2026年11月現在、大塚氏の活動は大きく分けて、企業コンサルティング、家具・インテリア関連事業、上場企業のガバナンス、大学教育、伝統工芸の継承という5つの領域に広がっている。
2026年6月に公開された飛島ホールディングスの株主総会資料やバッファローの役員関連資料にも、複数の兼職が記載されている。
1.クオリア・コンサルティングの代表取締役現在の活動の中心にあるのが、2005年に設立した株式会社クオリア・コンサルティングだ。
大塚氏は大塚家具を退任した2020年12月に、同社の代表取締役に復帰した。
同社の公式サイトでは、企業や新規事業の成長を支援するコンサルティング事業を掲げている。
主な支援領域は次のとおりだ。
- 家具・インテリア・建材などの販路開発
- 新規事業の立ち上げや新商品開発
- 企業間の事業提携やM&Aのアドバイス
- スタートアップ企業の経営支援
- 人材開発や教育研修の仕組みづくり
- 経営や事業承継に関する講演・セミナー
注目したいのは、大塚家具時代に経験した経営企画、経理、広報、商品開発などの知識を、企業の外側から活用する仕事に移っていることだ。
単なる経営経験者としての講演活動ではなく、企業の事業戦略や組織づくりに関わる専門的な支援が事業の柱になっている。
2.クオリア・リビング・ソリューションズの代表取締役2023年2月には、株式会社クオリア・リビング・ソリューションズを設立し、代表取締役に就任した。
こちらはコンサルティングにとどまらず、家具やインテリアに関する具体的なサービスを扱う会社だ。
公式サイトに掲載されている主な業務
- 家具・インテリアの配送、組み立て、設置
- 家具のアフターサービス
- 家具のメンテナンス、修理、リフォーム
- 家具・インテリアの卸売
- インテリアコーディネーション
会社概要によると、資本金は750万円。所在地は東京都千代田区神田神保町となっている。
この会社の存在は、大塚氏が家具業界から完全に離れたわけではないことを示している。
大塚家具で培った商品やインテリアに関する経験を、配送・設置・修理など、住まいの実務に近い領域へ展開している点が特徴だ。
3.飛島ホールディングスの社外取締役2025年6月、大塚氏は飛島ホールディングスの社外取締役に就任した。
2026年6月の第2回定時株主総会資料でも、再任候補者として掲載されている。
同社は建設事業を基盤としながら、新たな事業領域や企業間連携による成長を目指す企業グループだ。
大塚氏に期待されているのは、企業経営、経営戦略、IR、ガバナンス、M&Aなどに関する経験を生かした経営への助言と監督である。
2026年の株主総会資料では、2025年度の取締役会への出席率は10回中10回、100%と記録されている。
これは単に役職名が記載されているだけではなく、取締役会に実際に参加していることを示す客観的な情報だ。
4.バッファローの社外取締役(監査等委員)大塚氏は、パソコン周辺機器やネットワーク機器などを扱う株式会社バッファローでも、社外取締役を務めている。
2023年6月に親会社のメルコホールディングスの社外取締役に就任し、2024年6月から監査等委員を務めるようになった。
2026年5月14日付のバッファローの役員異動資料でも、社外取締役(監査等委員)の候補者として記載され、6月25日の定時株主総会を経て再任されている。
2026年の株主総会資料によれば、直近の対象年度における出席状況は次のとおりだ。
- 取締役会:18回中18回
- 監査等委員会:13回中13回
同社は大塚氏について、企業経営や経理・経営企画部門での経験を踏まえ、経営陣から独立した立場で監査・助言する役割を期待している。
大塚家具の元社長という経歴だけでなく、財務や経営管理の経験が評価されている点がポイントだ。
5.明治大学の教員としての活動大学での活動にも変化がある。
大塚氏は2023年4月に明治大学の特別招聘教授に就任した。
2026年版の明治大学ビジネススクールの資料では、特別招聘教授として紹介されているが、その後の役職変更にも注意したい。
2026年4月からは明治大学グローバル・ビジネス研究科の兼任講師に就任している。
この変更は、2026年6月のバッファローの株主総会資料にも明記されている。
したがって、2026年11月現在の肩書を紹介する際には、以前の特別招聘教授ではなく、兼任講師とするのが適切だ。
企業経営の実務経験を持つ人物がMBA教育に関わることには、理論だけでは扱いにくいファミリービジネスや事業承継の現場を伝える意味がある。
6.Sakura HeritageCraft Initiativeの代表理事2024年3月には、一般社団法人Sakura HeritageCraft Initiativeを設立し、代表理事に就任した。
2026年の企業の株主総会資料でも、代表理事の肩書が現任として記載されている。
また、2026年8月27日公開の集英社新書プラスの対談では、大塚氏自身が伝統工芸の世界に関わっていることを語っている。
特に取り上げているのは、職人や問屋など、伝統産業を支える仕組みの維持だ。
一度、職人のネットワークや流通機能が失われると、後から同じ産業を再構築するのは難しい。大塚氏は、短期的な利益だけでは測れない産業の価値について問題意識を示している。
ただし、同法人の個別プロジェクトや事業規模については、公開された役員資料だけでは具体的に把握できない。代表理事としての役職と、本人が対談で語った伝統工芸への問題意識は区別して理解したい。
【大塚久美子の経歴と現在】2026年までの歩みを年表で整理

大塚氏は1968年2月26日生まれ。2026年11月現在は58歳だ。
学歴は一橋大学経済学部卒業。さらに2012年には筑波大学法科大学院を修了し、法務博士(専門職)の学位を取得している。
経営者としての経歴を見ると、銀行、家具小売業、コンサルティング、大学教育という複数の分野を経験してきたことが分かる。
大塚久美子の主要経歴・役職一覧この年表から分かるのは、2020年の退任がキャリアの終着点ではなかったことだ。
むしろ、2005年に設立したコンサルティング会社へ戻り、2023年以降は新しい事業や社外役員、教育活動を加えている。
また、銀行での経験と大塚家具での実務経験が、現在の企業統治や財務・経営戦略に関する仕事につながっている。
【大塚勝久との父娘対立の真相】2015年の委任状争奪戦で何が起きた?
大塚久美子氏の名前が広く知られるきっかけとなったのが、父である創業者・大塚勝久氏との経営権をめぐる対立だ。
この問題は、単純な親子げんかとして片付けられるものではない。企業の将来像、経営方針、創業者と後継者の関係、株主の権利が複雑に絡んだ事業承継問題だった。
対立が表面化した2014年から2015年久美子氏は2009年3月に大塚家具の代表取締役社長に就任した。
しかし、2014年7月には社長職を離れ、取締役となる。その後、2015年1月に社長へ復帰した。
2015年3月の株主総会では、父の勝久氏と娘の久美子氏がそれぞれ経営陣の選任をめぐって株主の支持を求める委任状争奪戦に発展した。
当時の報道によると、久美子氏側の続投と勝久氏側の退任を求める議案が可決され、勝久氏は経営の第一線を退くことになった。
勝久氏はその後、匠大塚を立ち上げている。
2026年の対談で明かした対立の背景この問題について、重要な新しい材料となったのが、2026年8月26日公開の集英社新書プラスの対談だ。
大塚氏は福田淳氏との対談で、父娘の対立が深刻化した背景について、自身の経験を振り返っている。
大塚氏の説明によれば、対立の具体的なきっかけの一つは、父が引退後も家具の営業を続けられるよう、故郷の春日部に大きな拠点をつくりたいと提案したことだった。
しかし、取締役会としては、その投資を承認できなかったという。
その結果、父が株主提案に踏み切り、経営権をめぐる争いへ発展したというのが、大塚氏自身による説明だ。
さらに大塚氏は、問題の根底には会社に対する認識の違いがあったと振り返っている。
大塚氏は、対立を振り返り、会社そのものについての根本的な認識が異なっていたことに後から気づいたと説明している。
この発言から見えてくるのは、後継者と創業者の間で「会社を誰のものとして捉えるか」という問題が生じていたことだ。
後継者にとって会社は、株主や従業員、顧客などの利害関係者とともに存続させるべき事業体である。一方、創業者にとっては、自分の人生や価値観そのものと切り離せない存在になっている場合がある。
両者が会社の将来を考えていても、前提となる価値観が違えば、話し合いだけで解決できない局面が生まれる。
大塚氏の2026年の発信は、父娘対立を感情論ではなく、ファミリービジネスの事業承継問題として捉え直すものになっている。
父娘対立は経営方針の違いだけだったのか2015年の争いでは、従来の会員制を維持するか、より幅広い顧客層を取り込むかという販売戦略の違いも注目された。
久美子氏は社長復帰後、従来の会員制を廃止し、比較的幅広い顧客層を対象とする販売方針へ転換した。
この改革には、顧客層を広げるという狙いがあった一方、従来の大塚家具のブランドイメージとの整合性が課題となった。
2026年の対談でも、久美子氏は高付加価値の商品を求める顧客層と、より手頃な商品を求める顧客層を分けて考える構想について説明している。
しかし、ヤマダホールディングスとの提携直後に新型コロナウイルスの感染拡大が起こり、家具店の営業自粛などによって当初の想定どおりに進まなかったと振り返った。
つまり、対立には次の3つの側面があった。
- 創業者と後継者の会社観の違い
- 投資判断や経営権をめぐる対立
- 従来のブランド価値と新しい販売戦略の衝突
この3点を分けて考えると、父娘対立の背景が理解しやすくなる。
【大塚家具退任後の活動】事業承継の著書と2026年最新インタビュー
2020年12月に大塚家具の社長を退任した後、大塚氏が力を入れているテーマの一つが事業承継だ。
その活動を象徴するのが、2025年11月17日に発売された著書である。
『後継者不足時代の事業承継 当事者の視点で考える』
著者:大塚久美子/集英社新書
発売日:2025年11月17日
240ページ・税込1,034円
自身の大塚家具での経験を踏まえ、ファミリー企業の後継者問題やガバナンス、M&A、経営者の葛藤を扱った著書。
この本は、単なる大塚家具時代の回顧録ではない。
集英社の公式紹介によると、人口減少や産業構造の変化によって後継者不足に直面する日本企業を対象に、事業を円滑に引き継ぐための考え方を提示している。
目次には、次のようなテーマが並ぶ。
- 「家」と「株式会社」の間にある葛藤
- ファミリー企業のガバナンス
- 事業の持続可能性と承継
- 事業承継とM&A
- 経営者のキャリアと人生
大塚氏は、経営者や後継者を対象にした講演・セミナーにも関わってきた。自分自身が事業承継の当事者だった経験を、他の企業が直面する問題に生かそうとしている。
2026年8月の最新対談で語った経営への考え方2026年8月26日と27日には、集英社新書プラスで福田淳氏との対談が前後編で公開された。
前編では、2015年の委任状争奪戦の背景や、会社の所有・経営をめぐる価値観の違いが取り上げられた。
後編では、事業を継続させることの社会的な意味や伝統産業の存在意義について話している。
特に興味深いのは、企業の社会的な価値が問われる時間と、資金が尽きて事業が続けられなくなる時間は、必ずしも一致しないという問題意識だ。
例えば、長い時間をかけなければ再建できない産業でも、短期的な資金繰りの問題によって廃業に追い込まれることがある。
大塚氏は、職人や問屋の機能が失われれば、伝統工芸の産業基盤そのものが失われかねないと指摘している。
これは家具業界にも当てはまる問題だという。
利益を追求することと、社会にとって残すべき事業を守ること。その両方をどう成立させるかが、対談を通じて繰り返し語られている。
大塚家具での経験を社会に還元する方向へ2026年の発信から読み取れるのは、経営者としての過去を単に肯定したり否定したりするのではなく、そこから事業承継の課題を抽出しようとしている姿勢だ。
大塚家具での経験は、成功例だけではない。創業家の対立、ブランド戦略の難しさ、株主との関係、経営判断の結果など、複雑な課題が含まれている。
その経験を、後継者不足に悩む企業やファミリービジネスの経営者に伝えることには、実務的な価値がある。
現在の大塚氏の活動を理解するうえでは、この事業承継というテーマが重要なキーワードになっている。
【大塚久美子の現在の評判】経営者としての評価はどう変わった?
大塚氏の評判を考える際には、大塚家具の社長時代と2020年以降の活動を分ける必要がある。
社長時代には、改革への期待があった一方で、業績悪化やブランドイメージの問題について厳しい評価も受けた。
一方、現在は複数企業の社外取締役やコンサルティング会社の代表として、経営管理やガバナンスに関する経験を生かしている。
大塚家具の経営については厳しい評価も残る東京商工リサーチは2020年12月1日の分析記事で、大塚家具の業績悪化とブランドイメージの問題を取り上げた。
同社の分析では、久美子氏が社長を務めていた期間の4期に約230億円の純損失が計上されたとされる。
また、従来の会員制の廃止や低価格路線への転換についても、ブランドイメージの回復や顧客離れへの対応という観点から課題が指摘されていた。
もちろん、企業の業績は経営者一人だけで決まるものではない。
市場環境、消費者の購買行動、競合企業の動向、組織の意思決定、株主との関係など、複数の要因が絡む。
ただし、社長として経営の責任を負っていた以上、当時の業績に対する厳しい評価が残っているのも事実だ。
現在は企業統治や経営戦略の専門性が評価されている一方、2025年以降の社外取締役としての活動を見ると、別の評価軸が見えてくる。
飛島ホールディングスでは、企業経営、経営戦略、M&A、IRなどの経験を生かした助言や経営監督を期待されている。
バッファローでは、監査等委員として財務・会計の知見や経営管理の経験を生かしている。
実際に2026年の株主総会資料では、取締役会や監査等委員会への出席状況も公開されている。
このような事実は、少なくとも企業側が大塚氏の経営経験や専門性を社外役員として活用していることを示している。
【プロの結論】評価すべきなのは肩書の数ではなく経験の活用方法大塚氏の現在を評価する際、社外取締役の数や大学での肩書だけを見て「経営者として完全復活した」と判断するのは早計だ。
重要なのは、過去の経験をどのような分野で生かしているかという点である。
現在の活動には、次の3つの特徴がある。
第一に、経営の実務経験をコンサルティングに転換していること。
家具小売業の経営だけでなく、財務、IR、経営企画、商品開発などを経験してきたことが、現在の企業支援につながっている。
第二に、企業経営を監督する側へ役割を広げていること。
社外取締役や監査等委員は、企業の日常的な業務執行を担う社長とは役割が異なる。経営陣の判断を客観的に監督し、企業価値の向上を支援する立場だ。
第三に、失敗や葛藤を事業承継の知識として共有していること。
父娘対立という個人的にも社会的にも大きな経験を、ファミリービジネスのガバナンスや後継者問題という社会的なテーマへ発展させている。
大塚久美子氏の現在の評価は、過去の大塚家具経営に対する評価と、現在の企業活動に対する評価を分けて考えることが重要だ。
【大塚久美子の現在に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:大塚久美子は2026年現在、何をしている?
A1:株式会社クオリア・コンサルティングと株式会社クオリア・リビング・ソリューションズの代表取締役を務めている。加えて、飛島ホールディングスやバッファローの社外取締役、明治大学の兼任講師、Sakura HeritageCraft Initiativeの代表理事としても活動している。
Q2:大塚久美子は大塚家具の社長をいつ辞めた?
A2:2020年12月1日付で代表取締役と取締役を辞任した。2020年10月28日に本人から辞任の申し入れがあり、会社が受理したことが臨時報告書に記載されている。
Q3:大塚久美子は現在、明治大学の教授なの?
A3:2023年4月に特別招聘教授に就任したが、2026年4月からは明治大学グローバル・ビジネス研究科の兼任講師となっている。2026年の企業公式資料でも、この変更が確認できる。
Q4:大塚久美子と父・大塚勝久の対立原因は何だった?
A4:経営方針や会社に対する価値観の違いが背景にあった。2026年の対談で大塚氏は、父が故郷の春日部に新たな家具販売拠点をつくろうとした投資案を取締役会が承認できなかったことが、株主提案につながったと説明している。
Q5:大塚久美子は現在も家具業界に関わっている?
A5:関わっている。クオリア・リビング・ソリューションズでは家具の配送、設置、修理、リフォーム、卸売、インテリアコーディネーションなどを扱っている。また、家具業界の事業承継や伝統工芸についても発信している。
Q6:大塚久美子の現在の評判は良い?
A6:評価は一面的ではない。大塚家具時代の業績やブランド戦略には厳しい評価が残る一方、現在は複数企業の社外取締役やコンサルタントとして、企業経営・財務・ガバナンスの知見を生かしている。
2026年11月現在の大塚久美子氏は、大塚家具の元社長という過去の肩書だけで説明できる人物ではない。
クオリア・コンサルティングの代表取締役として企業支援を続けながら、クオリア・リビング・ソリューションズで家具・インテリア関連事業にも携わっている。
加えて、飛島ホールディングスやバッファローの社外取締役、明治大学グローバル・ビジネス研究科の兼任講師、Sakura HeritageCraft Initiativeの代表理事という役割も担う。
2025年11月の著書『後継者不足時代の事業承継』と、2026年8月の集英社新書プラスでの対談は、現在の活動を理解するうえで特に重要な資料だ。
父・勝久氏との対立や大塚家具の経営改革は、今も評価が分かれるテーマである。しかし、その経験を事業承継やファミリービジネスの課題に結び付けて発信していることは、退任後のキャリアを特徴付けている。
大塚久美子の現在を理解する最大の要点は、大塚家具の経営者から、企業経営を支援・監督し、次世代への事業承継を考える立場へと活動の幅を広げていることだ。
今後は、社外取締役としての企業統治への貢献、大学での教育活動、伝統工芸や後継者不足に関する取り組みが、引き続き注目される。