栗東トレーニングセンター(栗東トレセン)は、滋賀県栗東市御園に位置する日本中央競馬会(JRA)の競走馬調教施設です。1969年11月の開場以来、中央競馬の西日本地区を支える主要な調教拠点として、多くの競走馬や競馬関係者を受け入れてきました。2026年現在も、2,000頭を超える競走馬が生活できる厩舎群をはじめ、複数の調教コース、坂路、競走馬診療所などを備えています。
一方、栗東トレセンは一般の競馬ファンが自由に入場できる競馬場ではありません。所在地やアクセスだけでなく、調教師と厩舎の関係、施設の具体的な役割、美浦トレーニングセンターとの違い、一般見学の条件まで理解すると、その存在意義が見えてきます。JRAの公式施設情報と2026年のイベント案内をもとに、基本情報から現在の状況まで整理します。
【基本情報】栗東トレーニングセンターの所在地・施設概要とJRAとの関係

栗東トレーニングセンターの正式な所在地は、〒520-3085 滋賀県栗東市御園1028です。日本中央競馬会(JRA)が管理する中央競馬の関連施設であり、西日本地区における競走馬の調教拠点として機能しています。
一般的に「トレセン」と呼ばれるトレーニングセンターは、競走馬がレースに向けたトレーニングを積み、日常的な健康管理や飼養管理を受ける場所です。競馬場がレースを開催する場所であるのに対し、トレセンは競走馬のコンディションを整え、競走能力を引き出すための施設という違いがあります。
栗東トレセンには、馬が運動するための調教コースだけでなく、生活の拠点となる厩舎、診療所、騎手や関係者のための施設も整備されています。単独の運動施設ではなく、競走馬の管理と競馬関係者の仕事が集約された大規模な拠点です。
栗東トレセンの基本データJRAの施設案内および施設ガイドに掲載されている主な情報は次のとおりです。
- 施設名:栗東トレーニング・センター
- 所在地:滋賀県栗東市御園1028
- 管理主体:日本中央競馬会(JRA)
- 開場:1969年11月
- 総面積:約1,522,000平方メートル
- 競走馬収容可能頭数:2,312頭
- 厩舎数:125棟
- 居住者:約500世帯、約2,000人
- 調教設備:6つのトラック型コース、坂路調教馬場、スイミングプールなど
特に注目したいのが、約152万平方メートルという広大な敷地です。JRAは甲子園球場約40個分に相当する規模として紹介しています。施設内には馬場地区、厩舎地区、その他の管理・関連施設が配置され、競走馬の生活と調教を一体的に支えています。
なお、2,312頭という数字は収容可能頭数であり、2026年11月5日時点の実際の在厩頭数を示すものではありません。施設の規模を把握するための基本データとして区別しておく必要があります。
【施設の役割】競走馬の調教・厩舎・調教師はどのように機能する?
競走馬の能力を引き出すためのトレーニング栗東トレセンの中心的な役割は、競走馬をレースに出走できる状態へ整えることです。
競走馬はレース当日だけ走ればよいわけではありません。日々の運動によって体力を維持し、筋力や持久力を養いながら、疲労や故障の兆候にも注意する必要があります。そのため、馬の年齢や体調、競走予定、過去の調教内容などに応じてトレーニングが組み立てられます。
栗東トレセンでは、周回型のコースや坂路、ウッドチップなど異なる素材の走路を使い分けます。単純に速く走らせるだけではなく、馬の状態に合わせて負荷を調整することが調教の基本です。
調教師と厩舎の関係栗東トレセンの厩舎は、競走馬を預かる調教師を中心に運営されています。
JRAの公式案内によると、調教師は馬主から競走馬を預かり、調教メニューや出走するレースを決定します。調教助手や厩務員と協力しながら、馬の状態を管理し、競走に向けた準備を進める立場です。
つまり、栗東トレセンという施設をJRAが管理する一方、個々の競走馬の日常的な調教や管理は、それぞれの厩舎を中心とした体制で行われています。JRAと調教師は同じ役割を担っているわけではありません。
競馬を支える専門スタッフ競走馬の調教は、騎手や調教師だけで完結しません。栗東トレセンでは、多様な専門職が連携しています。
- 調教師:約100名:競走馬を預かり、調教方針や出走計画を決める。
- 調教助手:約950名:調教師の指示を受け、実際の騎乗調教などを担当する。
- 厩務員:約250名:飼養管理、手入れ、運動、馬房の清掃などを行う。
- 騎手:約70名:レースへの騎乗に加え、日々の調教にも参加する。
- 獣医師:約45名:健康管理、傷病の診断・治療、感染症予防などを担当する。
- 装蹄師:約70名:蹄鉄の装着や馬の脚の状態に関する専門的な管理を行う。
これらはJRA公式案内に掲載されているおおよその人数です。施設内には報道関係者や警備スタッフなども勤務しています。
特に見落とされがちなのが、獣医師や装蹄師の存在です。競走馬は脚への負担が大きい運動を繰り返すため、日常的な健康チェックや蹄の管理が欠かせません。調教施設としての価値は、走路の充実度だけでなく、こうした医療・専門技術の支援体制にもあります。
季節によって異なる調教時間栗東トレセンでは、競走馬の体調や気温に配慮し、季節によって調教時間を変更しています。
- 夏:午前5時~9時
- 春・秋:午前6時~10時
- 冬:午前7時~11時
競走馬は暑さに弱い傾向があるため、夏場は比較的涼しい早朝に調教を行います。季節に合わせた時間管理も、競走馬の健康とパフォーマンスを維持するための運営上の工夫です。
【施設ガイド】栗東トレセンの調教コース・坂路・診療所の全貌
6つのトラック型調教コース栗東トレセンには、路面の素材や距離が異なる6つのトラック型調教コースが設置されています。
- Aコース:1,450メートルの芝コース。障害専用。
- Bコース:1,600メートルのダートコース。
- C・Wコース:1,800メートルのウッドチップコース。
- D・芝コース:1,950メートルの芝コース。
- D・Pコース:2,038メートルのニューポリトラックコース。
- Eコース:2,200メートルのダートコース。
それぞれのコースは、馬の状態やトレーニング目的に合わせて使い分けられます。芝やダートだけでなく、ウッドチップやニューポリトラックといった異なる路面を用意することで、多様な調教に対応できる構造です。
全長1,085メートルの坂路調教馬場栗東トレセンを代表する設備の一つが、全長1,085メートルの坂路調教馬場です。
坂路は、傾斜のある走路を利用して競走馬の筋力や心肺機能などを鍛える施設です。平坦な周回コースとは異なる負荷を与えられるため、競走馬の状態に応じたトレーニングに活用されます。
この坂路は1985年11月に全長394メートルで完成しました。その後、複数回の延長工事を経て、1992年11月には現在の1,085メートルとなっています。
スイミングプールと競走馬診療所陸上での調教だけでなく、水中運動に対応した競走馬スイミングプールも設置されています。水中での運動は、通常の走路とは異なる運動環境を提供する設備です。
また、競走馬診療所は、健康管理や傷病の診断・治療、感染症予防などを担当する重要な施設です。JRAの施設案内では、40名を超えるスタッフによって競走馬の医療を支えていると紹介されています。
こうした設備が一つの施設内にそろっていることで、競走馬は調教だけでなく、日常の健康管理や必要な診療も受けられます。競走馬を継続的に管理するための総合的な環境が、栗東トレセンの特徴です。
【歴史と比較】栗東トレーニングセンターと美浦トレセンは何が違う?
1969年の開場には競馬界の構造的な背景があった栗東トレセンの誕生には、当時の競馬界が抱えていた施設上の問題が関係しています。
かつて競馬場は、レースを開催する場所であると同時に、競走馬が生活し、調教する場所でもありました。しかし、昭和30年代に入ると高度経済成長に伴う都市化が進み、競馬場周辺で競走馬を管理することが難しくなっていきます。
加えて、競馬人気の高まりによって競走馬の数が増え、従来の競馬場内の厩舎だけでは十分なスペースを確保できなくなりました。
こうした事情から、レース開催とファンサービスを担う競馬場と、競走馬の飼養管理・調教に専念するトレーニングセンターを分離する構想が進められました。
JRAの公式沿革によると、栗東では1965年12月に用地売買契約が締結され、1966年6月に施設名称が決定。1967年11月に造成工事が始まり、1969年11月に正式に開場しました。
その後、1978年4月には関東地区の調教拠点として美浦トレーニングセンターが開場します。これにより、中央競馬の調教拠点は東西2か所を中心とする体制になりました。
栗東と美浦の関係・施設比較栗東トレセンと美浦トレセンは、どちらが上という関係ではありません。JRAの中央競馬を支える東西の調教拠点であり、所在地や施設構成、担当する地域が異なります。
| 主体・施設 | 栗東との関係 | 主な役割・特徴 |
|---|---|---|
| 日本中央競馬会(JRA) | 施設の管理主体 | 中央競馬の運営と関連施設の管理を担う。 |
| 栗東トレーニングセンター | 西日本地区の拠点 | 滋賀県栗東市。1969年11月開場。総面積約152万平方メートル。 |
| 美浦トレーニングセンター | 東日本地区の拠点 | 茨城県美浦村。1978年4月開場。総面積約224万平方メートル。 |
| 調教師 | 栗東の各厩舎を運営 | 馬主から競走馬を預かり、調教方針や出走レースを決定する。 |
| 調教助手・厩務員 | 各厩舎で調教師を補佐 | 騎乗調教、飼養管理、手入れなどを担当する。 |
| 競走馬診療所 | 施設内の医療支援部門 | 健康管理、診断、治療、感染症予防などを担当する。 |
施設規模を比較すると、美浦は約224万平方メートル、栗東は約152万平方メートルです。一方、JRAの施設資料に掲載された収容可能頭数は、栗東が2,312頭、美浦が2,196頭となっています。
なお、美浦の収容可能頭数や施設面積は、JRAの施設ガイドに掲載された2023年10月現在の数値です。資料の基準時点が異なるため、2026年の同一時点における厳密な比較値ではありません。
坂路についても違いがあります。栗東は全長1,085メートル、美浦は全長1,200メートルです。美浦では森林馬道やウォータートレッドミルも施設の特徴として紹介されています。
こうした違いは、単純な優劣を示すものではありません。どちらも競走馬の調教に必要な設備を備え、東西それぞれの競馬開催を支える役割を担っています。
【見学・アクセス】栗東トレセンは一般人でも入れる?訪問前の注意点
通常の一般見学は原則として受け付けていない栗東トレセンを訪れたい競馬ファンにとって、最も気になるのが施設内部を見学できるかどうかです。
結論からいえば、通常時に一般の人が自由に入場して施設内部を見学することはできません。
競走馬が日常的に生活し、調教を行う施設であるため、競馬場のように一般来場者を受け入れる場所とは運営目的が異なります。厩舎や調教コースには馬とスタッフの安全を確保するための管理体制が必要です。
2026年には限定見学イベントを開催ただし、JRAは特定の対象者を募集する施設見学イベントを実施しています。
2026年には、大学生を対象とした調教見学ツアーや、中学生向けの職場体験ツアーが告知されました。
特に2026年7月1日に発表された中学生対象の職場体験ツアーは、8月20日の開催予定で、厩舎訪問、調教コース見学、馬場作業車見学、乗馬体験などが企画されました。募集人数は最大30名で、応募締切は7月31日。現在は募集が終了しています。
また、JRAの施設見学案内では、小学生と保護者を対象とした親子体験ツアーなども紹介されています。開催時期や応募条件は企画ごとに異なり、募集がある場合はJRAの公式告知で案内されます。
したがって、見学を希望する場合は、通常の来場を前提にするのではなく、対象者・応募期間・募集人数・開催日を事前に確認することが大切です。
栗東トレセンへのアクセス方法所在地は滋賀県栗東市御園1028です。公共交通機関と自動車のどちらでもアクセスできます。
- 電車:JR琵琶湖線(東海道本線)草津駅で下車。
- タクシー:草津駅東口から約20分。
- バス:草津駅から約30分。金勝公民館方面のバスを利用し、事務所前で下車。
- 自動車:名神高速道路・栗東インターチェンジから約15分。
問い合わせ先は栗東トレーニングセンターの代表電話077-558-0101です。JRA公式のアクセス案内では、電話受付時間は月曜・火曜・年末年始を除く10時から12時、13時から16時30分とされています。
施設内部に入れない場合の楽しみ方施設内部を見学できなくても、栗東市にはトレセンの存在を感じられる場所があります。
栗東市が紹介している「横ケ峯展望所」は、栗東トレセンの全景を外側から眺められるスポットです。金勝山ハイキングコースの入り口付近にあり、普段は立ち入れない施設の広がりを遠景から楽しめます。
施設内部への立ち入りと外部からの景観観賞は別のものです。馬やスタッフの安全に配慮しながら、栗東市の地域文化として競馬を楽しむ方法の一つです。
【2026年最新】栗東トレセンの現在と知っておきたい誤解
収容可能頭数と実際の在厩頭数は違うインターネット上で栗東トレセンの規模を調べると、2,000頭や2,312頭といった数字が見つかります。
ここで注意したいのは、2,312頭は施設の収容可能頭数であることです。実際にその日に何頭の競走馬が在厩しているかを示す数字ではありません。
また、厩舎125棟という情報も、厩舎の数を示すものであり、調教師の人数と同じ意味ではありません。施設規模を正しく理解するには、馬房数、厩舎数、在厩頭数を区別する必要があります。
栗東所属馬は関西馬と呼ばれる中央競馬では、栗東トレセンに所属する競走馬を関西馬、美浦トレセンに所属する競走馬を関東馬と呼びます。
これは競走馬の調教拠点による区分です。馬の出生地や生産牧場の所在地だけで決まるものではありません。
そのため、競走馬のプロフィールや出走情報で「栗東所属」と記載されている場合は、どの地域のトレーニングセンターを拠点にしているかを表していると理解すると分かりやすくなります。
2026年に押さえておきたい情報の確認基準栗東トレセンに関する情報を調べる際は、次の3点を確認すると誤解を避けられます。
- 施設の基本情報:所在地、敷地面積、コース構成などはJRAの施設案内を基準にする。
- 見学情報:過去の開催実績ではなく、現在募集中のイベントと応募条件を確認する。
- 競走馬・調教師情報:所属や厩舎、出走予定などはJRAの競走馬・調教師関連情報で確認する。
特に見学については、過去にイベントが開催されたという情報だけで、現在も自由に入場できると判断しないことが重要です。2026年のイベントも対象者や募集期間が限定されており、通常の一般公開とは異なります。
競馬ファンが栗東トレセンについて知りたい場合、施設の規模や設備を調べたい人にはJRAの施設ガイド、見学を希望する人にはイベント案内、特定の競走馬の所属を確認したい人には競走馬情報が適しています。
【よくある質問】栗東トレーニングセンターに関するFAQ
Q1:栗東トレーニングセンターはどこにありますか? A1:滋賀県栗東市御園1028にあります。JR草津駅からタクシーで約20分、名神高速道路の栗東インターチェンジから自動車で約15分です。
Q2:栗東トレセンは一般人でも見学できますか? A2:通常の一般見学はできません。ただし、JRAが募集する親子体験ツアーや職場見学ツアーなど、対象者を限定したイベントでは内部を見学できる場合があります。
Q3:栗東トレセンには何頭の競走馬がいますか? A3:JRAの施設ガイドに掲載されている収容可能頭数は2,312頭です。これは最大収容規模を示す数字で、日々の実際の在厩頭数とは異なります。
Q4:栗東トレセンと美浦トレセンの違いは何ですか? A4:栗東は滋賀県栗東市にある西日本地区の調教拠点、美浦は茨城県美浦村にある東日本地区の調教拠点です。開場時期や施設面積、調教設備の構成などに違いがあります。
Q5:栗東トレセンにはどのような調教設備がありますか? A5:6つのトラック型調教コース、全長1,085メートルの坂路調教馬場、競走馬スイミングプール、逍遥馬道などがあります。競走馬診療所や厩舎も備えています。
栗東トレーニングセンターは、滋賀県栗東市にあるJRAの西日本地区の競走馬調教拠点です。1969年11月の開場から半世紀以上にわたり、中央競馬を支える施設として運営されています。
総面積約152万平方メートル、収容可能頭数2,312頭、厩舎125棟という規模に加え、6つのトラック型調教コース、1,085メートルの坂路、競走馬診療所やスイミングプールなどを備えている点が特徴です。
また、施設の運営にはJRAだけでなく、調教師、調教助手、厩務員、騎手、獣医師、装蹄師など多くの専門職が関わっています。競走馬の能力を引き出すためには、調教設備と日常の健康管理、厩舎の運営が一体となって機能する必要があります。
美浦トレセンとの違いを理解する際も、単純な施設規模の大小だけで判断するのではなく、東西の調教拠点としての役割や設備の特徴に注目することが大切です。
2026年現在、栗東トレセンは一般向けの常時公開施設ではありません。内部見学を希望する場合はJRAのイベント情報を確認し、募集条件に合った企画に応募する必要があります。
【プロの結論】栗東トレセンを理解するうえで最も重要なのは、ここを単なる競走馬の練習場として捉えないことです。調教、医療、飼養管理、厩舎運営が連携する競馬産業の中核施設であり、レースの結果を支える日常の仕事が集約されています。その仕組みを知ることで、競走馬の所属や調教師の役割、レースに向けた準備まで、中央競馬をより立体的に理解できるようになります。
主な参照資料・事実確認先
- JRA公式「栗東トレーニング・センター/トレセンとは」
- JRA公式「栗東トレーニング・センター施設ガイド」
- JRA公式「栗東トレーニング・センター沿革・施設見学」
- JRA公式「交通アクセス」
- JRA公式「美浦トレーニング・センター施設ガイド」
- 栗東市公式「JRA栗東トレセンと栗東市のつながり」