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もぐらのアバンチュールとは?1958年7月14日の初回放送と制作背景を徹底解説

星野 匠 星野 匠 • 更新: • 公開: • 読了約 15 分
目次

『もぐらのアバンチュール』は、1958年(昭和33年)に日本テレビがカラーテレビの実験放送用に制作した短編カラーアニメーションです。初回放送日は同年7月14日とされ、日本の国産テレビアニメ史、とりわけ初期のカラーアニメーションを語るうえで重要な作品として位置づけられています。

主人公は、夢の中で宇宙旅行に出かけるモグラのクロちゃん。約9分の作品ながら、16mmフィルムによるカラー映像、切り紙を使ったアニメーション表現、当時のテレビ技術の試みが凝縮されています。加えて、2013年には日本テレビの社内倉庫に保管されていたフィルムが改めて注目され、作品の歴史的価値が広く紹介されました。

【作品の正体】もぐらのアバンチュールとは?1958年に誕生したカラーアニメ

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『もぐらのアバンチュール』は、日本テレビ放送網(NTV)がカラー実験放送に向けて制作したテレビ用アニメーションです。

作品が生まれた1958年は、テレビ放送そのものが発展途上にあり、カラー放送も一般家庭に普及する前の段階でした。日本テレビは1957年12月28日にカラーテレビ実験局を開局しており、新しい映像技術を放送に活用するための試みを続けていました。

その実験放送用の映像作品として制作されたのが、本作です。

作品の基本プロフィール

日本アニメーション映画史の作品目録を基にすると、作品の基本情報は次のように整理できます。

  • 作品名:もぐらのアバンチュール
  • 制作年:1958年(昭和33年)
  • 完成時期:1958年6月
  • 初回放送日:1958年7月14日とされる
  • 製作:日本テレビ放送網(NTV)
  • 演出:鷲角博(映像クレジット表記は「わしずみ・ひろし」)
  • 映像方式:アンスコ・カラー
  • フィルム:16mm
  • 上映時間:約9分(現存映像の本編は8分53秒)
  • ジャンル:短編カラーアニメーション

特筆すべきなのは、単にカラーで制作されたという点だけではありません。家庭用カラー受像機が一般的ではなかった時代に、テレビでカラー映像を届けることを前提として制作された点に、本作の特徴があります。

【初回放送日の真相】1958年7月14日と10月15日の記録を検証

『もぐらのアバンチュール』を調べる際、特に注目したいのが初回放送日です。一般的には1958年7月14日が初回放送日として紹介されています。

ただし、当時の新聞テレビ欄には作品名の表記に違いがあり、放送記録を詳しく追うと興味深い経緯が見えてきます。

1958年7月14日のテレビ欄に残された記録

アニメ研究家の原口正宏氏が2013年にWEBアニメスタイルで公開した調査記事によると、毎日新聞の縮刷版を調べた結果、1958年7月14日(月)の午後2時30分から3時までのテレビ欄に「もぐら」他(カラー)という記載が見つかりました。

また、東京新聞の同日の番組欄にも、短編映画「もぐら」という表記があったとされています。

これらの記録から、7月14日に本作がカラー番組として放送された可能性は高く、現在知られる初回放送日の根拠になっています。

一方、毎日新聞の記載は正式な作品名ではなく「もぐら」という略称です。そのため、新聞欄の記載だけで作品を完全に特定できるかという点には、史料上の慎重さも必要です。

1958年10月15日にも作品名が登場

もう一つ重要なのが、1958年10月15日(水)の毎日新聞テレビ欄です。

この日の午後4時40分から5時50分までの放送枠には、「短編1 モグラのアバンチュール②江の島水族館」という記載が確認されています。

こちらは7月14日の記載と異なり、作品名がほぼ完全な形で掲載されています。

つまり、7月14日は先行する放送記録として有力であり、10月15日は正式な作品名を確認できる後続の放送記録として重要です。

この二つの日付を区別すると、作品の放送史をより正確に理解できます。

【制作背景】日本テレビのカラーテレビ実験放送と昭和33年の映像技術

『もぐらのアバンチュール』の歴史的価値を理解するには、1950年代後半の日本のテレビ事情を知る必要があります。

当時の日本では、白黒テレビが放送の中心でした。カラーテレビは研究開発や実験放送が進められていた段階であり、番組制作側も新しい映像方式に対応するための試行錯誤を続けていました。

日本テレビは1957年からカラー実験放送を開始

日本のカラー放送の発展における重要な節目が、1957年12月28日です。この日、日本テレビとNHKはVHF帯を利用したカラーテレビ実験放送を開始しました。

日本テレビにとって、カラー映像を安定して制作・放送することは、放送技術の将来を左右する重要な課題でした。

そのため、実写映像だけでなく、アニメーションのように色彩を自由に設計できる映像作品も、カラー放送の可能性を試す素材として意味を持っていました。

カラー放送が一般化する前に制作された作品

1958年当時、カラー受像機は一般家庭に広く普及していませんでした。

つまり、カラーアニメを制作しても、すべての視聴者が自宅のテレビで本来の色彩を楽しめる環境ではなかったのです。

それでも日本テレビがカラーアニメーションを試作したことは、将来的なカラー放送を見据えた技術的な挑戦でした。

加えて、日本のカラーテレビ標準方式がNTSC方式として制定されたのは1960年6月18日です。同年9月10日にはカラー本放送が始まりました。

本作は、こうした制度や技術が確立する前の過渡期に制作された作品です。完成したカラー放送の成果というより、カラー時代を切り開くための実験的な制作物として理解するのが適切です。

【作品概要と関係者】クロちゃんの冒険・スタッフ・映像表現を整理

本作の魅力は、当時として珍しいカラー映像だけではありません。短い作品の中に、宇宙旅行という冒険的な題材と、切り紙を使った独特のアニメーション表現が盛り込まれています。

主人公クロちゃんが夢の中で宇宙旅行へ

物語の主人公は、モグラのくろちゃんです。

クロちゃんは夢の中で宇宙旅行に出かけ、火星に到着します。そこで火星のモグラとけんかになり、予想外の出来事に遭遇します。

最後は夢から目を覚まし、やはり土の中が一番いいと思うという展開です。

短編ながら、日常的な地下生活から宇宙という未知の世界へ飛び出し、再び元の場所に戻るという分かりやすい構成になっています。

主要スタッフ・作品情報の関係表
項目・人物 役割・内容 作品との関係
日本テレビ放送網 製作 カラー実験放送用作品として制作
鷲角博 演出・作者 作品の企画・映像制作を担当
山本直純 音楽 作品の音楽を担当
中島そのみ 声・歌 セリフと歌を担当
クロちゃん 主人公 夢の中で宇宙旅行をするモグラ
火星のモグラ 登場キャラクター 宇宙旅行中のクロちゃんと対立する

スタッフ情報の中でも注目したいのが、音楽を担当した山本直純と、声および歌を担当した中島そのみです。

作品の映像だけでなく、音楽や歌も含めて短編アニメーションとして構成されていたことが分かります。

切り紙アニメーションとアンスコ・カラー

映像表現には、切り紙を使ったコマ撮りアニメーションが採用されています。

キャラクターの形を切り抜いたパーツを動かしながら撮影する手法で、現在の一般的なセルアニメーションとは異なる、独特の動きや造形を生み出しています。

また、映像にはアメリカのアンスコ・カラー方式が使用されました。16mmフィルムに記録された色彩は、当時のカラー放送実験に向けた技術的な試みを示しています。

作品目録では上映時間を9分、フィルムの長さを102メートルと記録しています。一方、現存映像の本編は8分53秒です。資料上の約9分という表記と矛盾するものではありません。

【2013年の再注目】フィルムの保管と日本初期カラーアニメの歴史的価値

『もぐらのアバンチュール』が広く知られるようになった大きなきっかけは、2013年の報道です。

日本テレビの生田スタジオの倉庫にフィルムが保管されていたことが改めて注目され、作品の映像を確認できる機会が生まれました。

日本テレビが2013年6月24日に公表した定例記者会見の要旨にも、1958年に制作されたテレビ用アニメのフィルムが同社の生田スタジオの倉庫で見つかり、BSアニマックスで全編を放送する予定であることが記されています。

なぜ2013年に大きな話題になったのか

それまで、本作はカラー実験放送用の試作品という情報が知られていた一方、実際にテレビ放送された作品なのかという点が十分に整理されていませんでした。

2013年にはアニメ研究家の原口正宏氏らによる調査が進み、新聞のテレビ欄から放送記録が確認されました。

加えて、現存するフィルムの映像を確認したことで、作品の内容やスタッフクレジットも具体的に把握できるようになりました。

これは単なる古いアニメの再発見ではありません。テレビアニメの歴史を、作品の制作年だけでなく、実際に放送された記録から見直す契機にもなりました。

『白蛇伝』や『鉄腕アトム』との歴史的な違い

1958年10月22日には、東映動画によるカラー長編アニメーション映画『白蛇伝』が公開されました。

一方、テレビアニメの歴史では、1963年に放送を開始した『鉄腕アトム』が大きな転換点として知られています。

しかし、『もぐらのアバンチュール』は、それらとは異なる位置づけにあります。

  • もぐらのアバンチュール:1958年制作のカラー実験放送用短編テレビアニメ。
  • 白蛇伝:1958年公開の日本初の本格的なカラー長編アニメーション映画。
  • 鉄腕アトム:1963年に放送開始した、テレビアニメの産業的発展を象徴する作品。

このように、それぞれは制作目的も上映・放送形態も異なります。『もぐらのアバンチュール』は、テレビ向けカラーアニメーションという領域で先行した点に価値があります。

【プロの結論】もぐらのアバンチュールが日本アニメ史に残したもの

『もぐらのアバンチュール』の価値は、日本初の国産カラーテレビアニメという肩書だけでは説明できません。

重要なのは、カラー放送がまだ実験段階だった1958年に、テレビという新しいメディアに適したアニメーション表現が試みられ、実際の放送記録も残されたことです。

評価すべき3つのポイント

1. テレビ放送を前提に制作されたこと

劇場公開用のアニメーションとは異なり、本作は日本テレビのカラー実験放送に向けて制作されました。テレビという媒体のために、アニメーションをカラーで制作するという試み自体が歴史的な意味を持っています。

2. 制作技法の多様性を示していること

切り紙によるコマ撮り、アンスコ・カラーによる色彩表現など、本作には当時の制作現場が選択した技術が記録されています。現在のデジタルアニメーションとは異なる制作思想を知る資料にもなります。

3. 放送史と作品史を結びつける資料であること

7月14日と10月15日の新聞テレビ欄、2013年の映像確認、日本アニメーション映画史の作品目録など、複数の資料を照合することで作品の位置づけが明らかになってきました。

特に、制作された作品と実際に放送された作品を区別することは、初期テレビアニメの歴史を正確に理解するうえで欠かせません。

2026年現在、本作を調べる読者にとっては、単純に「何年の作品か」を覚えるだけでなく、カラー放送の技術史とアニメーションの制作史を一緒に見ることが重要です。

【よくある質問】もぐらのアバンチュールに関するFAQ

Q1:もぐらのアバンチュールの初回放送日はいつですか?
A1:1958年7月14日とされています。当日の新聞テレビ欄には「もぐら」などの短縮表記があり、カラー番組として放送された記録が残っています。10月15日にも正式な作品名に近い表記が確認されています。

Q2:もぐらのアバンチュールは日本初のカラーアニメですか?
A2:日本初の国産カラーテレビアニメとして知られています。劇場用カラーアニメーションとは区別され、テレビのカラー実験放送向けに制作された作品である点が特徴です。

Q3:もぐらのアバンチュールの制作会社とスタッフは誰ですか?
A3:製作は日本テレビ放送網(NTV)、演出は鷲角博です。音楽は山本直純、声と歌は中島そのみが担当しました。

Q4:作品の上映時間は何分ですか?
A4:作品目録では9分と記録されています。現存映像の本編時間は8分53秒です。

Q5:もぐらのアバンチュールはどんなストーリーですか?
A5:主人公のモグラ、クロちゃんが夢の中で宇宙旅行をし、火星のモグラとけんかする物語です。最後は夢から目覚め、土の中が一番いいと思うという展開になっています。

『もぐらのアバンチュール』は、1958年(昭和33年)に日本テレビがカラー実験放送用に制作した短編アニメーションです。1958年7月14日が初回放送日として知られ、同年10月15日にも新聞テレビ欄に作品名が記録されています。

鷲角博の演出、山本直純の音楽、中島そのみの声と歌、そして切り紙によるアニメーション表現。約9分の短い作品には、当時のテレビ技術と映像制作の挑戦が凝縮されています。

1957年のカラー実験放送開始から1960年のカラー本放送開始へと続く流れの中で、本作はその過渡期を象徴する存在です。

また、2013年にフィルムが改めて注目されたことによって、作品の歴史的価値や実際の放送記録も広く知られるようになりました。

『もぐらのアバンチュール』を理解することは、日本のアニメーションが劇場からテレビへ、白黒からカラーへと表現領域を広げていった歴史を知ることにつながります。昭和33年の小さな短編作品は、現在の日本アニメ文化の成り立ちを考えるうえでも、見逃せない記録です。

(出典: もぐら の m(Yahoo!ニュース))

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