木村和士騎手の評価を語るうえで欠かせないのが、カナダ競馬の「ソヴリン賞」と北米競馬の「エクリプス賞」です。
この2つは、それぞれ異なる評価制度ですが、木村騎手は見習騎手時代からトップ騎手へ成長する過程で、両方の栄誉を手にしています。
2018年:ソヴリン賞の最優秀見習騎手賞カナダ競馬の年間表彰であるソヴリン賞(Sovereign Awards)は、カナダの競馬界で優れた成績を収めた競走馬や関係者などを表彰する制度です。
木村騎手は2018年、カナダの最優秀見習騎手賞を受賞しました。
カナダに渡って間もない新人が、その年の優秀な見習騎手として評価されたことは大きな成果です。
初年度から104勝を挙げた実績が、受賞を後押ししました。
2019年:エクリプス賞で日本人初の快挙さらに2019年、木村騎手はエクリプス賞(Eclipse Awards)の最優秀見習騎手部門を受賞します。
エクリプス賞は、北米競馬における主要な年間表彰制度です。競馬関係者や競馬記者などの投票によって各部門の受賞者が決まります。
木村騎手の受賞は、日本人として初めての同部門受賞として日本の競馬メディアでも報じられました。
2020年1月のnetkeibaの報道では、受賞時の木村騎手が英語でサポートしてくれた人々への感謝を伝えたことも紹介されています。
英語を話せない状態でカナダに渡り、現地の競馬関係者との関係を築いてきた若い日本人騎手が、北米全体の表彰で認められた出来事でした。
2021~2023年:カナダのトップ騎手として3年連続受賞見習騎手部門の受賞だけで終わらなかったことも、木村騎手のキャリアの特徴です。
2021年にはソヴリン賞の最優秀騎手賞を獲得。その後、2022年、2023年にも同賞を受賞しました。
つまり、見習騎手として評価された後、一般騎手部門でも3年連続でカナダのトップに選ばれたことになります。
2023年のウッドバイン競馬場では年間161勝を挙げ、3年連続のリーディングジョッキーを達成しました。
受賞歴を整理すると、次のようになります。
| 年 | 賞 | 部門 |
|---|---|---|
| 2018年 | ソヴリン賞 | 最優秀見習騎手 |
| 2019年 | エクリプス賞 | 最優秀見習騎手 |
| 2021年 | ソヴリン賞 | 最優秀騎手 |
| 2022年 | ソヴリン賞 | 最優秀騎手 |
| 2023年 | ソヴリン賞 | 最優秀騎手 |
見習騎手時代の評価と、トップ騎手としての評価の両方を獲得していることが、木村和士の実績を特徴づけています。
【G1勝利】グレツキー・ザ・グレートからコピオンまでの活躍

木村騎手は、見習騎手の表彰を受けただけでなく、北米の主要G1競走でも勝利を重ねてきました。
ここでは、代表的なG1勝利を馬名と競走名で整理します。
2020年:グレツキー・ザ・グレートで初G1制覇木村騎手の最初のG1勝利は、2020年のサマーS(Summer Stakes)です。
騎乗馬はグレツキー・ザ・グレート(Gretzky the Great)。
カナダのウッドバイン競馬場で行われたこのレースで勝利し、G1ジョッキーの仲間入りを果たしました。
この勝利は、2018年のカナダデビューからわずか2年ほどで達成した大きな節目です。
2022年:ルージールでE.P.テイラーS制覇2022年には、フランス産の牝馬ルージール(Rougir)に騎乗して、E.P.テイラーS(E.P. Taylor Stakes)を制しました。
この競走はウッドバイン競馬場を代表する国際的なG1競走の一つです。
カナダを主戦場とする騎手として、地元の大舞台で再びG1タイトルを獲得したことは、木村騎手の評価をさらに高めました。
2023年:ゴールドフェニックスで米国G1勝利2023年3月には、サンタアニタパークのフランク・E・キルロー・マイルS(Frank E. Kilroe Mile Stakes)をゴールドフェニックス(Gold Phoenix)とのコンビで勝利しました。
カナダだけでなく、米国の競馬場でもG1を勝てることを示した重要な実績です。
同年には日本のマンダリンヒーロー(Mandarin Hero)にも騎乗し、サンタアニタダービーで2着に入りました。
この馬はその後、ケンタッキーダービーにも出走。木村騎手にとっても、米国競馬の最高峰へ挑戦する経験となりました。
2024年:テンマ、フルカウントフェリシア、コピオンでG1勝利2024年は、木村騎手が米国でさらに存在感を高めたシーズンです。
代表的なG1勝利は次の3つです。
- テンマ(Tenma):2024年デルマー・デビュタントS
- フルカウントフェリシア(Full Count Felicia):2024年E.P.テイラーS
- コピオン(Kopion):2024年ラブレアS(La Brea Stakes)
特にテンマとのコンビは、デルマー競馬場のG1競走で勝利したことで注目を集めました。
2024年9月7日のデルマー・デビュタントSでは、ボブ・バファート厩舎のテンマに騎乗。最後の直線で伸びを見せ、僅差の勝利を収めています。
デルマー競馬場の公式レポートにも、木村騎手のレース後のコメントが掲載されています。
2025年:コピオンで再びG1制覇2025年には、コピオンとのコンビでチャーチルダウンズ競馬場のG1・ダービーシティディスタフ(Derby City Distaff)を制しました。
この勝利によって、木村騎手は米国の異なる競馬場でもG1タイトルを獲得できることを示しています。
ケンタッキーダービーやブリーダーズカップを目標に掲げる木村騎手にとって、米国の主要G1で結果を残すことはキャリア上の大きな意味を持ちます。
なお、G1での2着や出走とG1優勝は別の実績です。例えばマンダリンヒーローとのサンタアニタダービー2着は大きな成果ですが、G1勝利には含まれません。
この区別をして成績を見ることが、木村騎手の実力を正しく評価するポイントです。
【2026年最新】木村和士の現在はアメリカ!騎乗成績を検証
2026年11月現在、木村和士騎手はアメリカの南カリフォルニアを主な活動拠点として騎乗を続けています。
以前はカナダのウッドバイン競馬場が主戦場でしたが、現在はサンタアニタパークやデルマー競馬場など、米国西海岸の競馬場での活動が中心です。
2025年にカリフォルニアへの本格移転を決断木村騎手は2022~2023年の冬季にもサンタアニタパークで騎乗していました。
その後、2024年にはデルマー競馬場の開催にも参加し、米国の競馬関係者との関係を広げていきます。
転機となったのは2025年です。
Daily Racing Formが2025年3月10日に報じたところによると、木村騎手はカリフォルニア州に住居を購入し、南カリフォルニアを恒久的な拠点とする意向を明らかにしました。
本人は、カリフォルニアに腰を据えてリーディングジョッキーを目指すことを次の段階として位置づけています。
背景にあるのは、ケンタッキーダービーやブリーダーズカップへの継続的な挑戦です。
カナダで優秀な成績を残していても、米国の大きなレースに毎年乗る機会を得るには、現地の競馬関係者との継続的な関係が欠かせません。
活動拠点を移すことは、より大きな舞台で騎乗機会を増やすための戦略的な選択でした。
2025年の負傷と復帰2025年1月16日、木村騎手はサンタアニタパークで発馬機に関連する事故に遭い、左脚を骨折しました。
手術を受け、2か月以上にわたってレースから離れることになります。
当時は騎乗機会を失うだけでなく、他の騎手に有力馬の騎乗が移るという競争上の不利益もありました。
しかし、3月には復帰。南カリフォルニアで再び騎乗を続けました。
そして2025年9月20日、ロスアラミトス競馬場でティー・オン・オフ(Tee N Off)に騎乗し、北米通算1,000勝を達成しています。
負傷による長期離脱を経験した後に到達した節目でした。
2026年の最新騎乗成績2026年の成績について、北米競馬の公式レース記録を基にしたEquibase集計を掲載するTurf Archiveのデータでは、11月初旬時点で次の数字が確認できます。
2026年シーズン成績118勝
年間1着回数704回
年間騎乗数17%
勝率46%
3着以内率
年間獲得賞金
7,031,529米ドル
賞金ランキング
北米29位
出典:Turf Archive掲載のEquibaseベースの北米年間集計。2026年11月初旬のデータ。
注目したいのは、勝利数だけでなく、2着108回、3着100回という数字です。
704回の騎乗に対して、3着以内が326回。上位3着以内に入る割合は約46%です。
つまり、単発の勝利だけでなく、安定して上位争いに加わっていることが数字から読み取れます。
なお、この数字は米国の一競馬場だけの成績ではなく、北米全体のシーズン集計です。サンタアニタパーク限定の成績と混同しないことが大切です。
2026年の直近のレースと注目結果2026年10月31日には、米国の大舞台ブリーダーズカップ・クラシックに騎乗しました。
騎乗馬は日本から遠征したT O Password(ティーオーパスワード)。
結果は4着でした。
勝利には届かなかったものの、日本馬の海外挑戦を米国の最高峰の舞台で支えた騎乗として注目されます。
さらに翌11月1日には、サンタアニタパークの第6レースでライアンズガール(Ryan's Girl)に騎乗して勝利しています。
10月から11月にかけても勝ち星を挙げており、2026年シーズンの活動は継続中です。
2026年の競馬界での立ち位置2026年の木村騎手は、南カリフォルニアの有力騎手たちと競いながら、リーディング上位を目指す立場にあります。
Daily Racing Formの2026年2月4日付の記事では、サンタアニタパークの開催で、フアン・ヘルナンデス騎手とともに19勝で首位に並んでいたことが紹介されています。
その後、4月5日の開催終了時点では37勝で3位でした。
上位を争うには、年間を通じた勝率だけでなく、有力馬への騎乗機会を確保することも重要です。
【評判・実力分析】木村和士騎手はなぜ北米で評価されるのか?
木村和士騎手の評判を考える際には、単純な勝利数だけではなく、騎乗技術、騎乗機会、所属する競馬環境の3つを分けて見る必要があります。
1. 大舞台で結果を残す勝負強さ木村騎手の強みは、通常の競走だけでなく、G1を含む重賞競走で結果を残してきたことです。
グレツキー・ザ・グレート、ルージール、ゴールドフェニックス、テンマ、コピオンなど、複数の実力馬とのコンビで大きな勝利を挙げています。
これは、馬の能力を生かす騎乗技術に加え、厩舎や馬主から継続的に騎乗を依頼される信頼関係があることを示しています。
2. 有力調教師との関係を築いている2026年のDaily Racing Formの報道では、木村騎手がボブ・バファート、マイケル・マッカーシー、ティム・ヤクティーンらの調教師とコンビを組み、勝利を挙げていることが紹介されています。
加えて、フィル・ダマートやリチャード・マンデラといった南カリフォルニアの著名な調教師との騎乗関係もあります。
北米では、騎手がどの厩舎からどれだけ騎乗依頼を受けるかが、成績を大きく左右します。
その意味で、こうした関係を築いていること自体が、現地での評価を考える材料になります。
3. エージェントが評価する仕事への姿勢2026年4月のPaulick Report掲載記事では、エージェントのブライアン・ビーチ氏が木村騎手の仕事への取り組み方について言及しています。
記事では、木村騎手が非常に献身的で、騎乗したレースでは最後まで馬を追う姿勢が評価されていることが紹介されました。
また、日常的なトレーニングや体調管理にも力を入れていると報じられています。
騎手は体重管理、体力、反射神経、集中力を高い水準で維持しなければならない職業です。
木村騎手が長期的なキャリアを見据えてコンディション管理を重視していることは、プロとしての強みの一つです。
4. それでもリーディング争いは簡単ではない一方、木村騎手が米国でトップの座を確立したと断定するのは早計です。
2026年のサンタアニタパークでは、フアン・ヘルナンデス騎手やエミサエル・ハラミーヨ騎手など、実績のある騎手との競争が続いています。
また、エージェントのブライアン・ビーチ氏は、木村騎手が有力厩舎の第一選択ではなく、2番手や3番手の騎乗依頼を受ける場合もあるという競争環境を説明しています。
この点は重要です。
騎手の能力が高くても、必ずしも毎回最も有力な馬に乗れるわけではありません。
騎乗馬の質、調教師との関係、開催ごとの騎乗数など、複数の条件が成績に影響します。
木村和士騎手を評価するときの4つの判断基準| 判断基準 | 確認するポイント |
|---|---|
| 勝率 | 騎乗数に対して何勝しているか |
| 複勝率 | 3着以内に入る安定感があるか |
| 重賞実績 | G1などの大舞台で勝利しているか |
| 騎乗環境 | 有力厩舎や実績馬から依頼を受けているか |
特に2026年のように活動拠点を移した後のシーズンは、前年との勝利数だけを比較しても実力を正しく評価できません。
騎乗数、勝率、馬の質、競争相手を総合的に見る必要があります。
【プロの結論】木村和士の本当の強みは海外でキャリアを築いたこと
木村和士騎手の経歴には、日本の競馬ファンにとって学ぶべき点があります。
それは、競馬学校を自主退学したという経歴だけでなく、その後に自分の可能性を発揮できる環境を探し、実際に結果を出してきたことです。
2018年にカナダでデビューし、2019年にはエクリプス賞を受賞。2021~2023年にはカナダのトップ騎手として3年連続で表彰されました。
さらに米国に活動の場を広げ、2025年には北米通算1,000勝を達成。2026年も年間118勝を挙げるなど、継続的に勝利を積み重ねています。
木村騎手のキャリアは、海外で活躍する日本人騎手の一つの成功例です。
ただし、今後の評価を左右するのは過去の受賞歴だけではありません。
- 米国の主要G1でどれだけ勝利を積み重ねられるか
- ケンタッキーダービーやブリーダーズカップで優勝できるか
- 南カリフォルニアでリーディングジョッキーのタイトルを獲得できるか
- 有力厩舎から継続的に主戦騎手として信頼されるか
こうした課題を一つずつクリアすることが、世界的なトップジョッキーへの道につながります。
【よくある質問】木村和士騎手に関するFAQ
Q1:木村和士の読み方は何ですか?
A1:木村和士は「きむら・かずし」と読みます。英語表記はKazushi Kimuraです。
Q2:木村和士の生年月日と出身地は?
A2:1999年9月6日生まれで、北海道浦河町の出身です。2026年11月現在、27歳です。
Q3:木村和士騎手は2026年現在どこを拠点にしていますか?
A3:アメリカの南カリフォルニアを主な拠点としています。サンタアニタパークやデルマー競馬場などで騎乗しています。
Q4:木村和士はG1を勝ったことがありますか?
A4:あります。2020年のグレツキー・ザ・グレートによるサマーSをはじめ、ルージール、ゴールドフェニックス、テンマ、コピオンなどとのコンビで北米G1を制しています。
木村和士騎手は、北海道浦河町で育ち、2018年にカナダでプロデビューした日本人騎手です。
ソヴリン賞やエクリプス賞の受賞、複数のG1勝利、ウッドバイン競馬場での3年連続リーディングジョッキー獲得など、若くして多くの実績を残しました。
2025年にはアメリカの南カリフォルニアへ本格的に活動拠点を移し、2026年もサンタアニタパークなどで騎乗を続けています。
2026年11月初旬時点の年間成績は118勝、704騎乗、勝率17%。
ブリーダーズカップ・クラシックにもT O Passwordとのコンビで参戦し、4着という結果を残しました。
今後の注目点は、米国のリーディングジョッキー争いでさらに上位へ進出できるか、そしてケンタッキーダービーやブリーダーズカップといった世界最高峰の舞台でG1タイトルを獲得できるかです。
日本で騎手としてデビューする道とは異なる選択をし、北米で実績を積み上げてきた木村和士。その挑戦は、2026年も続いています。