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セックスで免疫力は上がる?新型コロナ感染リスクと2026年の予防策を徹底解説

各務 亮 各務 亮 • 更新: • 公開: • 読了約 17 分
目次

「セックスをすると免疫力が上がる」「定期的に性行為をしている人は風邪や感染症にかかりにくい」といった話を聞いたことはないでしょうか。実際、性行為と免疫機能の関係を調べた医学研究はいくつか存在し、唾液中の免疫物質や免疫細胞の変化が報告されています。しかし、それによって新型コロナウイルスにも感染しにくくなるのでしょうか。

2026年11月現在、科学的な研究から見えてくるのは、性行為によって一部の免疫指標が変化する可能性はあるものの、新型コロナの感染予防効果が証明されたわけではないという事実です。むしろ、キスや至近距離での呼吸、長時間の接触には感染リスクがあります。研究論文と厚生労働省の最新情報を照らし合わせながら、その関係を解説します。

【科学的根拠を検証】セックスで免疫力は本当に上がるのか?

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性行為と免疫機能の関係については、心理学、免疫学、生理学などの分野で研究が行われています。

ただし、最初に理解しておきたいのは、免疫力は単一の数値で表せるものではないという点です。

免疫機能には、ウイルスなどの病原体を認識する働き、免疫細胞による防御、粘膜での感染防御、炎症反応の調整など、さまざまな仕組みが関わっています。

そのため、一つの免疫関連物質が増えたからといって、あらゆる感染症に強くなったとは判断できません。

2004年の研究で報告された唾液中IgAの変化

代表的な研究の一つが、2004年6月に学術誌『Psychological Reports』に掲載された、Carl J. Charnetski氏とFrancis X. Brennan氏による研究です。

研究では、大学生112人を対象に、性行為の頻度と唾液中の免疫グロブリンA(IgA)の関係が調べられました。

参加者は性行為の頻度によって、次の4グループに分類されています。

- 性行為なし
- 週1回未満
- 週1~2回
- 週3回以上

分析の結果、週1~2回のグループでは、ほかの3グループより唾液中IgAの値が有意に高かったと報告されました。

一方、週3回以上のグループで、頻度に応じてさらに数値が上がるという結果にはなっていません。

この研究が興味深いのは、性行為の頻度と免疫関連物質の間に一定の関連が観察されたことです。

ただし、対象者は112人の大学生であり、性行為の頻度とIgAの関連を調べた研究です。性行為がIgAを増やしたという因果関係や、実際に感染症にかかりにくくなったことまで証明したものではありません。

オーガズムと免疫細胞の関係

2004年には、性的興奮やオーガズムが免疫機能に与える影響を調べた研究も発表されています。

ドイツの研究チームが健康な男性11人を対象に行った実験では、マスターベーションによるオーガズムの前後で血液中の免疫細胞などを測定しました。

その結果、オーガズム後には白血球、特にナチュラルキラー(NK)細胞の数が一時的に増加しました。

NK細胞は、ウイルス感染細胞などを認識して攻撃する自然免疫の一部を担っています。

しかし、この研究で確認されたのは、あくまで短時間の免疫細胞の変化です。

感染症への抵抗力が長期間高まったことや、新型コロナへの感染率が低下したことを示すものではありません。

2022年の研究では女性の局所免疫にも変化

2022年10月には、学術誌『eLife』に、初めての性交渉と女性の生殖器周辺の免疫反応を調べた研究が掲載されました。

研究対象はケニアの若年女性95人で、180件の検体を分析しています。

性交渉の前後で子宮頸腟領域の免疫関連物質を測定したところ、複数の免疫メディエーターの濃度が上昇していました。

この結果は、性行為が生殖器の局所的な免疫環境に変化をもたらす可能性を示しています。

ただし、ここで測定されたのは全身の免疫力ではなく、特定の粘膜組織における免疫関連物質です。新型コロナへの抵抗力を調べた研究でもありません。

【研究の実態】性行為による免疫機能の変化と科学的な限界

ここまでの研究を見ると、セックスによって免疫機能に何らかの変化が起きる可能性はあります。

しかし、研究結果を正しく理解するには、何を測定したのか、どの程度の人数を対象にしたのか、実際の感染症予防まで確認したのかを区別する必要があります。

免疫物質が増えることと感染症に強くなることは別

例えば、唾液中のIgAは、口や鼻などの粘膜で病原体に対する防御に関係する抗体です。

一方、新型コロナウイルスに対する感染防御には、ウイルスに特異的な抗体、免疫細胞の働き、過去の感染やワクチン接種によって形成された免疫記憶など、複数の要素が関係します。

したがって、一般的なIgAの増加だけで、新型コロナに対する防御力まで高まったと判断することはできません。

また、性行為後の一時的な免疫細胞の変化と、数か月・数年にわたる感染症への抵抗力も別の問題です。

研究から分かることと分からないこと

現時点での主な研究を整理すると、次のようになります。

研究・対象 確認された内容 科学的な解釈
2004年・大学生112人 週1~2回のグループで唾液IgAが高かった 性行為頻度との関連を示す
2004年・男性11人 オーガズム後にNK細胞が一時的に増加 短時間の免疫細胞の変化
2022年・女性95人 性交渉後に生殖器周辺の免疫関連物質が上昇 局所的な免疫環境の変化
新型コロナの感染予防 性行為による感染率低下を証明したデータはない 予防効果は確立していない

セックスと免疫力向上の真相

重要なのは、免疫反応には強くなればなるほどよいという単純な関係がないことです。

免疫反応が過剰になれば炎症につながる場合もあります。

2022年の研究で確認された局所的な免疫関連物質の上昇も、全身の感染防御能力が向上したという意味ではありません。

また、性行為の頻度だけで健康状態を評価することもできません。

睡眠、栄養、運動、慢性的なストレス、持病、年齢など、免疫機能に影響する要因は多岐にわたります。

セックスは健康的な生活の一部になり得ますが、感染症を防ぐための医療行為や予防策の代わりにはなりません。

【新型コロナとの関係】性行為は感染リスクを高めるのか?

ここが今回の検索テーマで最も要点です。

性行為そのものが新型コロナの感染経路として特別に定義されているわけではありません。

しかし、性行為にはキス、会話、近距離での呼吸、長時間の身体的接触などが伴うため、感染者と接触した場合には感染リスクが生じます。

新型コロナウイルスの感染経路と仕組み

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、感染者の呼吸に伴って放出されるウイルスを含む粒子を介して感染します。

主な感染経路として、次の3つが挙げられます。

1. エアロゾル感染

感染者が呼吸や会話をすると、ウイルスを含む細かな粒子が空気中に放出されます。

換気の悪い室内では、こうした粒子が滞留・蓄積することがあり、吸い込むことで感染する可能性があります。

2. 飛沫感染

咳、くしゃみ、会話などによって放出されたウイルスを含む飛沫が、相手の鼻や口、目などの粘膜に到達することで感染します。

3. 接触感染

ウイルスが付着した物に触れ、その手で目や鼻、口などの粘膜に触れることで感染する経路です。

厚生労働省は、エアロゾル感染、飛沫感染、接触感染を主な感染経路として説明しています。世界保健機関(WHO)も、呼吸器粒子を介した空気中での感染を重視しています。

性行為と新型コロナ感染リスクの関係

米国のメイヨークリニックは、2024年5月14日付の解説で、新型コロナは一般的な意味での性感染症ではないものの、会話、キス、性行為などの近距離接触によって感染する可能性があると説明しています。

特に注意したいのは、性行為に伴う呼吸器粒子への曝露です。

相手と顔を近づける、キスをする、同じ室内で長時間過ごすといった行動は、感染者がいる場合のリスクにつながります。

なお、精液や膣分泌液などを介した感染と、性行為中の呼吸器粒子による感染は区別する必要があります。新型コロナの主要な感染経路は呼吸器粒子であり、性行為による感染リスクを性器同士の接触だけで説明することはできません。

感染者に症状がなくても注意が必要

もう一つ見落としやすいのが、感染していても症状が現れていない場合や、発症前の段階で他人に感染させる可能性があることです。

厚生労働省の説明によれば、感染者は発症の2日前から発症後7~10日間、感染性のあるウイルスを排出することがあります。

特に発症後5日間は、他人に感染させるリスクが高いとされています。

そのため、相手が元気そうに見えるという理由だけで、感染の可能性がないと判断することはできません。

【2026年最新】厚生労働省が示す新型コロナ感染予防策

2026年11月現在、新型コロナは感染症法上の5類感染症に位置付けられています。

2023年5月8日に5類へ移行したことで、行政が一律に日常生活での感染対策を求める仕組みから、個人や事業者が状況に応じて判断する仕組みに変わりました。

しかし、感染リスクそのものがなくなったわけではありません。

2026年の感染状況はどうなっている?

厚生労働省が2026年10月30日に公表した発生状況によると、2026年第43週(10月19日~25日)の新型コロナ定点報告数は次のとおりです。

- 定点医療機関からの報告総数:3,109件
- 定点当たり報告数:0.83人
- 前年同期の定点当たり報告数:2.25人

前年同期と比較すると低い水準ですが、これは全国の感染者全員を数えた数字ではなく、定点医療機関からの報告に基づく統計です。

報告数が少ない時期であっても、感染者との近距離接触による感染リスクは残ります。

性行為をする場合に意識したい感染対策

厚生労働省が示す基本的な感染対策を踏まえると、次の点が大切です。

体調不良のときは性行為を控える

発熱、咳、喉の痛み、倦怠感などがある場合には、相手との近距離接触を避けることが望まれます。

換気の悪い室内を避ける

エアロゾル感染への対策では、換気が重要です。窓を開けるなど、室内の空気を入れ替えることが感染リスクの低減につながります。

感染が判明した場合は接触を控える

厚生労働省は、発症日を0日目として5日間は外出を控えることを推奨しています。5日目にも症状が続く場合は、症状が軽快してから24時間程度が経過するまで様子を見ることが推奨されています。

また、発症後10日間はウイルスを排出する可能性があるため、周囲への配慮が必要です。

なお、5類移行後は一般に保健所が濃厚接触者を特定する仕組みではなく、法律に基づく一律の外出自粛もありません。しかし、感染を広げないための自主的な配慮は引き続き求められます。

【ワクチンと免疫】2026年の新型コロナ重症化予防効果

セックスによる免疫機能の変化よりも、新型コロナの重症化を防ぐ方法として科学的な根拠が蓄積されているのがワクチンです。

2025/26シーズンのワクチン効果

厚生労働省が2026年8月時点で公表している情報によると、2024/25シーズンおよび2025/26シーズンに使用されたワクチンについて、国内外の研究で入院を約45~70%予防したとの報告があります。

具体的には、2025/26シーズンの海外研究で、65歳以上を対象とした入院予防効果として、次の数値が報告されています。

- モデルナ社製ワクチン:59.3%
- ファイザー社製ワクチン:48.3%

これらは特定の研究条件における推定値であり、すべての年齢層や個人に同じ効果が保証されるわけではありません。

また、ワクチンの主な意義は感染を完全に防ぐことではなく、入院や死亡などの重症化リスクを抑えることにあります。

2026年10月から始まった定期接種の対象者

厚生労働省によると、2026年度の新型コロナワクチン定期接種は10月から実施されています。

対象となるのは次の人です。

- 65歳以上の人
- 60~64歳で、心臓・腎臓・呼吸器の機能に重い障害がある人
- 60~64歳で、HIVによる免疫機能に重い障害がある人

定期接種は原則有料で、実際の自己負担額は自治体によって異なります。

対象外の人も、希望すれば任意接種として受けられる場合があります。接種の必要性や時期については、かかりつけ医や自治体に相談することができます。

【プロの結論】免疫力を守るために優先したいこと

性行為によって一部の免疫指標が変化する可能性は研究で示されています。しかし、新型コロナの感染を防ぐという観点では、性行為の頻度を増やすことに医学的な根拠はありません。

感染症対策として優先したいのは、次のような行動です。

1. 十分な睡眠と栄養バランスの取れた食事を心がける。
2. 適度な運動を習慣にする。
3. 体調不良の際には人との接触を控える。
4. 室内の換気を意識する。
5. 重症化リスクが高い人はワクチン接種について医師に相談する。

性行為を健康的な生活の一部として楽しむことと、感染症予防を同じものとして扱わないことが大切です。

【よくある疑問を解消】セックスと免疫力・新型コロナに関するよくある質問(FAQ)

Q1:セックスをすると本当に免疫力が上がりますか?

A1:唾液中のIgAやNK細胞など、一部の免疫関連指標に変化が生じることを示した研究はあります。ただし、全身の免疫力が長期間向上することや、感染症全般にかかりにくくなることは証明されていません。

Q2:セックスを頻繁にすれば新型コロナに感染しにくくなりますか?

A2:そのような予防効果を示す科学的根拠は確立されていません。性行為中は相手との距離が近くなり、呼吸器粒子に曝露する可能性があるため、感染者との接触には注意が必要です。

Q3:新型コロナは性行為によって感染しますか?

A3:新型コロナは一般的な性感染症ではありません。しかし、キスや会話、近距離での呼吸などを通じて感染する可能性があります。性行為に伴う身体的接触だけでなく、呼吸器粒子への曝露が主な問題です。

Q4:性行為の後に免疫力が上がるのは何時間くらいですか?

A4:研究によって測定対象が異なるため、一律に何時間と決めることはできません。オーガズム後のNK細胞の変化などは報告されていますが、感染症に対する防御効果が何時間続くかを示した十分なデータはありません。

Q5:新型コロナに感染している疑いがある場合、性行為をしても大丈夫ですか?

A5:発熱や咳、喉の痛みなどの症状がある場合は控えることが望まれます。感染が判明した場合も、厚生労働省が推奨する療養期間や周囲への配慮を優先してください。

Q6:2026年も新型コロナワクチンを接種する意味はありますか?

A6:あります。特に高齢者や重症化リスクの高い人では、入院や死亡を防ぐ効果が期待されています。接種対象や費用については、2026年度の自治体の案内を確認してください。

セックスと免疫機能の関係については、2004年の唾液中IgA研究やNK細胞の実験、2022年の女性の局所免疫に関する研究など、興味深い科学的報告があります。

しかし、これらの研究から、新型コロナに感染しにくくなると結論付けることはできません。

むしろ、新型コロナの感染経路を考えると、キスや近距離での呼吸、長時間の室内接触には注意が必要です。

2026年11月現在、感染予防の基本は換気、体調不良時の接触回避、必要に応じたマスク着用です。また、高齢者など重症化リスクの高い人にとっては、ワクチンによる重症化予防も重要な選択肢です。

セックスは心身の健康やパートナーとの関係を豊かにする行為になり得ますが、新型コロナへの免疫を高める予防法ではありません。

免疫に関する研究の可能性と、感染症予防として実証されている方法を区別することが、健康を守るための確かな判断につながります。

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各務 亮

アニメ・漫画の制作発表を担当。制作会社・出版社の公式告知と原作者コメントを確認してから記事化します。

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