間を通して安定した数字を残すことだ。
2026年10月18日付の中日新聞Webの報道では、石川は来季の本塁打増に向けて「シンプルなフォーム」を追求する考えを示した。
加えて、本人が掲げた目標は20本塁打。2026年の11本から、さらに9本増やす挑戦になる。
今後クリアしたい4つの課題① 20本塁打を達成する長打力
2023年の13本塁打、2026年の11本塁打は、長打力を持っていることを示す実績だ。
今後は打席あたりの本塁打ペースを維持しながら、出場機会を増やす必要がある。
② 打率.250以上を安定させる
2026年の打率は.249。2024年の.272にはわずかに届かなかった。
本塁打を狙うあまり打撃が崩れるのではなく、単打や二塁打も含めた安定した打撃が求められる。
③ 出塁率をさらに改善する
2026年の出塁率は.314。2025年の.173から大幅に改善した。
四球を選びながら甘い球を逃さない打撃ができれば、クリーンアップとしての価値も高まる。
④ 故障を防ぎ、年間を通して出場する
過去には左尺骨骨折や左膝前十字靱帯の手術を経験している。
2026年に103試合まで出場したことは大きな前進だ。今後は100試合以上の出場を継続し、規定打席到達を目指すことが重要になる。
石川昂弥を評価するときに見るべき数字ファンや野球ファンが今後の成長を判断するなら、打率だけで評価するのは十分ではない。
| 評価項目 | 注目する数字 | 判断するポイント |
|---|---|---|
| 出場機会 | 100試合以上 | レギュラー定着 |
| 打率 | .250以上 | 安定した安打生産 |
| 本塁打 | 20本 | 中軸を担う長打力 |
| 出塁率 | .330前後以上 | 出塁能力の向上 |
| OPS | .750以上 | 総合的な打撃力 |
上記は今後の成長を評価するための目安であり、球団やNPBが公表した公式目標値ではない。
特に注目したいのは、本塁打と出場試合数の関係だ。
11本塁打でも、100試合以上に出場していることには価値がある。これを20本塁打まで伸ばせれば、チームの打線に与える影響はさらに大きくなる。
2026年は復調のシーズンだった。2027年はその先にある、主軸としての定着を証明するシーズンになる。
【中日・石川昂弥に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:石川昂弥の2026年の成績は?
2026年シーズンは103試合に出場し、打率.249、11本塁打、42打点を記録した。出塁率は.314、長打率は.398、OPSは.712。
Q2:石川昂弥は2025年になぜ不振だった?
2025年は打撃フォームや速球への対応などが課題として指摘された。開幕4番を任されたものの、13試合で打率.160となり二軍降格。最終的には打率.139、1本塁打に終わった。
Q3:石川昂弥が2026年に復調した理由は?
約9キロの減量、打撃フォームの安定、速球への対応改善、打席での積極性などが挙げられる。CBCテレビの取材では、松中信彦コーチもフォームを継続できたことを評価している。
Q4:石川昂弥のポジションは?
内野手で、三塁を中心に起用されている。2026年は一塁での出場もあり、複数の内野ポジションに対応している。
Q5:石川昂弥は怪我で手術したことがある?
ある。2021年に左尺骨を骨折して手術を受け、2022年には左膝前十字靱帯の再建手術を受けた。2023年にも左膝の違和感が報じられている。
中日ドラゴンズの石川昂弥は、2025年の打率.139、1本塁打という低迷から、2026年には打率.249、11本塁打、42打点まで成績を回復させた。
特に評価したいのは、出場試合数が22試合から103試合に増えたこと、OPSが.381から.712まで改善したことだ。
2023年の13本塁打という実績と比較しても、2026年の本塁打ペースはほぼ同水準まで戻っている。
一方、2024年の打率.272や2023年の45打点にはまだ届いていない。長打力を維持しながら、打率と出塁率を安定させることが今後の課題になる。
東邦高校からドラフト1位で入団し、度重なる故障と不振を経験してきた石川にとって、2026年は再出発の意味を持つシーズンだった。
2027年に目指すのは20本塁打。
その目標を達成し、三塁のレギュラーとして年間を通して活躍できれば、中日の打線における存在感は一段と大きくなる。2026年に取り戻した打撃の形を、次のシーズンでどこまで完成させられるかが最大の注目点だ。