2026年、日本のがん生存率をめぐる統計に大きな進展があった。厚生労働省は2026年1月14日、全国がん登録に基づく2016年診断例の5年生存率を公表。さらに同年2月には2018年診断例の集計結果も公表され、国立がん研究センターの最新統計では、2018年診断例の5年相対生存率が男女計64.8%と示されている。
実際、がんの生存率は部位によって大きく異なる。2016年診断例では前立腺がんが92.1%、女性の乳がんが88.0%だった一方、膵臓がんは11.8%だった。加えて、同じ臓器のがんでも、診断時に局所にとどまっていたか、遠隔転移していたかによって予後は大きく変わる。
ただし、5年生存率は個人の余命や治癒を直接予測する数字ではない。統計の対象年、計算方法、がんの進行度を区別して読む必要がある。2026年11月時点の公的統計をもとに、部位別生存率、ステージ別の違い、5年相対生存率と5年純生存率の関係まで整理する。
【2026年最新】日本の癌生存率はどこまで明らかになった?

まず押さえたいのは、2026年に公表された統計には、診断年の異なる複数のデータが存在することだ。
「2026年最新」という表現だけでは、2026年に診断された患者の生存率だと誤解しかねない。しかし、5年生存率は診断後5年間の経過を追跡する必要があるため、公表年と診断年には時間差がある。
2026年に公表された主な生存率データ主な動きは次のとおり。
- 2026年1月14日: 厚生労働省が2016年全国がん登録生存率報告を公表。
- 2026年2月13日: 2018年全国がん登録5年生存率報告を公表。
- 2026年4月: 国立がん研究センターの「がんの統計2026」が掲載され、2016年診断例の5年純生存率などを公開。
- 2026年7月14日: 国立がん研究センターのがん統計が更新され、2018年診断例の5年相対生存率が最新データとして掲載された。
ここで重要なのは、2016年診断例が2026年時点の最新データではないことだ。2016年診断例は全国がん登録による初期の重要な基準データであり、2026年には2018年診断例まで公表が進んでいる。
国立がん研究センターの「最新がん統計」によると、2018年にがんと診断された人の5年相対生存率は次のとおり。
2018年診断例・5年相対生存率
64.8%
男女計・全部位
63.2%
男性
66.8%
女性
出典:国立がん研究センター「最新がん統計」。2026年7月14日更新。
この64.8%は、2018年診断例の5年相対生存率である。2026年に新たに診断された患者の生存率ではない。
また、国立がん研究センターの集計表ダウンロードには、2016~2018年診断例を対象とした5年相対生存率のデータも掲載されている。
つまり、2026年のがん統計を読む際は、次の3つを区別する必要がある。
1. 2016年診断例:全国がん登録の初期の5年生存率データ
2. 2018年診断例:厚生労働省が公表した、より新しい全国がん登録の5年生存率
3. 2018年診断例の5年相対生存率:国立がん研究センターが公表する最新の全国統計
【部位別生存率】前立腺がん92.1%、膵臓がん11.8%の大きな差
癌生存率を調べる人が最も気になるのは、がんの種類によってどれほど生存率が異なるのかという点だろう。
厚生労働省が2026年1月に公表した2016年全国がん登録生存率報告では、15歳以上のAYA・成人について、がんの部位ごとに大きな差が確認された。
2016年診断例の部位別5年生存率| がんの部位 | 5年生存率 |
|---|---|
| 前立腺 | 92.1% |
| 乳房(女性) | 88.0% |
| 子宮頸部 | 71.8% |
| 大腸(結腸・直腸) | 67.8% |
| 胃 | 64.0% |
| 肺 | 37.7% |
| 肝・肝内胆管 | 33.4% |
| 膵臓 | 11.8% |
出典:厚生労働省「2016年全国がん登録生存率報告」。15歳以上。公表資料の部位別数値。
前立腺がんは92.1%と高く、女性の乳がんも88.0%だった。一方、膵臓がんは11.8%で、両者には約80ポイントの差がある。
この数字から分かるのは、がんという病名だけで予後を一括りにできないということだ。
2018年診断例ではどう変わった?2026年2月に厚生労働省が公表した2018年診断例では、主要ながんの5年生存率は次のようになった。
| がんの部位 | 2016年 | 2018年 |
|---|---|---|
| 前立腺 | 92.1% | 92.5% |
| 乳房(女性) | 88.0% | 88.4% |
| 子宮頸部 | 71.8% | 71.4% |
| 大腸 | 67.8% | 68.0% |
| 胃 | 64.0% | 64.4% |
| 肺 | 37.7% | 39.6% |
| 肝・肝内胆管 | 33.4% | 34.4% |
| 膵臓 | 11.8% | 13.5% |
出典:厚生労働省「2016年全国がん登録生存率報告」「2018年全国がん登録5年生存率報告」。数値は公表資料に基づく。
特に注目されるのは膵臓がんと肺がんだ。
膵臓がんは11.8%から13.5%へ、肺がんは37.7%から39.6%へ上昇した。厚生労働省も、2018年の結果について、膵臓がんや肺がんなどで2016年と比較して上昇したと説明している。
ただし、2年間の数値の変化だけで治療成績がどれほど改善したかを断定することはできない。患者構成、診断時の進行度、年齢、統計的なばらつきなども関係するからだ。
なぜ部位によって生存率が違うのか主な背景は、次の4つに整理できる。
- 発見の難しさ: 初期には症状が乏しく、発見時に進行しているがんがある。
- 臓器の特性: 周囲の組織や血管への広がり方、転移のしやすさが異なる。
- 治療選択肢: 手術、放射線治療、薬物療法などの適用範囲ががん種によって異なる。
- がんの性質: 同じ臓器でも組織型や遺伝子変異、分子標的などによって治療反応が変わる。
例えば、膵臓は体の深部にあり、初期段階で見つけにくい場合がある。診断時に進行している患者が一定数存在することも、集団全体の生存率に影響する。
一方、前立腺がんなどは、比較的長い経過をたどるタイプもあり、診断時の年齢や病気の性質も統計に反映される。
したがって、前立腺がんの生存率が高いからといって、すべての前立腺がんが軽症という意味ではない。
【ステージ別生存率】遠隔転移があると5年生存率はどう変わる?
部位別の数字と同じくらい重要なのが、がんの進行度だ。
同じ胃がんでも、原発臓器にとどまっている場合と、遠隔臓器に転移している場合では予後が異なる。
国立がん研究センターが公表した2016年全国がん登録の5年純生存率では、診断時の臨床進行度による差が明らかになっている。
進行度は「限局・領域・遠隔」の3分類全国がん登録などで使用される臨床進行度は、がんが診断時点でどこまで広がっているかを表す指標だ。
| 分類 | 意味 |
|---|---|
| 限局 | がんが原発臓器・組織にとどまっている |
| 領域 | 所属リンパ節への転移や隣接臓器への浸潤がある |
| 遠隔 | 遠隔臓器や遠隔リンパ節などに転移している |
これは一般的なTNM分類のステージI~IVと完全に同じものではない。
全国がん登録では、がんの広がりを統一した基準で集計するため、臨床進行度という分類が用いられている。
2016年診断例で見た進行度別の生存率国立がん研究センターの「がんの統計2026」では、2016年診断例の5年純生存率について、次の傾向が示されている。
1.限局の場合
胃、大腸、直腸、女性乳房、子宮頸部、子宮体部、前立腺では、5年純生存率が90%以上に分布していた。
一方、肺は約77%、肝・肝内胆管は約51%だった。
同じ「限局」という分類でも、臓器によって生存率に差があることが分かる。
2.領域の場合
所属リンパ節への転移や隣接臓器への浸潤がある場合は、さらに生存率が低下する。
- 女性乳房・前立腺:85%以上
- 大腸・直腸・子宮頸部・子宮体部:67~73%
- 胃:約48%
- 肺:約35%
- 肝・肝内胆管:約12%
3.遠隔転移の場合
遠隔転移がある場合、女性乳房と前立腺を除く主要部位では、5年純生存率はいずれも25%未満だった。
特に肝・肝内胆管や肺などでは、限局の場合と比較して大きな差が確認されている。
2016年診断例から分かる重要な傾向90%以上
限局の場合に高い生存率を示した主要ながん種のグループ
25%未満
遠隔転移の場合、女性乳房・前立腺以外の主要部位で示された生存率の水準
ここで重要なのは、遠隔転移があれば治療の可能性がなくなるという意味ではないことだ。
遠隔転移がある場合でも、がんの種類や転移した臓器、薬物療法への反応、遺伝子変異などによって治療の選択肢は変わる。
遠隔転移と生存率を考える際の注意点国立がん研究センターが2025年11月19日に公表した2012~2015年診断例の5年純生存率報告でも、進行度による差が具体的に示されている。
この報告では、44地域、約254万7,000症例を集計した。
遠隔転移がある場合の5年純生存率は、胃6.3%、大腸16.8%、肝・肝内胆管3.1%、肺8.2%、女性乳房38.5%、子宮21.0%、前立腺52.0%だった。
ただし、これは2012~2015年診断例のデータであり、2016年診断例の全国がん登録データとは対象期間も集計条件も異なる。
数字を単純に横並びにして、特定の患者の予後を判断することはできない。
【全国がん登録と国立がん研究センター】統計の違いを比較
癌生存率を調べると、厚生労働省、国立がん研究センター、全国がん登録、地域がん登録など複数の名称が登場する。
これらは互いに無関係な統計ではない。それぞれの役割と集計方法を理解すると、数値の違いを読み解きやすくなる。
主要な統計・関連機関の関係| 主体・資料 | 対象・役割 | 生存率の特徴 |
|---|---|---|
| 厚生労働省 | 全国がん登録の報告を公表 | 2016~2018年診断例など |
| 全国がん登録 | 全国のがん患者情報を収集・管理 | 全国規模の罹患・治療・予後情報 |
| 国立がん研究センター | 登録情報の集計・分析、統計公表 | 相対生存率・純生存率など |
| 地域がん登録 | 都道府県単位で患者情報を収集 | 2012~2015年診断例の生存率など |
| がん診療連携拠点病院等 | 各医療機関の院内がん登録 | 病院で診断・治療された患者の生存率 |
この関係を理解するうえで重要なのが、2016年に始まった全国がん登録制度だ。
全国がん登録とは?全国がん登録は、がん登録等の推進に関する法律に基づき、2016年から始まった制度である。
全国の病院と都道府県が指定した診療所から、がんの罹患情報、治療情報、予後情報などを収集する。
それ以前の地域がん登録では、都道府県ごとの情報を中心に集計していた。
全国がん登録の導入により、全国規模で統一的なデータを収集・分析できるようになった。
その結果、2016年診断例から全国がん登録に基づく生存率を集計できるようになった。
国立がん研究センターの2012~2015年データとの違い国立がん研究センターが2025年11月に公表した2012~2015年診断例の報告は、全国がん登録ではなく、地域がん登録を利用した集計だ。
特徴は次のとおり。
- 対象地域:44地域
- 対象症例:約254万7,000症例
- 対象期間:2012~2015年診断例
- 主な集計項目:部位別、臨床進行度別、年齢階級別
- 生存率の指標:5年純生存率
この報告では、従来の5年相対生存率から5年純生存率へ推定方法を変更している。
そのため、以前の地域がん登録データや全国がん登録の数値と比較するときには、集計対象と計算方法の確認が欠かせない。
2016年診断例と2018年診断例、2012~2015年診断例の位置付け整理すると、次のようになる。
| 比較項目 | 2016年全国がん登録 | 2018年全国がん登録 | 2012~2015年地域がん登録 |
|---|---|---|---|
| データの性質 | 全国登録 | 全国登録 | 地域登録 |
| 主な公表時期 | 2026年1月 | 2026年2月 | 2025年11月 |
| 主な指標 | 5年純生存率 | 5年生存率 | 5年純生存率 |
| 集計上の特徴 | 全国規模の初期データ | より新しい診断年 | 進行度別の詳細分析 |
| 主な用途 | 全国的な生存状況の把握 | 診断年による比較 | 部位・進行度・年齢による分析 |
特に注意したいのは、同じ「5年生存率」という名称でも、統計の算出方法が異なる場合があることだ。
比較する際には、診断年だけでなく、実測生存率なのか、相対生存率なのか、純生存率なのかを確認したい。
【生存率の計算方法】5年相対生存率と5年純生存率の違い
がんの統計を正しく理解するためには、5年生存率の計算方法を知っておく必要がある。
特に混同されやすいのが、5年実測生存率、5年相対生存率、5年純生存率の3種類だ。
5年生存率とは?5年生存率とは、がんと診断されてから5年後に生存している人の割合を示す指標である。
例えば、ある集団の100人について、診断から5年後に80人が生存していた場合、単純な実測生存率は80%となる。
ただし、実際の統計では、追跡できなかった患者や観察期間が異なる患者も考慮し、カプラン・マイヤー法などの統計手法が使用される。
5年実測生存率実測生存率は、がん以外の病気や事故なども含め、死因を問わずすべての死亡を計算に含める。
そのため、高齢者の割合が多い集団では、がん以外の病気による死亡も数値に影響する。
5年相対生存率5年相対生存率は、がん患者の実測生存率を、一般集団の期待生存率と比較する指標だ。
基本的な考え方は次の計算式で表せる。
\[
\text{5年相対生存率}
=
\frac{\text{5年実測生存率}}
{\text{5年期待生存率}}
\times100
\]
期待生存率は、対象者と同じような年齢、性別、生まれた年などの特性を持つ一般集団の生存率を基準にする。
この補正によって、がん以外の死亡による影響を小さくし、がんが予後に与える影響を比較しやすくする。
国立がん研究センターでは、異なる集団や診断年の治療成績を比較する指標として、5年相対生存率を長く利用してきた。
5年純生存率5年純生存率は、がん以外の死因を取り除き、「がんのみが死因となる状況」を仮定して算出する指標である。
英語ではNet Survivalと呼ばれる。
国立がん研究センターが2025年に公表した2012~2015年診断例の報告では、Pohar–Perme法による純生存率が採用された。
従来の相対生存率には、一般集団との比較によって実際より過大に推定される可能性があるため、より適切な推定を目指して計算方法を変更したと説明されている。
3種類の生存率の比較| 指標 | 計算の考え方 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 実測生存率 | 死因を問わず生存状況を集計 | 全死因の影響を受ける |
| 相対生存率 | 実測生存率を期待生存率で補正 | 一般集団との比較に利用 |
| 純生存率 | がんのみが死因となる仮想状況を推定 | がん以外の死亡リスクを考慮 |
3つの指標は、目的や計算方法が異なる。数値が違っていても、直ちに統計の誤りとはいえない。
また、純生存率や相対生存率は統計的な推定値であり、100%を超えることもある。これは個人が100%以上の確率で生存するという意味ではない。
【生存率と治癒率の違い】統計を治療選択に役立てる方法
5年生存率を調べる際に、もう一つ知っておきたいのが「5年生存率=治癒率」ではないという点だ。
5年生存率は、診断後5年の時点でどの程度の患者が生存しているかを示す集団統計である。
治癒した患者の割合をそのまま示すものではない。
5年生存率が高ければ完全に治ったという意味?必ずしもそうではない。
5年を経過しても、がんの種類や性質によっては再発や転移が起こる可能性がある。
また、治療が長期にわたるケースや、再発予防のために継続的な薬物療法を行うケースもある。
一方で、5年を経過する前に亡くなる患者がいるがん種でも、5年以上生存する患者は存在する。
つまり、5年生存率は治療成績を比較するための重要な指標だが、個々の患者の治癒を判定する基準ではない。
生存率だけで治療方法を決めてはいけない理由例えば、同じ肺がんでも、組織型や遺伝子変異によって使用できる治療薬が異なる。
同じステージでも、年齢、全身状態、併存疾患、治療歴などによって適切な治療は変わる。
実際に治療を選ぶときは、次の情報を総合的に確認したい。
1.がんの正確な種類
肺がん、乳がん、胃がんなどの臓器名だけでは不十分だ。組織型や病理診断の結果まで確認する必要がある。
2.診断時の病期
TNM分類や臨床進行度、転移の有無を確認する。同じ臓器のがんでも、進行度によって治療方針は異なる。
3.遺伝子変異・バイオマーカー
がんの種類によっては、遺伝子検査やバイオマーカー検査の結果が薬物療法の選択に関係する。
4.本人の年齢と全身状態
年齢だけではなく、体力、臓器機能、持病、日常生活の状態なども治療方針を決める材料になる。
5.治療の目的
根治を目指す治療なのか、再発を防ぐ治療なのか、病気の進行を抑えながら生活の質を維持する治療なのかを確認する。
2026年の統計を読むときの判断基準生存率の数字を参考にする際は、次の点を確認すると誤解を避けやすい。
- 診断年はいつか
- 何歳以上の患者を対象としているか
- 男女別か男女計か
- どの部位・組織型のがんか
- 進行度別の数値か、全部位をまとめた数値か
- 相対生存率・純生存率・実測生存率のどれか
- 症例数や95%信頼区間は十分か
特に、症例数が少ないがん種や細かな年齢区分では、推定値に大きな統計的ばらつきが生じる可能性がある。
厚生労働省も2016年・2018年の全国がん登録報告で、部位別、年齢階級別、都道府県別、診断年別などの少数例については、信頼区間が広くなることに注意を促している。
統計の数字は、治療を諦めるためのものではない。主治医と治療の選択肢や期待できる効果を話し合うための基礎資料として利用するのが適切だ。
【癌生存率に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:日本人全体の最新のがん5年生存率は何%ですか?
国立がん研究センターの2026年7月14日更新の最新がん統計では、2018年診断例の5年相対生存率は男女計64.8%です。男性は63.2%、女性は66.8%となっています。これは2026年に診断された患者の数値ではありません。
Q2:5年生存率が10%台の膵臓がんは治療が難しいのでしょうか?
膵臓がんは、ほかの主要ながんと比べて集団全体の5年生存率が低い傾向にあります。ただし、診断時の進行度や切除可能性、薬物療法への反応、患者の状態によって予後は異なります。集団統計だけで個人の治療可能性を判断することはできません。
Q3:がんは5年生きれば完治したと考えてよいですか?
5年生存率と完治は同じ意味ではありません。5年を経過しても再発や転移の可能性が残るがん種があります。治療終了後も、がんの種類や治療内容に応じた定期検査や経過観察が必要です。
2026年の日本のがん生存率統計では、全国がん登録に基づく2016年から2018年診断例のデータが公表され、がんの部位や進行度による違いが改めて明らかになった。
2016年診断例では、前立腺がん92.1%、女性乳がん88.0%に対し、膵臓がんは11.8%だった。2018年診断例では膵臓がん13.5%、肺がん39.6%となり、部位によって異なる変化も確認できる。
また、国立がん研究センターが示す2018年診断例の5年相対生存率は64.8%。2012~2015年診断例の5年純生存率や、2016年診断例の進行度別データとあわせて読むことで、日本のがん医療の現状をより立体的に把握できる。
ただし、5年生存率は治癒率でも、個人の余命を決める数字でもない。年齢、がんの組織型、病期、転移の有無、治療方法などによって、患者ごとの見通しは大きく変わる。
【プロの結論】
癌生存率を正しく理解するために大切なのは、単に数字の高低を見ることではなく、「誰の、どのがんを、どの診断年に、どの計算方法で集計した数字なのか」を確認することだ。
生存率は、がん対策や治療成績を評価するための重要な指標である。同時に、患者一人ひとりの可能性を数字だけで決めつけない姿勢も欠かせない。
治療を検討している場合は、全国統計を参考にしながら、自分の病理診断や病期、検査結果に基づいた見通しを主治医に確認することが、納得できる治療選択につながる。
主な参考資料:厚生労働省「2016年・2017年・2018年全国がん登録5年生存率報告」、国立がん研究センター「がんの統計2026」「最新がん統計」「2012~2015年生存率報告」。