神戸山口組の組織図を調べる際、最初に区別したいのが、警察庁の公表する団体情報と、インターネット上で流通する独自の組織図である。
警察庁の「令和7年における組織犯罪の情勢」には、指定暴力団ごとの代表者、主たる事務所、勢力範囲、構成員数が掲載されている。一方、傘下団体や個人単位の役職、指揮命令関係まで網羅した2026年版の公式組織図は公表資料から確認できない。
そのため、現在の神戸山口組を理解するには、個人の序列を並べた図よりも、六代目山口組との関係、分裂によって生まれた別団体、警察による指定状況を整理する方が実態を把握しやすい。
2026年の公表資料から確認できる基本情報
- 団体名:神戸山口組
- 法的区分:指定暴力団
- 代表者:警察庁公表資料に記載
- 構成員数:約110人(2025年末)
- 準構成員等:約170人(2025年末)
- 構成員等の合計:約270人
- 勢力範囲:1都1府6県(2025年末)
ここで注意したいのは、構成員数と勢力範囲は同じ意味ではないという点だ。勢力範囲が複数の都府県に及んでいても、その地域すべてに同じ規模の組織活動があることを意味しない。
【構成員数と勢力推移】2016年の約2600人から2025年には約110人へ

神戸山口組の勢力縮小を示す最も分かりやすい資料が、警察庁の構成員数の推移である。
2026年4月公表の統計では、2025年末の構成員数は約110人。2016年末の約2600人と比較すると、約96%減少した計算になる。
加えて、構成員以外の準構成員等も含めた勢力は約270人となっている。
神戸山口組の構成員数の推移
| 年末 | 構成員数 | 準構成員等を含む合計 |
|---|---|---|
| 2016年 | 約2,600人 | 約5,500人 |
| 2017年 | 約2,500人 | 約5,100人 |
| 2018年 | 約1,700人 | 約3,400人 |
| 2019年 | 約1,500人 | 約3,000人 |
| 2020年 | 約1,200人 | 約2,500人 |
| 2021年 | 約510人 | 約1,000人 |
| 2022年 | 約330人 | 約760人 |
| 2023年 | 約140人 | 約400人 |
| 2024年 | 約120人 | 約320人 |
| 2025年 | 約110人 | 約270人 |
出典:警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢」図表2-2。各年末時点の概数。
減少の背景にある複数の要因構成員数が減った背景には、山口組分裂後の組織再編、傘下団体の離脱、別団体の結成、警察による継続的な取り締まりなどがある。
特に2020年前後は、神戸山口組からの離脱や独立が相次いだ時期に当たる。
ただし、構成員数の減少を単純に抗争の終結や組織の消滅と結び付けることはできない。2025年末時点でも警察庁は神戸山口組を主要団体の一つとして扱っており、六代目山口組との特定抗争指定も継続している。
また、構成員と準構成員等は警察庁の統計上、別の区分である。ニュースで約110人と約270人という異なる数字が登場するのは、この集計対象の違いによるものだ。
【2015年の山口組分裂】神戸山口組が誕生した経緯と組織関係
神戸山口組の成り立ちを理解するには、2015年8月末に起きた山口組の分裂を押さえる必要がある。
警察庁の公表資料によると、当時の六代目山口組から離脱した直系組長13人が神戸山口組を結成した。
分裂の背景については、組織運営や上納金制度などをめぐる不満があったと報じられている。特に、六代目体制下での組織運営に対する反発が、分裂の一因として取り上げられた。
その後、双方の対立は深刻化し、警察による抗争対策が強化されていった。
分裂から2026年までの主な出来事| 時期 | 出来事 | 公表資料から確認できる内容 |
|---|---|---|
| 2015年8月 | 山口組分裂 | 直系組長13人が離脱し、神戸山口組を結成 |
| 2016年4月 | 初回指定 | 兵庫県公安委員会が指定暴力団に指定 |
| 2017年4月 | 任侠山口組の結成 | 神戸山口組傘下の一部組織が離脱 |
| 2018年3月 | 任侠山口組の指定 | 兵庫県公安委員会が指定暴力団に指定 |
| 2020年2月 | 絆會へ改称 | 任侠山口組が名称を変更 |
| 2020年7月 | 池田組が離脱 | 神戸山口組傘下からの離脱を表明 |
| 2021年11月 | 池田組の指定 | 岡山県公安委員会が指定暴力団に指定 |
| 2025年4月8日 | 神戸山口組の再指定 | 4回目の指定。期間は2028年4月まで |
| 2026年9月17日 | 特定抗争指定の延長 | 六代目山口組との指定期限を2027年1月6日まで延長 |
この経緯から分かるのは、2015年の分裂が一度限りの出来事ではなく、その後の離脱や独立によって複数の指定暴力団が生まれる契機になったということだ。
現在の神戸山口組を理解する際には、2015年当時の勢力図をそのまま2026年に当てはめないことが大切である。
【六代目山口組との関係】2026年も特定抗争指定が続く理由
神戸山口組と六代目山口組の関係は、2015年の分裂以降、対立関係を中心に推移してきた。
両組織の間では2019年以降、拳銃を使用した事件などが相次ぎ、地域社会に大きな不安を与えた。これを受けて2020年1月、兵庫県などの公安委員会は両組織を特定抗争指定暴力団等に指定した。
その後も指定期限の延長が続いている。
2026年9月17日の27回目の延長2026年9月17日、兵庫県公安委員会は六代目山口組と神戸山口組に対する特定抗争指定の期限を3カ月延長することを決定した。
新たな期限は2027年1月6日。2020年1月7日の指定開始から数えて27回目の延長となる。
この判断で注目されたのは、六代目山口組と池田組、絆會との指定が解除される一方、神戸山口組との指定については延長が決まったことだ。
神戸新聞の報道によれば、兵庫県警は両組織の対立抗争が終結したとは認められないと判断した。抗争終結の宣誓書提出後、事件が発生していないことだけでは、指定解除の判断には至らなかった。
つまり、2026年の状況は次のように整理できる。
- 六代目山口組:神戸山口組との特定抗争指定が継続。
- 神戸山口組:六代目山口組との特定抗争指定が継続。
- 池田組:六代目山口組との特定抗争指定は2026年9月7日で終了。
- 絆會:六代目山口組との特定抗争指定は2026年9月21日で終了。
他の2団体との指定解除は、神戸山口組との対立関係が解消されたことを意味しない。 ここが2026年の情勢を読み解くうえで要点である。
【警戒区域と指定期限】兵庫県公安委員会による規制の現状
特定抗争指定暴力団等に指定されると、通常の指定暴力団に対する規制に加えて、警戒区域内での活動に厳しい制限が課される。
警察庁の2026年4月公表資料では、六代目山口組と神戸山口組に関する警戒区域は、2025年末時点で9府県17市町とされている。
兵庫県内では、神戸市、姫路市、尼崎市、高砂市、稲美町が対象として報道されている。
特定抗争指定によって禁止される主な行為警戒区域内では、暴力団対策法に基づき、次のような行為が規制される。
- 対象となる事務所の使用や立ち入り
- 新たな事務所の設置
- 対立組織の構成員へのつきまとい
- 対立組織の構成員の居宅や事務所付近でのうろつき
- おおむね5人以上での集合など、法律で定められた行為
違反した場合には刑事罰の対象となることもある。
この制度の目的は、対立組織間の接触や集団行動を制限し、抗争事件による市民への被害を防ぐことにある。
なお、警戒区域はすべての指定暴力団に共通するものではなく、対立する団体の組み合わせごとに設定される。したがって、六代目山口組と神戸山口組の指定区域と、池田組や絆會に関係する過去の指定区域を混同しないことが必要だ。
2026年11月5日現在、神戸山口組との指定期限は2027年1月6日までとなっている。期限到来時に再延長されるかどうかは、その後の公安委員会の判断による。
【池田組と絆會の関係】神戸山口組から独立した2団体の現在
山口組分裂後の組織関係を理解するうえで、池田組と絆會の存在も見逃せない。
両団体は神戸山口組と歴史的なつながりを持つが、現在はそれぞれ独立した指定暴力団として扱われている。
池田組:2020年に神戸山口組から離脱池田組は2020年7月、神戸山口組傘下からの離脱を表明した。
その後、2021年11月に岡山県公安委員会から指定暴力団として指定された。
六代目山口組との対立を背景に、2022年12月には特定抗争指定暴力団等にも指定されていた。
しかし、2026年8月20日、関係する公安委員会は同指定を延長しないことを決定。9月7日の期限をもって終了した。
判断の背景には、約2年間にわたり両団体間で抗争とみられる事件が発生していなかったことなどがある。
絆會:任侠山口組から名称変更絆會は、2017年4月に神戸山口組から離脱した一部組織によって結成された任侠山口組を前身とする。
2018年3月に指定暴力団となり、2020年2月に絆會へ名称を変更した。
六代目山口組との対立を背景に2024年6月には特定抗争指定を受けたが、2026年9月3日、関係する公安委員会が指定期限を延長しないことを決定した。
これにより、9月21日の期限をもって指定は終了した。
池田組と絆會は同じ組織なのか?両団体は同じ神戸山口組を起点とする分裂後の組織だが、同一団体ではない。
警察庁の指定暴力団一覧でも、それぞれ独立した団体として掲載されている。
また、六代目山口組との特定抗争指定が解除されたことと、神戸山口組との組織的な関係が復活したことは別問題である。
2026年11月時点で確認できる公的情報からは、池田組と絆會が神戸山口組の傘下に戻ったとする事実は確認できない。過去の組織関係と現在の法的な位置付けを分けて理解する必要がある。
【指定暴力団と特定抗争指定の違い】間違えやすい3つのポイント
神戸山口組をめぐるニュースでは、「指定暴力団」と「特定抗争指定暴力団等」という2つの言葉が登場する。
似た表現だが、法的な意味は異なる。
1. 指定暴力団
暴力団対策法に基づき、一定の要件を満たす団体として公安委員会が指定するもの。
神戸山口組は2016年4月に初めて指定され、2025年4月8日に4回目の指定を受けた。今回の指定期間は2028年4月までの3年間である。
2. 特定抗争指定暴力団等
指定暴力団同士の対立抗争が激化し、市民の生命や身体に重大な危害が及ぶおそれがある場合などに、警戒区域を定めて追加的な規制を行う制度である。
神戸山口組の場合、六代目山口組との関係で2020年1月からこの指定を受けている。
3. 指定期限の延長
指定期限が延長されることは、警察・公安委員会が引き続き規制の必要性を認めていることを示す。
一方、指定が解除されたからといって、その団体が解散したり、過去の対立がすべて解消されたりするわけではない。
この3つを区別すると、2026年の神戸山口組をめぐるニュースが理解しやすくなる。
【神戸山口組の最新組織図】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年現在、神戸山口組の構成員は何人ですか?
A1:警察庁の2026年4月公表資料によると、2025年末時点の構成員は約110人です。準構成員等の約170人を含めた合計は約270人となっています。2026年11月時点で、これより新しい確定値は公表資料から確認できません。
Q2:神戸山口組は2026年現在も指定暴力団ですか?
A2:はい。2025年4月8日に兵庫県公安委員会から4回目の指定を受けており、指定期間は2028年4月までです。また、六代目山口組との特定抗争指定も2027年1月6日まで延長されています。
Q3:池田組と絆會は現在も神戸山口組の傘下ですか?
A3:いいえ。池田組は2020年7月に神戸山口組からの離脱を表明し、絆會は2017年に神戸山口組から離脱した組織を前身としています。現在はそれぞれ独立した指定暴力団として扱われています。
2026年11月現在の神戸山口組は、2015年の山口組分裂によって誕生した組織として存続しているものの、構成員数は大幅に減少している。
警察庁の最新確定統計である2025年末の数字は、構成員約110人、準構成員等を含めて約270人。2016年末の構成員約2600人と比較すると、組織規模の縮小は明らかだ。
一方、六代目山口組との特定抗争指定は2027年1月6日まで延長されており、法的な規制が続いている。池田組と絆會との指定解除とは異なる判断が示された点も、2026年の大きな特徴である。
【プロの結論】
神戸山口組の現状を正確に理解するためには、次の3つを基準に情報を読み分けることが重要だ。
1. 組織規模を見るなら警察庁の統計: 構成員数と準構成員等の人数を区別し、必ず公表年末を確認する。
2. 組織の法的な立場を見るなら公安委員会の指定: 指定暴力団と特定抗争指定暴力団等を混同しない。
3. 分裂後の関係を見るなら時系列: 2015年の分裂、2017年の任侠山口組結成、2020年の池田組離脱を区別する。
組織図という一枚の図だけでは、現在の勢力や法的な位置付けまでは分からない。2026年の実態を把握するには、警察庁の年次統計と兵庫県公安委員会の指定状況を組み合わせて確認することが最も確実である。
今後の注目点は、2027年1月6日に期限を迎える六代目山口組と神戸山口組の特定抗争指定が、再延長されるのか、それとも解除に向かうのかという点にある。引き続き、公安委員会の決定と警察庁の公表資料が重要な判断材料となる。