まず注目したいのが、横浜市立大学先天異常モニタリングセンターが公表している2024年の調査結果だ。
この調査は、日本産婦人科医会の先天異常モニタリング事業に基づくもので、2024年1月1日から12月31日までに協力施設で出生した子どもを対象としている。
調査結果は次のとおりだ。
- 届出施設数:210施設
- 分娩総数:93,894件
- 出生児総数:96,956人
- 先天異常が確認された児:3,264人
- 確認された先天異常の総数:4,926件
- 先天異常児の出生頻度:3.37%
つまり、調査対象となった出生児の約30人に1人に、何らかの先天異常が確認された計算になる。
ただし、ここで重要なのは、3,264人と4,926件は同じ数字ではないという点だ。1人に複数の先天異常が確認される場合があるため、子どもの人数と異常の件数は区別する必要がある。
また、3.37%は日本全国のすべての出生児を直接調査した結果ではなく、協力医療機関における登録データから算出された数字である。したがって、そのまま日本全体の障害児出生率として扱うことはできない。
先天異常の種類別ランキングにも注目2024年の調査で多かった先天異常は、以下のとおりだ。
- 1位:心室中隔欠損 538件
- 2位:耳瘻孔 290件
- 3位:心房中隔欠損 165件
- 4位:動脈管開存 159件
- 5位:口唇・口蓋裂 147件
- 6位:ダウン症候群 122件
- 7位:尿道下裂 101件
- 8位:耳介変形 94件
- 9位:18トリソミー症候群 82件
- 10位:口唇裂 73件
このランキングからも分かるように、先天異常には心臓の構造に関係するもの、耳の形態に関係するもの、顔面の形成に関係するもの、染色体に関係するものなど、幅広い種類がある。
例えば、心室中隔欠損は心臓の左右の心室を隔てる壁に穴がある状態だが、穴の大きさや位置によって経過は異なり、自然に閉じるケースもあれば治療が必要なケースもある。
耳瘻孔のように、健康上の影響が小さいこともある形態的な特徴も含まれている。
したがって、ランキングに掲載されたすべての症例を、重い障害を持つ子どもの出生と同一視することは医学的に正しくない。
【混同に注意】先天異常と障害児は同じ意味ではない
「先天異常がある赤ちゃんが3.37%」という数字を見て、「障害のある子どもが生まれる割合も3.37%なのか」と考える人もいるかもしれない。
しかし、この2つは明確に区別しなければならない。
先天異常とは何を指すのか先天異常とは、受精から胎児の発育過程に生じた原因によって、身体の形態や機能などに通常とは異なる特徴が現れる状態を指す。
代表的なものには、次のような疾患がある。
- 口唇裂・口蓋裂
- 先天性心疾患
- 染色体異常
- 二分脊椎
- 先天性の腎臓や消化器の異常
- 遺伝性疾患
出生時に分かるものだけでなく、成長してから初めて症状や特徴が明らかになる疾患もある。
また、形態に異常があるからといって、必ずしも日常生活に大きな制限が生じるわけではない。
障害とは何が違うのか一方、障害者基本法では、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害などの心身の機能の障害に加え、社会的障壁によって継続的に日常生活や社会生活に相当な制限を受ける状態を障害者として定義している。
つまり、障害は身体の形態だけで決まるものではなく、本人の機能や生活環境、社会との関係も関わる概念だ。
両者の違いを整理すると、次のようになる。
| 比較項目 | 先天異常 | 障害 |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | 生まれる前の発育過程に由来する異常 | 心身の機能や生活上の制限に関わる状態 |
| 原因 | 遺伝、染色体、環境など | 先天的・後天的な多様な原因 |
| 出生後の経過 | 治療や成長により状態が変化する場合がある | 程度や生活への影響は個人差がある |
| 生活への影響 | 影響が小さいものから重いものまで幅広い | 支援や配慮が必要となる場合がある |
| 両者の関係 | 先天異常があっても障害につながらない場合がある | 出生時の異常だけでなく後天的な原因でも生じる |
ここで押さえておきたいのは、先天異常の発生率と障害児の出生率を同じものとして比較できないということだ。
例えば、出生時に心臓の小さな異常が見つかっても、その後の経過によっては日常生活に大きな支障が生じない場合がある。
反対に、出生時の外見や形態に異常がなくても、発達や聴覚、視覚などに関する問題が後から分かる場合もある。
3.37%という数字は、障害児の出生率を示したものではない。 これが最も重要な区別である。
【2026年最新研究】日本の先天異常モニタリングは何を明らかにしたのか
2026年9月2日、厚生労働科学研究成果データベースに「本邦の先天異常に係る発生動向調査及び影響要因検討の在り方に関する研究」が公開された。
研究代表者は、横浜市立大学大学院医学研究科の倉澤健太郎氏。
この研究は、日本の先天異常の発生動向を把握し、遺伝的要因、環境要因、社会的要因などを多角的に検討することを目的としている。
ここでは、調査を支える主要な組織と研究結果の関係を整理しておきたい。
先天異常モニタリングに関わる組織と調査の関係日本の先天異常モニタリングは、サリドマイド薬害を大きな契機として始まった。
1950年代後半から1960年代にかけて、妊娠中に使用されたサリドマイドによって、手足などに重い形態異常を持って生まれる子どもが世界各地で確認された。
この経験から、医薬品や環境要因による先天異常の発生を継続的に監視する仕組みの必要性が認識された。
日本では1972年に全国規模の調査が始まり、1989年には国際的な監視組織への加盟を実現。1991年から横浜市立大学に日本支部の機能が置かれ、国内データの集計や解析が進められてきた。
国際組織ICBDSRは、2005年に現在の名称へ変更された。WHOと関係を持つ国際的な非営利組織であり、各国の監視データの共有や研究を担っている。
2026年研究報告で注目すべき3つのポイント今回の研究報告では、特に次の点が重要だ。
1.長期的には先天異常の発生率はおおむね3〜5%で推移
1972年から2022年までのデータを検討した結果、日本の先天異常の発生率は長年おおむね3〜5%で推移していた。
2022年の調査では、103,291人の出生児のうち3,473人に先天異常が確認され、発生率は3.36%だった。
2.一部の疾患では増加傾向が示唆されている
ダウン症候群、二分脊椎、尿道下裂など、一部の疾患について増加傾向が示唆された。
ただし、すべての先天異常が一律に増えているという意味ではない。疾患ごとに原因や診断方法、発生動向を分けて検討する必要がある。
3.診断技術の進歩が統計に影響している
超音波検査の精度向上や内臓奇形の発見率の上昇、登録対象の拡大などが、発生率の見え方に影響している可能性が指摘された。
つまり、以前は見つけられなかった異常が、現在は医療技術の進歩によって把握されるようになった可能性がある。
【原因を検証】先天異常は遺伝・高齢妊娠・環境の何が関係するのか
先天異常が生じる原因は一つではない。
2026年の厚生労働科学研究でも、遺伝的背景だけでなく、妊娠中の薬剤曝露、母体感染、栄養状態、生活環境など、複数の要因が複雑に関係すると整理されている。
1.遺伝子や染色体に関係する要因人間の身体は、遺伝情報に基づいて形成される。
その遺伝情報に変化が生じたり、染色体の数や構造に違いがあったりすると、先天的な疾患につながる場合がある。
代表的なのは次のようなケースだ。
- 21トリソミー(ダウン症候群)
- 18トリソミー
- 13トリソミー
- 特定の遺伝子変異による先天性疾患
ただし、染色体や遺伝子に関係する疾患のすべてが、親から子どもへ受け継がれるわけではない。
受精卵の形成過程などで偶発的に生じる変化も多い。
こども家庭庁の出生前検査に関する情報でも、染色体の病気はどのカップルにも偶発的に起こることが多く、親の染色体に特徴があるケースばかりではないと説明されている。
2.高齢妊娠と染色体異常のリスク母体年齢は、一部の染色体異常の発生確率に関係する重要な要因だ。
卵子は加齢に伴って染色体の分配に異常が生じる確率が高くなるため、特にダウン症候群などの染色体異常の確率は母体年齢とともに上昇する。
日本産婦人科医会の解説では、ダウン症候群の出生頻度について、20歳代の母親では約1,000人に1人、40歳では約100人に1人という目安が紹介されている。
ただし、この数字はダウン症候群についての概算であり、あらゆる先天異常の確率を示すものではない。
また、40歳であっても全員に染色体異常が生じるわけではなく、年齢だけで個々の妊娠結果を予測することもできない。
2026年の研究報告でも、母体年齢の高齢化とダウン症候群の推定発生率の上昇との関係が取り上げられている。
3.妊娠中の薬剤使用妊娠中に使用する薬剤の中には、胎児の発育に影響を及ぼす可能性があるものが存在する。
特に注意が必要なのは、薬剤の種類だけでなく、使用した時期や量、妊婦の健康状態などによって影響が異なることだ。
一方で、妊娠中に薬を使うことがすべて危険というわけではない。
厚生労働省は、妊娠が分かったからといって自己判断で薬を中断しないよう呼びかけている。持病の治療を中断することで、母体や胎児にかえって悪影響が生じる可能性もあるためだ。
妊娠中や妊娠を希望する時期に服薬について不安がある場合は、処方医や薬剤師、国立成育医療研究センターの妊娠と薬情報センターに相談することができる。
4.妊娠中の感染症妊娠中の感染症も、胎児に影響する要因の一つだ。
代表例が風疹である。
妊娠初期、特に妊娠20週頃までに母体が風疹に感染すると、胎児に先天性風疹症候群が生じる可能性がある。
その症状には、先天性心疾患、難聴、白内障などが含まれる。
また、サイトメガロウイルス、トキソプラズマ、梅毒なども妊娠中に注意したい感染症として挙げられる。
ただし、感染したからといって必ず胎児に異常が生じるわけではない。感染した時期や病原体、母体の免疫状態などによってリスクは異なる。
5.栄養状態や環境要因栄養状態も胎児の発育に関係する。
特に葉酸は、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低減するうえで重要な栄養素だ。
こども家庭庁の妊娠・出産に関する情報では、妊娠初期に1日0.4mgの葉酸を摂取することが推奨されており、妊娠の1か月以上前から十分に摂取することが大切とされている。
もっとも、葉酸を摂取すればすべての先天異常を防げるわけではない。
遺伝的要因やその他の環境要因も関係するため、予防できる範囲には限界がある。
【増加傾向の真相】昔より障害のある子どもが多く見える理由
「昔より障害のある子どもが増えた」という認識には、いくつかの背景が考えられる。
しかし、実際の発生数の変化と、発見される数や社会で認識される機会の変化は分けて考えなければならない。
理由1:医療技術の進歩で見つかる異常が増えた以前は出生直後に確認できなかった心臓や内臓の異常も、現在は超音波検査などによって発見される機会が増えている。
2026年の研究報告が指摘しているのも、この診断技術の進歩による影響だ。
つまり、登録件数が増えた場合でも、それがそのまま実際の発生率の上昇を意味するとは限らない。
理由2:出生前診断によって出生統計が変化する出生前診断の普及も、統計の見方に影響を与える。
胎児の染色体異常や形態異常が妊娠中に発見されると、出産前から医療機関で管理されることになる。
また、診断結果を受けた後の妊娠・出産に関する選択によって、出生後の登録統計に含まれる症例数も変わる。
2026年の研究報告では、ダウン症候群について、母体年齢から推定した発生率と実際の出生数に差があることを指摘している。
その背景には、出生前診断後の人工妊娠中絶や出生後の早期診断漏れ、推定式の妥当性など、複数の可能性があると分析されている。
したがって、出生児だけを対象にした統計から、妊娠全体における染色体異常の発生状況を完全に把握することはできない。
理由3:日本の調査は全国の出生児を100%把握しているわけではないここも要点だ。
2026年の研究報告によれば、日本の先天異常モニタリングは病院ベースの登録制度であり、国内出生児のおよそ10%を対象としている。
2024年の調査でも、届出施設は210施設だった。
この仕組みには長年の蓄積がある一方、全国のすべての出生を網羅する全数調査ではないという特徴がある。
また、調査対象には妊娠22週以降に出生した児や、生後7日以内に診断された新生児などの条件がある。
そのため、出生後かなり時間が経過してから診断される疾患や、調査対象に含まれない症例は、同じ統計では把握しにくい。
理由4:SNSやインターネットで情報に触れる機会が増えたもう一つ考えられるのが、情報に接する機会の変化だ。
以前は、障害や先天性疾患のある子どもの生活を知る機会が、身近な人間関係やテレビ、新聞などに限られることも多かった。
現在はSNSや動画投稿サイトなどを通じ、医療や育児、日常生活に関する情報が広く共有されている。
その結果、これまで知らなかった疾患や家庭の状況を目にする機会が増え、「身近に増えている」と感じることもあり得る。
ただし、SNS上で目にする症例数は、日本全体の出生率を示す統計ではない。
2023年と2024年の数字を比較するとどうなる?実際の数字を並べてみると、単純な増加傾向とは言い切れない。
- 2023年:96,377人中3,318人、3.44%
- 2024年:96,956人中3,264人、3.37%
2024年は2023年に比べて、出生頻度が0.07ポイント低下している。
ただし、調査施設数も2023年の204施設から2024年の210施設へ変化しているため、2年分の数字だけで長期的な増減を判断することはできない。
現時点で言えるのは、一部の先天異常について増加傾向が示唆される一方、先天異常全体が急増していると断定できるデータは示されていないということだ。
【出生前診断の実態】先天異常は妊娠中にどこまで分かるのか
先天異常に関する不安を抱く人にとって、出生前診断は大きな関心事だろう。
現在の日本では、NIPT、胎児超音波検査、羊水検査、絨毛検査など、目的や検査方法の異なる検査が行われている。
ただし、どの検査でもすべての先天異常を発見できるわけではない。
NIPTで分かること・分からないことNIPTは、妊婦の血液に含まれる胎児由来のDNA断片を調べ、特定の染色体疾患の可能性を評価する検査だ。
認証制度の対象となるNIPTでは、主に次の3つの染色体疾患が検査対象となる。
- 21トリソミー(ダウン症候群)
- 18トリソミー
- 13トリソミー
注意したいのは、NIPTは確定診断ではないという点だ。
陽性という結果が出ても、必ずしも胎児に該当する染色体疾患があるとは限らない。必要に応じて、羊水検査や絨毛検査などの確定的検査を検討することになる。
超音波検査で分かること胎児超音波検査では、赤ちゃんの脳や心臓などの臓器、顔、手足などの形態を確認する。
これにより、先天性心疾患や口唇口蓋裂など、身体の構造に関係する異常が見つかる場合がある。
一方、超音波検査ですべての疾患を発見できるわけではない。
染色体異常についても、超音波検査だけでは確実な診断ができないものが多い。
出生前診断を受けるかどうかは個人の判断こども家庭庁の出生前検査に関する情報サイトでは、検査の目的や分かること、分からないこと、検査前後の支援について説明している。
検査を受けるかどうかについて、一律の正解はない。
大切なのは、検査によって何が分かるのか、どのような限界があるのか、結果を受けてどのような選択肢があるのかを理解することだ。
不安が強い場合には、産婦人科医や臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラーなどの専門家に相談できる。
出生前検査は、病気の有無を知るためだけでなく、出産後に必要となる医療や支援を準備するためにも活用されている。
【プロの結論】数字を正しく読むことが不安を減らす第一歩
今回の統計と研究報告から、読者が押さえておくべき判断基準は5つある。
第一に、3.37%は障害児の出生率ではない。
2024年の先天異常モニタリングで確認された出生頻度であり、先天異常の種類や重症度、生活への影響は一様ではない。
第二に、先天異常の原因を親の年齢や生活習慣だけに求めることはできない。
遺伝的要因、偶発的な染色体変化、感染症、薬剤、栄養状態など、複数の要因が関係している。原因が特定できないケースもある。
第三に、発見される症例数と実際の発生率は異なる。
検査技術や登録体制が変われば、統計上の数字も変化する。長期的な比較では、調査対象や診断基準が同じかどうかを確認する必要がある。
第四に、高齢妊娠では一部の染色体異常のリスクが上昇するが、年齢だけで出産結果が決まるわけではない。
個人のリスクを判断するには、年齢だけでなく妊娠経過や家族歴、必要な検査などを総合的に考える必要がある。
第五に、先天異常の監視体制を維持することが重要だ。
2026年の厚生労働科学研究では、日本のモニタリング体制が産科医不足や財政的問題によって継続の危機に直面していることも指摘された。
今後は、調査の精度を高めるだけでなく、国や自治体による支援、国際的なデータ共有、医療機関同士の連携が求められる。
先天異常の統計は、誰かを不安にさせたり、特定の家庭を責めたりするためのものではない。将来の医療や予防、母子保健の改善につなげるための公衆衛生上の基礎資料である。
【障害児ばかり生まれる】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:日本では障害のある子どもが生まれる確率は3.37%なのですか?
A1:いいえ。3.37%は2024年の先天異常モニタリングで確認された出生頻度であり、障害児の出生率ではない。先天異常には、治療可能なものや日常生活への影響が小さいものも含まれる。
Q2:2026年現在、日本で先天異常は増えているのですか?
A2:一部の疾患では増加傾向が示唆されているが、先天異常全体が急増しているとは断定できない。2023年の3.44%に対し、2024年は3.37%だった。診断技術や登録対象の変化も考慮する必要がある。
Q3:高齢出産になると障害のある子どもが生まれやすくなりますか?
A3:母体年齢が上がると、ダウン症候群など一部の染色体異常の確率は上昇する。ただし、すべての先天異常が年齢によって増えるわけではなく、年齢だけで個々の妊娠結果を予測することもできない。
Q4:親に遺伝的な問題がなくても先天異常は起こりますか?
A4:起こる。受精卵の形成過程などで偶発的に染色体や遺伝子の変化が生じることがある。先天異常が見つかったからといって、必ずしも両親から遺伝したとは限らない。
Q5:妊娠中の薬や感染症が原因になることはありますか?
A5:一部の薬剤や感染症は胎児の発育に影響する可能性がある。ただし、薬剤によってリスクは異なり、必要な治療を自己判断で中止することも危険だ。服薬や感染症については医師に相談することが大切だ。
Q6:出生前診断を受ければ先天異常をすべて発見できますか?
A6:発見できる範囲には限界がある。NIPTは主に特定の染色体疾患の可能性を調べる検査であり、超音波検査もすべての形態異常を発見できるわけではない。検査の種類ごとの特徴を理解する必要がある。
「障害児ばかり生まれる」という認識について、2024年の先天異常モニタリングと2026年公表の厚生労働科学研究を検証すると、見えてくるのは単純な増加という話ではない。
2024年の調査では、96,956人の出生児のうち3,264人に先天異常が確認され、出生頻度は3.37%だった。
この数字は、従来から知られている先天異常の発生頻度である約3〜5%の範囲に収まっている。
2026年の研究報告では、一部の疾患に増加傾向が示唆された一方、超音波診断技術の進歩や登録対象の拡大など、統計上の変化に関係する要素も指摘された。
加えて、先天異常と障害は同じ概念ではなく、3.37%をそのまま障害児の出生率と解釈することもできない。
今後の課題は、先天異常の発生状況を継続的に把握し、遺伝・環境・医療技術などの影響を丁寧に分析することだ。
不安をあおる印象や断片的な数字ではなく、調査対象、診断基準、長期的な推移を確認すること。それが、2026年の日本における先天異常の実態を理解するための最も確かな判断基準となる。