『そして父になる』は、子どもの出生時の取り違えによって、2組の夫婦が親子の意味を問い直す物語です。
野々宮良多の順風満帆な生活が一変野々宮良多は、一流大学を卒業し、大手建設会社に勤務するエリート会社員です。妻のみどり、息子の慶多と都心の高級マンションで暮らし、仕事も家庭も自分の理想どおりに進んでいると考えていました。
ところが、ある日、病院から思いもよらない連絡が入ります。
6年前にみどりが出産した際、赤ん坊の取り違えが起きていたというのです。
DNA鑑定によって、慶多が血のつながった実子ではないことが判明。加えて、実の息子は群馬県で電器店を営む斎木家で育った琉晴だと分かります。
2組の家族に突きつけられる選択野々宮家と斎木家は、子どもたちの将来を考えながら交流を始めます。
しかし、良多は血縁を重視し、実の子どもを引き取る方向へ考えを進めます。一方、みどりは6年間一緒に暮らした慶多への愛情を簡単には手放せません。
斎木家にも、これまで育ててきた琉晴への愛情があります。
ここで描かれるのは、単純な出生時の医療トラブルではありません。子どもにとっての親とは誰なのか、家族を成立させるものは血縁なのか、それとも日々の生活や記憶なのかという問題です。
作品の基本情報は、2013年9月28日公開、上映時間121分。配給はギャガです。
【是枝裕和監督の制作背景】福山雅治の新境地と自然な演技

本作の監督・脚本・編集を担当したのは、映画『誰も知らない』『歩いても 歩いても』『万引き家族』などで知られる是枝裕和です。
家族や親子、人間同士のつながりを繊細に描く映画監督。本作では、血縁と一緒に過ごす時間というテーマを、2組の家族の物語に落とし込んでいます。
映画.comの2013年の監督インタビューによると、是枝監督は福山雅治に、これまで演じたことのない父親役を提案しました。
福山が演じる良多は、単純に優しい父親ではありません。仕事で成果を出すことに自信を持ち、息子にも自分の価値観を求める人物です。
そのため、観客から好感を持たれるだけではない、複雑な人物像が必要でした。
福山の従来のイメージとは異なる役柄に挑戦した点も、本作のキャスティングにおける見どころです。
是枝監督自身の父親としての経験も反映是枝監督は映画.comのインタビューで、自分の子どもと一緒に過ごす時間が十分に取れなかった経験や、父親としての後ろめたさが作品の発想につながったと説明しています。
また、脚本を完成させてから撮影するだけではなく、現場で俳優の芝居や場面の構図を見ながら内容を調整していく制作方法も紹介しています。
こうした演出によって、登場人物の感情を説明的なセリフだけに頼らず、表情や行動、家族の日常を通して表現しています。
豪華キャストが生み出す対照的な父親像本作のキャスティングで特に興味深いのは、福山雅治とリリー・フランキーの組み合わせです。
良多は社会的な成功や教育を重視する父親。雄大は地域の電器店を営み、子どもたちとの日常を大切にする父親です。
どちらか一方を単純に正しい父親として描くのではなく、それぞれの家庭にある愛情や問題を並べて見せる構成になっています。
尾野真千子と真木よう子も、異なる家庭環境に生きる母親として対照的な存在感を発揮しています。
【カンヌ国際映画祭の受賞歴】『そして父になる』は世界でも評価された
『そして父になる』の代表的な実績が、第66回カンヌ国際映画祭の審査員賞受賞です。
2013年5月26日(現地時間)、フランスで開催された同映画祭の授賞式で受賞が発表されました。日本時間では5月27日の発表です。
第66回
カンヌ国際映画祭
2013年・コンペティション部門
カンヌ国際映画祭の公式受賞記録にも、是枝裕和監督の『そして父になる』がJury Prize(審査員賞)を受賞したことが記載されています。
受賞歴で押さえておきたいポイント| 年・映画祭 | 受賞・評価 |
|---|---|
| 2013年・第66回カンヌ国際映画祭 | 審査員賞 |
| 2013年・第66回カンヌ国際映画祭 | エキュメニカル賞特別表彰 |
| サン・セバスチャン国際映画祭 | 観客賞 |
| バンクーバー国際映画祭 | 観客賞 |
| サンパウロ国際映画祭 | 観客賞 |
ここは間違えやすいポイントです。
『そして父になる』が受賞したのは、カンヌ国際映画祭の最高賞であるパルムドールではなく、コンペティション部門の審査員賞です。
2013年のパルムドールは、アブデラティフ・ケシシュ監督の『アデル、ブルーは熱い色』が受賞しました。
審査員賞も国際的に権威のある映画祭での主要な賞であり、本作の評価を語るうえで欠かせない実績です。
【プロの結論】キャストを理解すると作品の本質が見えてくる『そして父になる』の魅力は、豪華な俳優陣だけではありません。
福山雅治とリリー・フランキーが演じる2人の父親、尾野真千子と真木よう子が演じる2人の母親、そして二宮慶多と黄升炫が演じる子どもたち。それぞれが異なる立場から家族の問題に向き合っています。
特に、良多と雄大を比較しながら見ると、父親としての責任と、実際に子どもと過ごしてきた時間の意味がより鮮明になります。
俳優の演技や家族ドラマをじっくり味わいたい人にはおすすめの作品です。一方、テンポの速い展開や明快な善悪の決着を求める人には、静かな演出や複雑な人間関係が少し重く感じられる可能性があります。
【よくある質問】そして父になるのキャストに関するFAQ
Q1:映画『そして父になる』の主演キャストは誰ですか?
A1:主演は福山雅治です。野々宮良多役を演じ、妻のみどり役を尾野真千子、斎木ゆかり役を真木よう子、斎木雄大役をリリー・フランキーが担当しています。
Q2:『そして父になる』の子役は誰ですか?
A2:二宮慶多と黄升炫です。二宮慶多は野々宮慶多役、黄升炫は斎木琉晴役を演じています。2人は出生時に取り違えられた子どもたちという重要な役柄です。
Q3:黄升炫は何役で出演していますか?
A3:斎木琉晴役です。リリー・フランキー演じる斎木雄大と、真木よう子演じる斎木ゆかりの息子として登場します。
Q4:中村ゆりと高橋和也は何役ですか?
A4:中村ゆりは宮崎祥子役、高橋和也は野々宮大輔役です。大輔は主人公・良多の兄にあたります。
Q5:『そして父になる』は実話ですか?
A5:実際の子どもの取り違え事件を題材として調査したうえで、是枝裕和監督が脚本を書いたオリジナル作品です。実在する特定の家族の出来事をそのまま再現した映画ではありません。
Q6:『そして父になる』はカンヌ国際映画祭で何賞を受賞しましたか?
A6:2013年の第66回カンヌ国際映画祭で、コンペティション部門の審査員賞を受賞しました。
映画『そして父になる』は、福山雅治、尾野真千子、真木よう子、リリー・フランキーという実力派俳優が2組の夫婦を演じ、二宮慶多と黄升炫が子どもたちの繊細な心情を担った作品です。
最後に、重要な情報を整理します。
- 主人公・野々宮良多役は福山雅治。
- 妻・野々宮みどり役は尾野真千子。
- 斎木ゆかり役は真木よう子。
- 斎木雄大役はリリー・フランキー。
- 野々宮慶多役は二宮慶多。
- 斎木琉晴役は黄升炫。
- 監督・脚本・編集は是枝裕和。
- 2013年公開、上映時間121分。
- 第66回カンヌ国際映画祭の審査員賞を受賞。
2026年に改めて本作を見るなら、出演者の名前や役名だけでなく、野々宮家と斎木家の関係を把握しておくと、物語への理解が深まります。
血のつながりと、共に過ごした時間。2つの家族を演じる俳優たちの表情や演技を通じて、是枝裕和監督が描いた「父になる」というテーマを改めて考えてみてください。