2026年11月5日に公開されている地震情報では、同日14時16分ごろに鹿児島県薩摩地方でM2.8、最大震度2の地震が発生しています。また、11時35分ごろには千葉県南東沖でM3.4、最大震度1の地震が観測されました。
11時35分の地震について、公開された観測情報では東京都千代田区で震度1が記録されています。埼玉県内の震度は掲載されていません。これは、その地震による埼玉県内の有感地震が確認されていないという意味であり、県内の将来的な地震リスクを否定するものではありません。
気象庁で確認できる地震情報の種類地震発生時には、速報の種類によって確認できる情報が異なります。
- 緊急地震速報: 強い揺れが予想される地域に対して、揺れが到達する前に警戒を呼びかける情報。
- 震度速報: 地震発生後、震度3以上を観測した地域を速報する情報。
- 震源・震度情報: 震源地、マグニチュード、各地域や市町村の観測震度などを伝える情報。
- 推計震度分布図: 観測データをもとに、震度計のない地域も含めた揺れの分布を推計する情報。
気象庁の公式サイトでは、防災情報から「地震情報」を選ぶと、最新の震源・マグニチュード・各地の震度を確認できます。過去30日間の発表情報も閲覧できます。
震度とマグニチュードはどう違う?この2つを混同すると、地震の危険性を正しく判断できません。
| 指標 | 意味 |
|---|---|
| マグニチュード | 地震そのものの規模・エネルギー |
| 震度 | ある場所で実際に観測された揺れの強さ |
同じマグニチュードの地震でも、震源からの距離や地盤の状態、震源の深さによって震度は変わります。
例えば、震源から離れていても軟弱地盤の地域では揺れが大きくなることがあります。埼玉県では、荒川や利根川沿いの地盤条件にも目を向ける必要があります。
【埼玉県の地震履歴】過去の大地震から分かる県内の危険性
埼玉県は海に面していないため、津波被害のイメージが比較的薄い地域です。しかし、過去の地震記録を見ると、県内でも強い揺れや地盤の液状化による深刻な被害が発生しています。
地震調査研究推進本部の「埼玉県の地震活動の特徴」には、歴史的な被害地震が整理されています。
埼玉県に被害を及ぼした主な地震1855年・安政江戸地震
マグニチュード6.9程度と推定される地震です。荒川・利根川流域を中心に被害が発生しました。
特に注目されるのが、幸手付近の地盤被害です。家屋3,243棟が全壊同様となる被害があり、その大部分は液状化によるものと考えられています。
この記録は、地震による被害が建物の耐震性だけでは決まらないことを示しています。
1923年・関東大震災
マグニチュード7.9の関東地震では、埼玉県内のほぼ全域で震度5~6程度の揺れが発生しました。
県内の死者・行方不明者は343人、住家全壊は4,759棟に上っています。
東京から離れた地域であっても、首都圏を襲う大地震によって広範囲に被害が及ぶことを示した歴史的な事例です。
1931年・西埼玉地震
埼玉県の地震災害を考えるうえで、特に重要な記録です。
- 発生年:1931年
- マグニチュード:6.9
- 揺れ:県内の広い範囲で震度5程度
- 死者:11人
県中部・北部の荒川や利根川沿いなど、地盤の軟らかい地域を中心に被害が発生しました。
この地震は関東平野北西縁断層帯で発生した可能性が指摘されています。ただし、同断層帯の固有規模の地震だったとは考えられていません。
2011年・東日本大震災
東北地方太平洋沖地震では、震源から離れた埼玉県でも被害が発生しました。
2026年3月1日現在の消防庁調べとして、地震本部が掲載している県内の被害は次のとおりです。
- 死者:1人
- 負傷者:104人
- 住家全壊:24棟
- 住家半壊:199棟
遠方の巨大地震であっても、埼玉県の住宅や交通、生活基盤に影響することが分かります。
【埼玉県の活断層リスク】深谷断層帯・綾瀬川断層・立川断層帯を比較
埼玉県の地震リスクを考えるうえで、重要な3つの活断層があります。
それが、深谷断層帯、綾瀬川断層、立川断層帯です。
いずれも地震調査研究推進本部が評価している断層帯ですが、位置や想定される地震規模、発生確率は異なります。
3つの活断層の特徴と2026年の評価地震本部の長期評価では、2026年1月1日を算定基準日とした発生確率が公表されています。
出典:地震調査研究推進本部の2026年算定基準による長期評価。確率は各断層の評価対象地震についての数値です。
1. 深谷断層帯:M7.9程度の地震を想定関連地域:本庄市・深谷市・熊谷市・東松山市など
深谷断層帯は、関東平野北西部から中央部に延びる活断層帯です。
地震本部によると、断層帯の長さは約69kmの可能性があり、将来的にM7.9程度の地震が発生する可能性があります。
地震が発生した場合、断層の南西側が北東側に対して相対的に約5m高まる段差やたわみが生じる可能性も指摘されています。
2026年の評価では、30年以内の発生確率はほぼ0~0.1%です。
ここで注意したいのは、発生確率が低いことと、発生した場合の被害が小さいことは別問題だという点です。
地震の規模が大きくなれば、建物被害だけでなく、道路や鉄道、ライフラインにも広範囲の影響が及ぶ可能性があります。
2. 綾瀬川断層:県南東部の地震リスクにも関係関連地域:鴻巣市・北本市・桶川市・伊奈町・上尾市・さいたま市・越谷市・川口市など
綾瀬川断層は、大宮台地の北東縁付近から関東平野中央部にかけて延びる断層です。
全長は約38kmの可能性があり、伊奈町付近を境に2つの区間に分けられています。
- 鴻巣-伊奈区間:M7.0程度
- 伊奈-川口区間:M7.0程度
両区間が同時に活動した場合には、M7.5程度の地震が発生する可能性があります。
加えて、深谷断層帯と綾瀬川断層の全体が同時に活動した場合には、M8.0程度となる可能性も示されています。
ただし、この同時活動ケースについては発生確率を算出できません。
県南部や県東部の住民にとって重要なのは、活断層の位置だけでなく、周辺の地盤条件や建物の耐震性も確認することです。
3. 立川断層帯:県南西部にも影響する可能性関連地域:飯能市方面・東京都青梅市・立川市・府中市など
立川断層帯は、埼玉県南西部から東京都西部に延びる約33kmの活断層帯です。
将来的にM7.4程度の地震が発生すると推定され、30年以内の発生確率は0.5~2%と評価されています。
地震発生時には、断層の北東側が相対的に2~3m程度高まる段差やたわみが生じる可能性があります。
埼玉県の被害想定調査では、立川断層帯地震による被害は県南西部にほぼ限定されるとされています。
東京方面と埼玉方面の双方で交通や物流が影響を受ける可能性も考慮したいところです。
発生確率が低ければ安全なのか?活断層の発生確率を読む際には、評価の仕組みを理解しておく必要があります。
地震本部では、一般に30年以内の発生確率が0.1%未満の活断層をZランク、0.1~3%未満をAランク、3%以上をSランクとしています。不明なものはXランクです。
ただし、Zランクだから地震が発生しないという意味ではありません。
また、Xランクは発生確率を評価できないという意味であり、危険がないという評価ではありません。
確率の大小だけで住宅の耐震対策や備蓄の優先順位を決めることは避けるべきです。
【首都直下地震の埼玉県被害想定】どの地域にどんな被害が出る?
埼玉県の地震対策で重要なのが、県が公表している「埼玉県地震被害想定調査」です。
この調査は、2012~2013年度に実施され、2013年8月に想定地震の地震動推計結果が公表されました。その後、建物倒壊や火災、死傷者などの被害想定が取りまとめられています。
県の公式ページは2025年12月11日掲載の情報でもこの調査を案内しています。つまり、2026年に確認できる公式資料であっても、被害想定の基礎となる調査自体は2013年度のものです。2026年に新たな被害数値が再計算されたという意味ではありません。
埼玉県で想定されている5つの地震調査では、次の5つの地震を対象としています。
1. 東京湾北部地震(M7.3)
2. 茨城県南部地震(M7.3)
3. 元禄型関東地震(M8.2)
4. 関東平野北西縁断層帯地震(M8.1)
5. 立川断層帯地震(M7.4)
それぞれ震源や揺れの伝わり方が異なるため、被害が集中する地域も変わります。
東京湾北部地震では県南東部に被害が集中県の調査では、東京湾北部地震が発生した場合、埼玉県南東部を中心に被害が発生すると予測されています。
主な想定値は以下のとおりです。
- 建物全壊:13,380棟
- 死者:585人
- 火災焼失:1,572棟
- 避難所避難者:54,180人
建物全壊13,380棟の内訳は、揺れによるものが8,127棟、液状化によるものが5,253棟です。
つまり、揺れそのものだけでなく、地盤の液状化も大きな被害要因として想定されています。
茨城県南部地震では県東部の液状化に注意茨城県南部を震源とする地震では、埼玉県東部にも被害が及ぶと予測されています。
特に液状化による建物全壊は6,553棟と想定されています。
揺れによる建物全壊1,943棟と合わせると、全壊棟数は8,496棟です。
この想定は、県東部の住民が揺れへの備えと同時に地盤リスクも確認すべき理由を示しています。
関東平野北西縁断層帯地震は被害規模が大きい想定5つの想定地震の中で、特に大きな被害が見込まれているのが関東平野北西縁断層帯地震です。
県の調査では、深谷断層と綾瀬川断層が一体として活動するケースを想定しています。
主な被害想定は次のとおりです。
- 建物全壊:55,129棟
- 死者:3,599人
- 火災焼失:11,669棟
- 避難所避難者:144,968人
ただし、これは二つの断層が一体となって活動するという厳しい想定条件に基づく数値です。
また、県の当時の調査では、このケースの30年以内の発生確率は0.008%以下とされていました。2026年の各断層の個別評価とは対象となる地震の定義が異なるため、数値を直接比較することはできません。
首都直下地震の発生確率70%は埼玉県での発生確率ではないよく見られる「今後30年以内に70%」という数字にも注意が必要です。
これは南関東地域で発生するM7程度のプレート沈み込みに伴う地震についての長期評価です。
埼玉県内の特定の場所で、30年以内に地震が発生する確率が70%という意味ではありません。
一方で、埼玉県全域が首都直下地震緊急対策区域に指定されていることからも、県内での備えが必要であることに変わりはありません。
【埼玉県の地震ハザードマップ】さいたま市の危険度と液状化を調べる方法
同じ市内でも、地盤や建物の密集度によって地震時の危険性は異なります。
そのため、県全体の被害想定だけでなく、実際に住んでいる場所のハザードマップを確認することが大切です。
さいたま市地震防災マップで確認できることさいたま市は、2026年4月1日更新の公式ページで地震防災マップを案内しています。
想定対象となる地震は次の3つです。
- さいたま市直下地震
- 東京湾北部地震
- 関東平野北西縁断層帯地震
マップには、揺れやすさ、建物の倒壊危険度、液状化危険度などが掲載されています。
さいたま市の地震危険度は地盤によって変わるさいたま市の液状化危険度分布図では、PL値という指標が使われています。
PL値は、地震時に液状化が発生する可能性を評価するための指標です。
| PL値 | 危険度の区分 |
|---|---|
| 15超 | 高い |
| 5超~15以下 | やや高い |
| 0超~5以下 | 低い |
| 0 | 極めて低い |
液状化が起きやすい条件として挙げられるのは、地下水位が高く、砂質の緩い地盤が存在する場所です。
過去に川や水田、沼だった土地を埋め立てた場所も注意が必要です。
ただし、PL値が高い場所で必ず液状化が起こるわけではありません。実際の被害は地盤の厚さや地下水の状態、建物の構造などにも左右されます。
地域別に確認したい防災上のポイント埼玉県内を大きく分けると、次のような観点で確認すると効率的です。
県北部(熊谷・深谷・本庄方面)
深谷断層帯との位置関係を確認しましょう。断層帯による地震のほか、荒川・利根川沿いの軟弱地盤にも注意が必要です。
県中央部(鴻巣・上尾・さいたま方面)
綾瀬川断層との関係や、低地と台地の地盤条件を確認します。住宅密集地域では、家具の転倒や火災への備えも欠かせません。
県東部(春日部・越谷・草加・川口方面)
茨城県南部地震や東京湾北部地震の被害想定を確認してください。特に液状化や道路・上下水道への影響を意識した備えが必要です。
県南西部(飯能方面)
立川断層帯との位置関係や、周辺の地盤条件を確認しましょう。
これらは地域ごとの確認ポイントであり、市町村全域が同じ危険度という意味ではありません。
住所単位の詳細な判断には、各自治体の地震ハザードマップや防災カルテを使う必要があります。
【埼玉県で今すぐできる地震対策】家庭・住宅・避難の備え
地震の発生時期や震源を正確に予測することはできません。
だからこそ、被害を小さくするための対策を日常生活に組み込むことが大切です。
1. 家具の転倒防止と住宅の耐震化まず確認したいのが、住宅の安全性です。
- 大型家具や本棚を固定する
- 寝室に倒れやすい家具を置かない
- ガラス飛散防止フィルムを設置する
- 古い木造住宅は耐震診断を検討する
- ブロック塀や外壁の劣化を点検する
特に、1981年以前の旧耐震基準で建てられた住宅は、耐震性能を確認する優先度が高くなります。
さいたま市では2026年度の木造住宅耐震診断員派遣事業などの制度も案内されています。助成制度は対象条件や受付期間があるため、利用前に自治体の最新情報を確認してください。
2. 最低3日分、できれば1週間分の備蓄大地震の後は、道路の寸断や物流の停止によって、食料や生活用品が入手しにくくなる可能性があります。
備蓄では、食料だけでなく水や衛生用品も確保しましょう。
家庭の地震備蓄チェックリスト
{@body const items = ["飲料水(1人1日3Lを目安に確保)","非常食・レトルト食品・缶詰","携帯トイレ・トイレットペーパー","モバイルバッテリー・乾電池","懐中電灯・携帯ラジオ","常備薬・救急用品","現金・身分証明書のコピー","乳幼児・高齢者・ペット用品(必要な家庭)","家族の連絡先と集合場所のメモ"]}
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setChecked(old=>v?[...old,i]:old.filter(x=>x!==i))}>{item}
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地震が発生した直後は、まず自分の身を守ることを優先してください。
- 揺れている間は机の下などで頭を守る
- 窓ガラスや大型家具から離れる
- 揺れが収まってから火元や周囲の安全を確認する
- 避難が必要な場合は、自治体が指定する避難場所を確認する
- 家族との連絡方法や集合場所を事前に決めておく
特に通勤・通学で県外へ移動する家庭では、帰宅困難になった場合の対応も決めておきましょう。
4. 自宅周辺の避難経路を実際に歩いて確認するハザードマップを見ただけでは、災害時の危険を十分に把握できない場合があります。
実際に自宅から避難場所まで歩き、次の点を確認してください。
- ブロック塀や古い建物が多い道路
- 狭い道路や行き止まり
- 橋や高架下などの通行上の注意点
- 夜間でも安全に移動できる経路
- 家族が別々の場所にいる場合の集合場所
災害時には、普段使っている最短ルートが通行できなくなる可能性もあります。複数の避難経路を用意しておくことが大切です。
【埼玉県の地震に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:2026年現在、埼玉県で大きな地震が発生する可能性はありますか?
A1:あります。埼玉県には深谷断層帯・綾瀬川断層・立川断層帯があり、さらに相模トラフ沿いの地震や首都直下地震によっても被害を受ける可能性があります。地震本部の長期評価では、南関東のプレート沈み込みに伴うM7程度の地震について、30年以内の発生確率は70%程度とされています。
Q2:埼玉県で最も危険な活断層はどこですか?
A2:単純に一つだけを最も危険と判断することはできません。深谷断層帯はM7.9程度、立川断層帯はM7.4程度、綾瀬川断層は区間ごとにM7.0程度の地震が想定されています。発生確率だけでなく、地震発生時の規模や周辺の地盤、住宅の耐震性能を総合的に考える必要があります。
Q3:さいたま市は地震に強い地域ですか?
A3:市内でも場所によって異なります。台地と低地では地盤条件が異なり、液状化や揺れやすさにも違いがあります。さいたま市の地震防災マップで、住所周辺の揺れやすさ、建物倒壊危険度、液状化危険度を確認してください。
Q4:埼玉県で液状化の危険性が高いのはどこですか?
A4:一般に、地下水位が高い砂質地盤や、河川沿いの低地、過去に水田・沼などだった埋立地は液状化に注意が必要です。ただし、地域名だけで危険度を決めることはできません。市町村の液状化危険度分布図で個別に確認が必要です。
Q5:埼玉県の地震速報はどこで確認できますか?
A5:気象庁の公式サイトで確認できます。最新の震源地、マグニチュード、各地の震度に加え、過去30日間の地震情報も閲覧できます。緊急地震速報を受信できるよう、スマートフォンの緊急速報設定も確認しておきましょう。
2026年の埼玉県の地震リスクを理解するには、現在の地震速報、過去の地震履歴、活断層の長期評価、自治体の被害想定を組み合わせて確認することが大切です。
今回取り上げた要点は次の5つです。
1. 埼玉県は首都直下地震緊急対策区域に県全域が指定されている。
2. 深谷断層帯ではM7.9程度、綾瀬川断層ではM7.0程度、立川断層帯ではM7.4程度の地震が想定されている。
3. 首都直下地震では、県南東部や県東部などで液状化による被害も想定されている。
4. さいたま市をはじめ、自治体の地震ハザードマップで住所周辺の危険度を確認できる。
5. 家具の固定、住宅の耐震化、備蓄、避難経路の確認が被害軽減につながる。
特に重要なのは、発生確率が低い活断層だけに注目しないことです。埼玉県では、遠方の地震による揺れや、地盤の液状化によっても被害が生じる可能性があります。
地震対策の第一歩は、自分の住んでいる場所の地盤と住宅の弱点を知ることです。 速報を確認する習慣と、日常的な家庭の備えを組み合わせることで、突然の大地震にも対応しやすくなります。
主な参考資料:気象庁「地震情報」、地震調査研究推進本部「埼玉県の地震活動の特徴」「深谷断層帯・綾瀬川断層の長期評価」「立川断層帯の長期評価」、埼玉県「埼玉県地震被害想定調査」、さいたま市「さいたま市地震防災マップ」。